～何をしたいのか、より、誰をみたいのか　競技ダンス選手～

以前、勤めていた職場の院長に、「おまえは何がしたいのか分からない」と言われたことがあります。多くの治療方法を勉強して試している自分に対して、三代続く鍼灸師の家系に育ち本人も鍼灸師である院長には、 いろいろ手を出しすぎて方向性がぶれていると思ったようです。極端に言えばまだまだ鍼灸で勉強することがあるだろう、という意味もあったのかもしれません。

私は元々競技ダンス選手をみたくて、この仕事を始めました。 よって 鍼がしたい、マッサージがしたいなどのある治療方法がやりたくて、この世界に入ったのではなく、競技ダンス選手に対して何ができるかが基準でした。実際に年数を重ねていって感じたことは、 競技ダンス選手がずっと競技をしているわけではない ということ。それは自分も他者も含めてです。仕事、結婚、出産など生活環境が変わる。年齢とともにできたことができるようになり、見えなかったものが見えてくる。治療に関して言えば、運動器（簡単に言えば筋肉や骨、関節など身体を動かす部位）の疾患だけ考えていては、今までの人生で縁のあった人々の役に立てないと考えました。

どんな選手もいつかは一線の競技から退きます。その後も手助けできる準備をしてきたつもりです。

甲野　功

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