～出張治療～

※画像はボランティアで鍼治療に出向いたときのものです

本治療院を出すちょうど２年前の２０１２年５月に出張治療専門という業態で独立開業しました。
今と治療内容はほとんど変わりませんが、治療を行う環境が大きく違います。

患者さんが希望する場所に出向き治療をする。どういう場所かは、行ってみないと分からないわけです。
開業する前から勤めていた職場にて、往診という形で出張治療を行っていましたが、とても緊張しますし知恵を働かせないといけません。

行った場所に診療ベッドなどあるはずもないので、布団、就寝ベッド、床などで行います。下が柔らかいと圧が入りづらく手技治療が大変です。

ダンス会場の通路で選手のケアをしたときはとにかく狭かったです。狭い上に通路なので人の往来が激しくてやりづらかった。
個人宅にいけばそこにある物を絶対に壊しても汚してもいけないため、お灸には細心の注意を払いました。
子どもがいるお宅では子どもが甘えて抱きついてくるお母さんを指圧することもありました。

持っていける道具、機材も限界があるので何かあったら臨機応変に対応しなければいけません。
治療院ならば資料も揃っているので、すぐに調べることができます。何か治療道具に不備が出たら代わりを出せばいいのですが、出張先ではそうもいきません。困ったら助けてくれる先輩もスタッフも当然いないわけです。
このような状況に置かれることで不測の事態に対応できる力が身に付くのだと思います。

ある先生の言葉ですが、「“臨床”の“臨”は“臨機応変”の“臨”である。現場では柔軟な対応が求められる。」と。
重みがあるお言葉です。

甲野　功