～タイムカードのない仕事～

独立し自営業になることによって、タイムカードが無い仕事になりました。厳密には週一日大学病院に勤務しているので、週に一日だけタイムカードのある仕事ですが、基本は”何時から何時までがお仕事”ということは無くなりました。

つまり仕事についてオン・オフが無くなったといえます。

開業している方は皆さん当然でしょうが、患者さんがいない時間は仕事がないということでありません。私のように一人で行っている業態では掃除、物品管理、経理、なんでも行います。自宅にいるときも仕事をしている、正確には仕事をしていないという感覚がなくなりました。

数年前に独立を本気で視野にいれるようになって、それまで苦手だった家事をとてもするようになりました。特に片づけ、掃除が大嫌いだったのが率先して行うようになりました。
子どもが生まれてからは育児も、否応なしにですが、行っています。

そうする理由は家事、育児も仕事の一環と考えるようになったからです。

患者さんは女性が多いですから家事の実際、子育ての大変さを知ることは治療の上でも重要。また「家事は一切しません、育児は嫁のするもの」などと言っていたら多くの女性を敵に回すと思います。それどころか毎朝保育園に送りに来ているパパさんにも嫌われてしまうことでしょう。

また、家屋の隅にゴミがたまって汚れやすいように、人間の肘・膝といった関節、曲がるところ、身体の境目に気が滞りやすく、臨床で使う経穴（ツボ）があると鍼灸の諸先生方がおっしゃられます。掃除をすることで東洋医学を学ぶ？という感覚も出てきました。

いま起こっている日常のことが、何か仕事の役に立たないかと常に考える習慣ができたのです。

タイムカードの無い仕事と生活。それは、以前より時間を大切に、日々の生活を意味あるものにするようになりました。

甲野　功

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