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補完医療(complementary medicine)という言葉があります。これは「通常医療を補完する医療」を指す用語とされます。
似たような言葉として代替医療(alternative medicine)があり、「通常医療の代わりに用いられる医療」を指し、学会や論文において2つを総称して
補完・代替医療(Complementary and Alternative Medicine: CAM)
の名称が使われることがあります。
ただし、代替医療については
本当に通常医療の代わりになるのならばそれ自身が通常医療になるはずで、代替医療という言葉自体が不自然であり、実際に代替できた医療は存在しない
という声があります。
そして近年アメリカでは、補完・代替医療(CAM)から補完的健康アプローチ(complementary health approaches)という用語に変わってきているそうです。
そこで、鍼灸は補完医療になりうるのかを考えたいと思います。
鍼灸の特徴として大切なことの一つが、副作用が小さいこと、です。
鍼灸にだって副作用はある、という意見は当然ありますが、高度医療における副作用に比べればとても小さい、ということです。
悪性腫瘍を例にとりますが、抗がん剤治療をすれば、脱毛、吐き気、嘔吐、などの副作用が起きることが多いわけです。
対して、鍼治療で言えば、眠気、やや気持ち悪いといったレベルです。
気胸、感染症、脳貧血といったものもありますが、これらは副作用というより術者の過誤によるものです。
また鍼灸師以外は知らないかもしれませんが、身体に刺さない鍼(鍉鍼、接触鍼など)というものもあります。
注意すれば副作用は、ほぼ無視できるくらいにすることができるでしょう。
それはすなわち、高度医療の邪魔をしないと言えます。
抗がん剤治療、科学療法をしている方にも状態を熟慮した上で併用することができるはずです。(もちろん主治医とのカンファレンスを行い、全身状態を考慮して安全と判断できるとした場合です)。
悪性腫瘍に鍼治療は禁忌(やってはいけない)とさています。鍼によってがんが小さくなることはないということです。
だとしても、副作用を軽減したり、身体の調子を整えることによりもしかしたら治療効果を上げる手助けをしたりすることができるかもしれません。
私はこれまでの経験で末期がん患者さんや移植手術を受けた患者さんへ鍼灸治療をした例があります。その際、患者さんにデメリットは少なく、何かしらメリット(治療効果いがいに話を聞いてくれた、気持ちが落ち着いたなどを含めて)があったとは思います。
普段は気になりませんが、病院で働いていたり、重い病気と闘う方と接すると現代医療の副作用を大きく感じます。
命を助けることを第一にするため仕方ないことなのでしょうが、患者さんのその後のことを考えるとあまりに大きな副作用だなと思う例があります。
鍼灸師は専門学校でかなりの時間を解剖学、生理学、病理学など現代医療の勉強にさきます。現代における鍼灸師の役割は現代医療の苦手部分を補うことが、その一つだと思っています。
代替医療とは言えないでしょうが、補完医療として鍼灸が入ることは現実的であると考えています。
甲野 功
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