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~顔面神経麻痺に鍼治療~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 顔面神経麻痺の鍼
顔面神経麻痺の鍼

 

 

世の中には病院の治療もしますが、鍼治療が良い症例がいくつかあります。

その一つに「末梢性顔面神経麻痺」があります。

 

末梢性と頭につくので対比として「中枢性顔面神経麻痺」という疾患も存在しますが、鍼治療で主に扱うのは末梢性の顔面神経麻痺です。以下は末梢性を省略して「顔面神経麻痺」と書きます。

少し顔面神経麻痺について説明します。

 

発症直後は表情筋が動かない機能不全や低運動(顔が動かない、うまく動かせない)があり、4か月以降経つと機能異常や過運動(顔の動きがおかしい、余計な動きが出る)が出現します。大まかな分類はベル麻痺(60%)、ハント症候群(15%)、頭頸部外傷性麻痺(6%)、手術損傷性麻痺(3%)とされています。
多くはなぜ起きるのかは完全に解明されておらず、リウマチ説、寒冷説、虚血説、ウィルス説、免疫異常説、血管による圧迫説が言われています。その中でも単純ヘルペスウィルスⅠ型の再活性化によるウィルス性神経炎が有力視されています。

 

顔面神経が神経炎によりお引き起こされた虚血状態が浮腫・膨化に進行し麻痺が発生すると考えられており、炎症による直接的な神経損傷と絞扼性損傷の2つの要素があります。
詳しくいうと、神経炎により引き起こされた側頭骨の顔面神経支配血管領域における虚血(血が足りない)状態が起こると顔面神経はむくみ、広がり、麻痺が発生。浮腫や滲出液による圧迫はさらに顔面神経管内の虚血を助長、顔面神経の浮腫はさらに悪化していき、悪循環をなして麻痺が成立するというものです。

 

原因には過労、寒冷、抜歯、妊娠、紫外線曝露などがあるとされています。

 

日本にでは、60~70%が予後良好であり、自然治癒率は60%とされ、後遺症として病的共同運動(勝手に別の顔の部分が動く)、拘縮(顔が固くなる)、ワニの涙(自然と涙がこぼれる)、痙攣兎眼(目が充血して赤目になる)などがあります。

症状をみる上で柳原40点法というやり方がよく行われ、発症後4週後時点において40点満点で8~10点だと回復は遅延し、後遺症が出現すると統計的に言われているそうです。
そして、涙の分泌低下、聴覚過敏、味覚低下などといった麻痺以外の症状の有無、糖尿病、悪性腫瘍、高脂血症などの基礎疾患の存在に有無によって予後が変わるとされています。

病院での治療方法としては、投薬(代謝改善薬、微小循環改善薬、血漿増量薬など)や物理療法(レーザーなど)などがあります。

 

専門的な言葉を羅列しましたが、

この疾患は原因がよく分からず、

罹ると顔が歪み(左右非対称になる)、

半分以上は自然と良くなるが、

後遺症が残るケースもある、

といったところがポイントです。

 統計的に自然に良くなるケースが多いので、経過観察という様子見が医療機関では行われることがありあますが、発症後数週間経っても改善が見られないケースで、鍼灸治療に訪れる例があります。


症状固定といって変化が見られないと、処置のしようが無いので何もしなくなることも。患者としては容姿が大きく崩れるため、心理的ダメージが大きいのですが、病院では特に何もしてくれないじゃないかと、鍼灸に救いを求める場合があります。比較的鍼灸での治療症例があるため、患者さんが調べたり、医師が薦めたりして鍼灸院に来るわけです。

 

私の場合は、主に鍼治療で対応し、表情筋に鍼を刺してパルス通電する方法を取ります。周波数は低周波の1Hz~5Hzくらいで設定します。麻痺の時期によって神経の過誤再生という顔面神経が修復する際に正しい方向とは違うおかしな再生をすることを懸念して、通電を避けるという意見もありますが、鍼の場合、パットを当てるのと異なり、直径0.16~0.20mmのものを使うことが多いので、表情筋一つ一つをピンポイントで狙えるのでリスクが下がると考えられます。

 

もちろん発症時期や経過をみてパルス通電を行うかどうは注意深く判断します。比較的麻痺発症から時間が経っておらず麻痺が小さい場合は顔面神経の再生が進んでいるであろう時期ではパルス通電を行わず置鍼という鍼を刺したままにしてそのままにしておく方が安心かもしれません。神経の過誤再生により後々、意図しない表情の動きが起きることが懸念されるからです。実際に私が診た患者さんではパルス通電を拒否された方もいらっしゃいます。

 

反対に発症から時間が経過し症状が(悪い意味で)落ち着いている患者さんにはパルス通電をして顔面神経を刺激してあげることは良いかと思います。東京大学附属病院で勤務する鍼灸師の先生も埼玉医科大学病院で研究をする鍼灸師の先生も顔面神経麻痺にパルス通電を行う方法を採用しています。目を閉じようとすると口も一緒に動いてしまう後遺症があるのですが、分離して動かせるように2台の機械を使用してタイミングを別々にする方法を埼玉医科大学の先生は見せてくれました。

 

私は患者さんから経過を聴いて表情筋に動きなどを加味して決めますが、パルス通電を行う方が多いです。


耳の後ろの顔面神経が出ている部分にもアプローチしていきます。

 

解剖生理学的な表情筋、顔面神経を狙うやり方はポピュラーと言えます。これに加えて手足の経穴(ツボ)を使った経絡(伝統的な東洋医学のやり方)を加味することもあります。
また、他の先生では、鍼を表情筋に一切刺さないやり方、顔以外にお灸をするやり方など、様々な方法があるようです。

 

正直なところ、ある程度症状が固まってしまった場合、鍼灸治療を施しても劇的な改善が認められないのが現状のように思われますが、患者さんの満足度は高いと言えます。
顔面神経麻痺の治療の中に、鍼灸治療が選択肢に入っていると考えられます。

 

甲野 功

 

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