治療時間

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~複合刺激~

ネパール棒灸というものがあります。


ネパール棒灸は「ネパールのよもぎを使用して作られた棒灸」という“品物”の名称と「ネパール棒灸を使った施術方法」という“手法”の名称の二つの意味があります。

 

品物としてのネパール棒灸は最初に書いたとおりネパールのよもぎを使ってできている棒灸です。棒灸とは直接皮膚に触れないお灸の一種でよもぎを加工して棒状にしており、火をつけて皮膚に近づけると、その熱で人体に作用させるもの。
ネパールのよもぎを使うこと以外に、一般の棒灸と大きな特徴の違いはありません。

 

施術方法としてのネパール棒灸は以下のことをします。
薄い衣服の上にタオルなどを掛け、棒灸を付けます。そしてミトン(いわゆる鍋掴み)を装着した手でその場所を押圧します。大雑把に説明すると、これが治療行為としてのネパール棒灸の手順です。


ネパール棒灸は畑美奈栄先生により考案されました。詳細は省略しますが、知りたい方は「ティティパティ よもぎの会」ホームページをご覧ください。

 

東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科時代に、同級生がこのネパール棒灸について実験研究をしました。ネパール棒灸の施術が人体の自律神経にどのような効果をあらわすのか実験をしたのです。

ネパール棒灸を施す刺激群と何もしないで同じ時間寝ている無刺激群(コントロール群)に分けて、自律神経の状態を数値化し、時間経過で計測します。結果を刺激群と無刺激群で比較し数学的処理を行い比較します。
細かい手法、数値は省略しますが、ネパール棒灸をした刺激群は明らかに(有意差があった)自律神経に影響を及ぼしリラックスした、という結果になりました。

 

この発表を聞いた次学年の学生は、ネパール棒灸の熱を与える温熱刺激とミトンで押す押圧刺激の二つが効果をもたらしのならば、
「各々単刺激で行った場合は効果が出るのだろうか」、
と疑問に思いました。
そこで追実験として、棒灸だけの刺激群と押圧だけの刺激群に分けて実験を行いました。
結果は、どちらも自律神経に明らかに影響を及ぼさない(有意差はなかった)というものでした。

 

かなり実験手法や数値、結果について簡略化して書いておりますが、ここまで書いてきたことをまとめると
・ネパール棒灸という手法は、ネパール製よもぎによる棒灸と人間の手による押圧によって刺激をする
・受けた人は自律神経に影響を受け、リラックスする
・棒灸のみの温熱刺激だけでは自律神経に影響を及ぼさない
・押圧刺激のみでも自律神経に影響を及ぼさない
・温熱刺激と押圧刺激という複合刺激が効果を出しているようである
となります。(実験の精度やデータの計算方法について何も問題が無かったという前提ですが)。

 

この報告は私にとって、とても興味深いのでした。他の刺激パターンでも、1種類の刺激では効果が出るほどではないが、他の種類の刺激を加えることで効果を出る可能性を示唆するからです。

 

鍼灸師はその名前の通り、鍼と灸を一緒に患者さんに行うことがありますし、手技による(いわゆる)マッサージと鍼を組み合わせることもあります。半面、鍼刺激のみで終えることも多々あります。
鍼刺激だけでは効果が無かったケースで、別種類の刺激を入れることで、効果が現れ、それまで行っていた鍼刺激を活かせることになる、という予測が立つのです。

 

臨床において、治療効果が出なくて行き詰ることはよくあります。そのときに、観点を変えて、もう一つ別種類の刺激(治療手法)を加えて複合刺激にすると、良い結果ができるかもしれません。勿論病態把握をしっかり行った上の話ですが。

 

2年がかりのネパール棒灸による実験研究報告は、私に新しい考え方を与えてくれました。

 

甲野 功