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~5年生存率~

5年生存率
一般的にはガン(悪性新生物)に罹った患者の予後を示す医学的統計的に基づく指標で、5年間生存できればその後も長く生きられるため用いられます。

ところが、鍼灸専門学校で教員をしている同期の口から上記と異なった意味でこの用語を耳にしました。
それは、
専門学校を卒業し鍼灸師の国家試験を通ってから5年以上経過しても鍼灸を続けている率
を指すそうです。卒業後3年経過ならば、「3年生存率」だそうです。業界用語のようなものでしょうか。鍼灸師から身を引く人間が多いことを暗に示す言葉。
それまで一度も聞いたことがなかったので軽い衝撃でした。

 

鍼灸師の資格を取っても活かさないで鍼灸師を辞めてしまう人が多いということは噂で知っていました。そして鍼灸受診率がとても低く、低下傾向にあることも。

つまり、せっかく鍼灸師になっても技術を発揮することなく業界を去っていく人間が多いことを専門学校業界としては大きな問題としているわけです。


我々の世界は臨床研究教育の3つの柱があり、私のような開業鍼灸師やどこかに所属して働く勤務鍼灸師が臨床の大部分を担います。次に大学や専門学校、鍼灸師による学会などが中心となって鍼灸技術について研究を行っています。そして、専門学校と大学が主体となって(鍼灸師の学術団体も含めて)教育分野を担っています。


学校で学生を教育し、鍼灸師の資格を取っても業界を去ってしまっては意味がありません。学校の大きな存在意義を失ってしまうからです。

 

原因はよく分かっています。
まず専門学校が増えすぎたこと。平成10年に判決が出た通称「福岡裁判」によって柔道整復師専門学校の新規開設が解禁され、鍼灸養成専門学校も一気に増加しました。それまで狭き門であった世界でしたが、どんどん入学定員が増して、ある意味、誰でも入れるようになりました。その結果学生の質が低下し、本気で鍼灸師(というより治療人)になろう、やっていこうという人の割合が下がったと言えます。

私は平成16年に専門学校に入学しましたが、現役の教員の話によれば、当時と今では学校の状況は大きく変わっているようです。
専門学校の増加は鍼灸師を増やす結果となり、市場に過剰供給されることになります。そのため、生き残りが大変になったことは当然の流れでしょう。また開設したものの学生が集まらず閉鎖する学校もありますから、学校も学生確保に必死で選んでいる余裕がない場合もあるようですね。

 

次に鍼灸師が増えれば比例して鍼灸を受ける人が増えると思いきや、受診率は低いまま。むしろ低下しているそうです
そうなると実力を発揮するどころか一人前になる前に淘汰されてしまいます。これは鍼灸師個人の問題なのか、環境の問題(供給過多)なのか、難しいところです。どちらにも問題があるが一番近い答えかもしれません。

 

私の周りには臨床家が多いのですが、専任教員に就く人も少なくありません。色々意見を聞いてみると、臨床の立場と教育の立場では考え方が若干異なりますが、鍼灸業界からの離脱は業界の問題と言えるでしょう。

 

開業鍼灸師にとっても5年生存率は関わります。開業したものの、5年後も鍼灸院を続けていられるかは大きなテーマ。
新卒を受け入れる職場が無ければ鍼灸師という仕事を諦めざる負えないわけですから、職場としての生存率も大切なところでしょう。私も5年で閉院とはいきませんから努力しなければいけません。
もちろん、専門学校教が存続できるかどうかという教育現場における生存率も大切です。

 

各々の立場から生存するための施策を練っていかなければならないでしょう。国家資格を取ったから一生安泰、などという時代はとっくに終わっていますから。


母校は鍼灸受診率を上げる「環境」の改善に取り組んでいます。

 

私個人でも、鍼灸師「個人」の面で生き残れる施策をこれから実行していこうと思います。

 

甲野 功