開院時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休み:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~汎用性~

私は治療院を開業していますが、週に1回大学病院勤務もしています。
普段は一人で仕事をしていますが、病院では何百人といるスタッフの一員として働いています。職場には医師、看護師をはじめ多くの医療従事者や医療事務、病院関係者がおり、働く環境が違い過ぎるくらい違います。対照的な二つの環境を経験していると、私の持つ資格は独特なものだと感じのです。

厚生労働省のホームページに掲載されている厚生労働省管轄の医療系国家資格を記載してみました。

 

医師、歯科医師、助産師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、歯科衛生士、歯科技工士、救急救命士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士。

 

医療機関に関係ある国家資格を抜粋しています。これだけ国家試験合格が必要な資格が日本ではあるわけです。


このようにみてみると、いくつかグループ分けできるように思えます。

例えば診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、義肢装具士は特別な器具や装置を扱ったりあしらったりする技術系のイメージ。
歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士は歯科部門。
理学療法士、作業療法士、視能訓練士、語聴覚士はリハビリ部門。
柔道整復師は外傷受傷者を、救急救命士は大事故に遭ったひと、助産師は妊産婦を、と各々対象とした患者像がはっきりしている。
薬剤師は薬剤の、管理栄養士は栄誉のスペシャリスト。
医師は当然ながら病人全般を対象とし、看護師は医師のサポートをする。

 

残る、はり師ときゅう師(まとめて以後、鍼灸師とする)とあん摩マッサージ指圧師は、それぞれ鍼灸とあん摩マッサージ指圧を用いてひとに施術する資格となります。鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師をまとめてあはきと呼ぶことがありますが、この3つの資格は他の医療系国家資格よりも“対象とする相手の範囲が広い”と思うのです


医師、看護師は予防目的のため健常者や疾病予備軍のひとに対しても関わることがありますし、歯科医師もそうでしょう。ですが基本的には病気になったひと、歯が痛いひとを相手にしています。リハビリ系の資格ではどのような障害を持っているかで分類しています。

 

あはきでくくられる鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師にかかるひとは必ずしも病人だけとは限りません。スポーツ選手や美容目的といった病気とは関係がないひとも対象にするのです。
それでいて、後遺症を持った患者のリハビリや、慢性疾患を患った患者の治療、ときに緩和ケアの分野で処置をすることもあります。

 

医師および看護師は別格として、あはきの3資格は他の医療系国家資格に比べて対象疾患、対象患者がとても多いと思うのです
理由として考えられるのは、古くから存在する資格であることと開業権があることの2点です。
鍼灸、あん摩の発祥は古き中国にあり、江戸時代には既に日本にしっかりと根付いました。現代医療の発展によって近代に生まれた資格とは積み重ねた年月が違います。また、開業権があるということは独自の判断で行うため、色々な状況に対応してきた歴史が、汎用性を広げてきたのだと推測されます。開業権のない医療系資格の場合、基本的に医師の判断のもと業務を遂行するので専門性が高まり対象患者は絞られるわけです。なお開業権を持つ柔道整復師では、本来急性外傷患者を扱うのが本筋ですが、近年色々な症状に手を広げているのが現状です。

 

私が開業するにあたり、保健所に申請している資格がこのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師のあはき3資格。
独立開業している立場ですから、自ら「腰痛専門」、「スポーツ専門」、「肩こり専門」などと対象者を狭めることが可能です。
しかし、医療系国家資格の中でも、現在の日本ではやや異質とも言える汎用性の高い資格を職業に選んだ以上、訪れる方を限定せずにやっていこうと思っています。
あはき汎用性があることが、資格・職業として長い間廃れずに残った理由なのではないでしょうか

 

甲野 功