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~整骨院の不正請求~

柔道整復師養成 職業倫理を必修化の報道
柔道整復師養成 職業倫理を必修化の報道

 

 

2018年度より、柔道整復師養成機関において卒業必要単位数を引き上げて、職業倫理の授業を必修化することが決まりました

これは大きな変更であり、学校関係者は対応に追われることが予想されます。

 

この決定の背景には療養費不正請求(不正受給)があります。柔道整復師における不正請求とはどのようなものなのでしょうか。

 

以前から柔道整復師の不正請求は問題視されていました。ただ、業界内で言われるグレーゾーンというものもあり、完全なブラックといえる「不正請求」の話はあまり大きく取り上げられてきませんでした。また、同じ国家資格である鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師においても不正請求はゼロではありません。

 

なぜ柔道整復師の不正請求がこのタイミングで注目されたのかを書いていきます。巷の接骨院、整骨院で各種保険取扱という文言を目にしたことはないでしょうか。多くの接骨院、整骨院ではこのような看板を出しています。

 

正確にいうと、この表記は間違いです。

 

日本では知っての通り国民皆保険制度があります。原則として日本国民は全員、何かしらの保険に加入しなければなりません。ただし強制ではなく、やむ負えない場合は除きます。
病気になったり怪我を負ったりした際にかかる医療費は原則3割を自己負担し、残りの7割が加入している保険者(保険機関)が負担をします。そうすることで病気・怪我という不測の事態においてお金の負担を軽減できるわけです。

 

幼少期においては3割の自己負担を自治体が負担してくれる地域がほとんどで、私の住む東京都新宿区は中学生まで自己負担を自治体がカバーしてくれます。さらに高齢者になれば3割の自己負担を(収入額によりますが)2割負担(実質1割負担)に軽減させています。


これは医療に関わる費用、療養費は現物支給とする考えによるもの。現物支給とは医療サービスそのもので、利用者(患者さん)に支払うということですから、実際に行った医療行為(現物)を行い、対価の3割分だけを現金で支払うということになります。

 

対して柔道整復師が開設する接骨院では受領委任払いという特例が認められています。
保険証が何かしらの理由で手元に無いときに医療機関にかかり、全額負担をしたあと、保険証を提出し手続きをして療養費の一部を返金してもらうことがあります。この場合の手続きを柔道整復師は肩代わりしてあげることができるということです。ですから保険を取り扱うのではなく、保険請求業務を取り扱っているのです。


例えば、道端で転んで足首を捻挫したとします。すぐ近くに病院がなく、目の前の接骨院に入り応急処置をしてもらいました。かかった費用が全部で5千円だったとします。

 

本来ならば接骨院に5千円を支払い、後日加入している保険者に連絡して書類を提出し、7割分の3千5百円を返金してもらいます。しかし、書類作成は手間がかかり、審査をした上で実際に返金されるのは3カ月から半年後になります。


これでは不幸にも怪我をした人が、財布からお金がなくなり、自ら返金手続きをして、数カ月返金されるのを待つ、という泣きっ面に蜂という状況になります。そのため、柔道整復師は患者さんの保険証の情報を下に、書類を作成して、患者さん本人に代わって療養費請求をすることが認めらています。患者さんは通称レセプトと言われる書類にサインをして、自分の代わりに請求業務をお願いし、3割負担分のみを接骨院に支払うだけで済むのです。これが受領委任払い制度です。

 

かつて世の中に整形外科があまり無く、外傷を負った患者さんを救うための特例措置だったのだと言われています。大昔の接骨院にはレントゲン設備があり、整形外科医院の代わりを担っていたそうです。

 

更にもう一つの特例が、実質、捻挫・打撲・挫傷の診断権を柔道整復師が持つということです。
日本では医師にしか診断権がありません。「あなたは風邪(感冒)である」と公的に診断できるのは医師しかいません。個人が発熱、咳、鼻水があるから風邪だろうと“判断”するのとは違います。
医師以外が診断することは許されていませんし、医師の診断により治療行為に保険適応がされるのです。

 

ところが柔道整復師は捻挫、打撲、挫傷の治療を受領委任払いによって保険請求業務をするため、実質診断権を持っていると言えます。なお、骨折、脱臼について応急処置は認められ、それ以降の治療行為については医師の同意が必要となります。
したがって捻挫したと柔道整復師が判断して処置を行い、それに関して保険請求業務をすれば、捻挫と診断したうえで保険治療行為をしたことに実質なります。

 

次に問題になるのが、どこまでが捻挫なのか?ということ。
あれもこれも捻挫として柔道整復師が保険請求をすることで整形外科の捻挫症例数と大きな隔たりができて、本当にその症状は捻挫なのか?と保険者に疑問を持たれるようになります。そしてやけに治療期間が長く、何カ月も保険請求をすることも保険者から疑問を持たれる原因になります。


ここのところが、最初に書いたグレーゾーンというもので、柔道整復師の“捻挫”は範囲が広すぎないか、保険適応させ過ぎではないか、という問題です。ここら辺のところは詳しく書くときりがないのでひとまず終わりにします。

 

グレーゾーンの他に、間違いなく不正請求となるものがあります。それが架空請求水増し請求です。


架空請求とは実際に接骨院にかかっていないのに、治療をしたとして保険者に保険請求をして療養費を頂く手口です。知り合いや謝礼を出して保険証を集めて、その情報から架空のレセプトを作成して請求します。
このとき集めるのはほとんどが国民健康保険の保険証で協会けんぽや組合健保の保険証は使いません。国民健康保険は自治体が保険者なのでチェックが甘く、企業が保険者の保険ではすぐにばれるからです


水増し請求は一度実際に接骨院に来院された患者さんの保険証情報を使い、実際の来院回数以上の保険請求をすることです。水増し請求にも色々細かい手法がありますが、これも長くなるので省略します。

 

こういった不正請求そのものが違法行為であるから問題になるのは当然なのですが、これまで相対的に金額が少なかったため後回しにされてきました。
ところが状況が大きく変わる事態になります。反社会的勢力が不正請求をして資金源にしたのです。いわゆる暴力団が柔道整復師を使って不正請求をして資金源にしていることを、暴力団対策の警察機関が捜査をし立件することで、重要度が大きく跳ね上がりました。
更には、接骨院における不正請求のノウハウをクリニックや医療機関に応用するという事例が明るみに出ました。

 

こうなると世間の目が向けられるので柔道整復師の養成機関は本腰入れざるをおえません。

 

私が出た専門学校ではこのような不正請求の話は一切授業でありませんでした。それどころか請求業務の実際についても触れないまま卒業しました。国家試験に出ないからです。
私の場合、柔道整復師専門学校ではに通う学生でありながら、鍼灸整骨院の現場にいましたから裏側を全部知っていました。こんな大事なことを教えないまま卒業させていいのだろうかと疑問に思っていました。


ですから、今回の決定でやっと授業に組み込まれるので安心しています。そして職業倫理ということは、どこまで建前と本音を露わにするのか興味があります。この流れは鍼灸、あん摩マッサージ指圧師の養成機関にも適応される流れのようなので、そちらの教員免許を持つ立場としても、今後の動きに注目です。

 

甲野 功

 

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