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~もしも、あまし養成課程新設が解禁となったとしたら~

前回のブログで書いたように、あん摩マッサージ指圧師(以下、あまし)養成課程を新設する申請を却下された専門学校が、それを不服として国を相手取り、裁判を起こし、今現在裁判中です。
国側は今まで通り、あまし養成課程を新設することは認めず、請求棄却を求めていると報道が出ています。

同じような裁判が過去にありました。平成10年に判決が出て、鍼灸師と柔道整復師の養成学校が新たに新設される状況になりました。今回の裁判で判決がどうなるか分かりませんが、もしも、あまし養成課程を新たに作ることが認められた場合、どのような状況になるのか予測していきたいと思います。

1.あまし養成学校が急増する


新設を申請したが却下されたために起こした裁判です。当然、専門学校側が勝訴すればあまし養成課程を増やすことでしょう。
訴えを起こした4校に限らず、あまし科を作りたくても鍼灸科しかできなかった学校は、続いて新課程を新設することが予想できます。


鍼灸師のみの養成課程を専科、鍼灸とあまし両方の養成課程を本科、と業界では呼びますが、本科を持つ学校が増えるでしょう。従来、本科を持っている専門学校は伝統校と言われる、国家資格になる前の古くから存在する学校に限られます。いわば規制前からある学校です。


平成10年の鍼灸科開設解禁以降の新規参入校は本科を作りたくても作れない状況でした。そのため、伝統校の本科は生徒が集まりやすく、学校としては大きな収入になります。専科では専門学校が乱立したことで生徒集めに苦しむ状況になっています。同じ3年間で鍼師、灸師、あまし師が取得できるならば、少し割高でも本科を目指すのが多くの生徒の考えになるでしょう。できることなら本科を持ちたいという学校は少なくないと思います。
またこの機に、新たな資本が専門学校に参入する可能性があります。エステや整体といった民間資格の学校が、国家資格も取ることができることを売りにできるため、新たにあまし養成学校を設立する例があるかもしれません。また、柔道整復師、理学療法士、作業療法士といった鍼灸以外の国家資格専門学校も、あましが開設可能というならば科を増やすことがあるかもしれません。

 

2.あまし師が大量に増えていく


養成課程、専門学校が増えれば、当然卒業生が増えて、あまし資格を持った人が出てくることになります。平成10年の解禁から特に柔道整復師が増加していることからも、あまし師が増加していくことが予想できます。


巷に氾濫する徒手療法のお店をみれば分かるように需要があるので、あまし師を取得する人間は増えていくでしょう。鍼灸師を目指しているが、3年間で一緒に資格が取れるならば本科に入ってあましも取得して損は無い、と考える人も多いでしょう。
判決後の柔道整復師と同じことが起きるとするならば、解禁後数年で専門学校が増え始め、あまし師が急増する状況になると考えられます。

 

3.民間資格と差別化が起きる


あまし師が急増すれば、生存競争が激化するので職域を守ろうとする動きが活発化するでしょう。あましを持たずに医療類似行為をしている民間資格の存在を、量の力でねじ伏せる方向に行くと思います。


リラクゼーション業として慰安・疲労回復を主として行うのではなく、治療・改善を謳うのならば「しっかりとあまし資格をとるべきだ」と声を上げるようになるでしょう。これまでは養成学校が少なく、なりたくても近隣に学校が無いためにできませんでした、という言い訳もできましたが、養成学校が増えればそうも言えません。


あまし師が急増することでトラブルも増えると予想され、患者は施術を受ける上でライセンスを確認することが大事だという流れになるでしょう。(既にそういった注意喚起が厚生労働省から出ています。)あまし師が少なくて仕方ない、という環境から需要に見合う供給がされていくことで、ライセンスの価値が逆に上がるとも予想しています。


リラクゼーションを求めるお客さんは、リラクゼーション業を生業とするお店に行く。治療や改善を求める患者さんはあまし師がいる治療院やマッサージ院に行く。利用者もはっきりと目的別に行動する環境になると思うのです。カイロプラクティックでも整体でも、人の身体を良くしようとするならば「最低限のこととして国家資格であるあまし師を取得すべき」という世界に学校が増えてハードルが下がるとなるのではないでしょうか。

 

4.他の国家資格者への影響
私は鍼灸師も柔道整復師も取得しているので実感しますが、鍼灸師のみ、柔道整復師のみの、あましを持っていない国家資格取得者はマッサージに対して意識が低い傾向があります。確かに身体を触る職業ですが、専門学校のカリキュラムに身体を揉むことや押すといったいわゆるマッサージ実技は入っていません。国家資格を取る上で習う必要がありません。
それにも関わらず、鍼灸師も柔道整復師も抵抗なく患者をマッサージする例をよく見ます。もちろん本人の意思ではなく、就職先の命令や患者の希望のため、不本意ながら行っていることもあります。だからといって、鍼灸師のみの人が脱臼治せますと看板を掲げて恒常的に脱臼の整複をしていたら柔道整復師は怒るでしょう。柔道整復師が勝手に患者に鍼を刺していたら即座に鍼灸師は止めに入るでしょう。マッサージも同じ業務独占が法で認められているし、資格を取る上で関係法規をを習っているにも関わらず、マッサージはいいでしょうと開き直る例がよく見受けられます。


民間資格を無資格者と糾弾するならば、あましを持たない無免許者も糾弾されるわけです。あまし師が増えることで意識が変わるでしょうし、変わらざるおえないでしょう。生存競争が激しくなるので職域を守らなければなりませんから。(このことは盲人団体も問題視していて、柔道整復師がマッサージをすることが遺憾だと示しています。)


整骨院で全身マッサージ60分コースって何?あまし師がやってくれるのですよね。
鍼灸院でオイルマッサージ?当然、あなたは本科出ていますよね。
という突っ込みが同業者から出てくることでしょう。

 

5.不正請求が増える


あまし師の職権といえるものに保険を使った訪問マッサージがあります。医師が施術所に通院することができない、マッサージが必要と判断し同意書を書いた場合に限り、医療保険を使ったマッサージをすることができます。一度利用者がつくと恒常的な収入になります。そのため、大手訪問マッサージ企業はなるべく多くのあまし師を雇いたいという思惑があり、従業員も比較的高待遇であることが多いようです。

柔道整復師が急増し整骨院が乱立し、保険請求額が高騰し、請求が通らなくなり不正請求が増えたという現実があります。
あまし師が急増すれば訪問マッサージ業者(個人も含めて)も急増し不正請求が増えると予想できます。実際に今でも訪問マッサージの不正請求は存在しますが、あまし師の数が少ないことと、医師の同意書が必要というシステムにより不正請求額が小さいので目立っていないのです。


あまし師の急増は訪問マッサージによる不正請求件数が増えていく可能性を秘めています。

 

6.専門学校の競争が激化


先に説明したとおり、本科を持つ伝統校は有利な状況にあります。本科は生徒が集まるので学費の値下げをする必要が無く、定員割れの心配もあまりありません。専科しか持たない学校に対して差別化ができていました。


もしも、あまし養成課程を新設することが解禁になったとしたら、本科を持っている優位性は無くなり、市場原理による価格競争や授業内容による差別化が必要になるでしょう。鍼灸のみの専科だけの新設専門学校では既に様々な特色を出し、生徒獲得に必死です。伝統校も学校のカラーを明確に打ち出し生徒集めにより力を入れなければならなくなるのではないでしょうか。
専門学校の生存競争が激化し、新設する学校がある分、学科閉鎖もしくは閉校する学校が増えることもあり得るでしょう。

 

良い面も悪い面も予測してみましたが、原告側が敗訴すれば、しばらくは業界に変化が無い状況。勝訴して解禁されれば環境が激変するかもしれません。どのような結果になっても生き残るための準備をしておきます。

 

甲野 功

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コメント: 5
  • #1

    あん摩好き (火曜日, 20 9月 2016 20:52)

    仮に学校側が勝つと仰るような事が考えられると思います。エステや整体といった民間資格の学校の参入は興味深いと個人的には考えております。
    よく柔整や鍼灸の時のように雨後の筍のごとく…と懸念される方がおられます。私としては急速に増える事は予想されますが、柔整や鍼灸の時ほどではないと考えています。なぜかと言うとそれは教員要件に関係します。ご存じの通り鍼灸の学校でも5年以上の教員が必要です。5年以上の教員は今はたくさんいるかも知れません。あん摩の免許を持って5年以上教員を経験した人もたくさんいると思います。しかし「5年以上あん摩マッサージ指圧師課程」を担当した教員となると数は減ると思います。私自身はあん摩の教員資格があれば「はき課程」で5年で十分では?と思っていましたが、あん摩課程の申請を出した事のある学校の関係者によると「あん摩課程或いはあはきで5年」を求められたそうです。こういう事は担当の役人によって解釈が違うのかも知れませんが、そういう事もあり以前のような爆発的増え方はしないかな?と考えています。まとまりのない長文で失礼しました。

  • #2

    甲野功 (金曜日, 23 9月 2016 13:46)

    あん摩好きさん
    コメントありがとうございます。
    教員要件ですが、それは教務科長レベルの話ですか?新設校に限る話ですか?
    私も教員免許を持っていますし、同期も多数教員をしていますが、5年以上の縛りは聞いたことがありませんので。

  • #3

    あん摩好き (金曜日, 23 9月 2016 20:40)

    あん摩マッサージ指圧師に係る養成施設指導要領(医政発 0 33 1 第 3 5 号
    平成 27 年3月 31 日)の6.教員に関する事項(5)に書かれております。
    学校を新設する時に主に関係します。
    専任のうち2人は5年以上の経験が必要だと。「はき」課程でも「あはき」課程でも必要です。私がコメントで書いたのは「あはき課程」を申請する時に「はき課程」で5年経験を持つあはき師の免許を持つ教員は「あはき課程」で5年経験がないのでダメと言われたという話しです。

  • #4

    甲野功 (土曜日, 24 9月 2016 16:40)

    あん摩好きさん
    どうもありがとうございます。そこまでは知りませんでした。

    あはき課程で5年経験がある先生というのは当然存在します。ある程度の額を出して引き抜いたり、要件を満たす人材を探してオファーをかけたりすることがあるでしょう。教員業界も結構ひとの移動があります。引き抜きの話も実際に耳にしたことがあります。もしも解禁となったら、教員を取り合ってでも新設に動く可能性があるかもしれませんね。

  • #5

    一見さん (日曜日, 05 2月 2017 13:40)

    以前別のブログでコメントさせて頂いた者です
    ここだけの記事に対して失礼ですが意見を述べさせていた咲きます

    ●不正請求が増える
    訪問マッサージの不正請求は柔整ほどは増えません。
    健康保険使用には医師の同意書が必要で、最近ではどこの地区でも医師会などの理解や協力を得られにくくなっているとききます。
    それは、
    ①PTなどのリハビリテーション職による訪問リハがあるから、訳のわからないマッサージ師に同意書を書く意味をみいださない。
    訪問リハのPTがどんなに酷いことをやっているかを知らず、PTが上とも思われている。
    もちろんちゃんとしている人が大勢ですが。
    まあ、これにはあましの技術、アピールなどの努力不足も大きいと思っています。

    ②最近の不正請求(柔整も含む)と医療費の増大に対して医療業界から反発されている

    ③トラブルなど(不正請求や施術過誤等)になった場合、同意書を書いた医師もトラブルに巻き込まれると思っている医師が多いので、書きたがらない

    ④訪問マッサージ施術者が個人で保険請求できる地区もありますが、鍼灸師会やあまし会などの団体に入って、そこを通して保険請求しなくてはならない所もあるので、水増し請求、不正請求のチェックも厳しいところが多い

    などの理由により不正請求はそんなに多くならないと思います。