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~鍼の話 出産の鍼~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 生まれたばかりの長女
生まれたばかりの長女

 

1月26日は長女の誕生日です。すなわち、私が父親になった私の誕生日ともいえそうです。その日、初めてのお産で私たち夫婦は新宿区内の病院、陣痛室にいました。前日の破水からすぐに病院に駆け付けたものの、陣痛がきちんとおとずれず、入院して様子見することに。翌26日の朝になっても陣痛が来ないため、陣痛促進剤を点滴投与していました。25日の夜に私だけ一度帰宅し、仮眠。当時勤めていたクリニックに急遽26日を休む連絡を入れておきました。朝、妻から連絡があり、陣痛促進剤投与になると知り、準備を整えて病院に戻りました。点滴を開始しても、なかなか本番の陣痛が来なくて数時間経過。繋がれたモニターの、陣痛を示す波形はなかなか大きくなりませんでした。それもまでも、会陰部をテニスボールで押すとか仙骨部を擦るといった、手助けをしていましたが、ずいぶん時間が経過しています。体力はどれだけもつのだろうか。初産は時間がかかると聞いていますが、大丈夫だろうか。

そこで私は、数年前に出た鍼灸専門学校の卒後研修で習った出産の鍼をする決意をしました。

出産の鍼とは、正確に表記すると出産を促す鍼灸手法といったもの。出産時間を短くする効果があるとされる鍼灸技法です。私の専門学校の先輩鍼灸師の先生が、臨床経験から編み出したもので、一般に広がっていないかと思います。先生は不妊治療専門の鍼灸院を開業して、不妊から出産まで携わっている課程で、正規周産期を過ぎても出産しない患者さんをみて、何とか帝王切開ではなく自然分娩させたいと思い、中条流の堕胎の経穴(ツボ)を参考に作られたそうです。中条流は、江戸時代まであった堕胎を専門とする医師の派閥、といったところでしょうか。大ヒットしたドラマ、仁(これは現代の脳外科医が幕末期の江戸にタイムスリップする話です)にも用語として登場したもので、世間一般にも割と有名だったようです。中条流そのものについては詳しく知らないのですが、鍼灸を使って堕胎させる術を中条流が持っていた、という話は専門学校で聞いていました。鍼灸師にとっては中条流はどこかで聞いたことがある用語ではないでしょうか。

 

先生はこの中条流で使用していた経穴を組み合わせれば、出産しやすくなると考え、堕胎とは逆の出産に応用しました。その方法を研修のおまけとして教えくれました。(研修そのものは鍼灸における不妊治療がテーマのものでした。)なお、先生の承諾を得ていないので先生の名前や、具体的な手法は控えさせてもらいます。

 

もしかしたらと思い、鍼道具を持参したことが功を奏しました。出産の鍼など、聞いた当時は絶対に使うことはないと思っていましたが、やる機会が訪れました。これくらいなら、母体にも胎児にも悪影響がないだろうと判断できる経験を当時すでに積んでいたことも後押し。腹部と足の経穴に鍼を刺して、ある経穴には雀啄(刺した鍼を上下に動かす)しました。はっきりと効果があったのかどうかは判断つきませんが、その後順調に陣痛は強くなり胎児は降りてきて、分娩台に移乗してから10分程度で無事出産できました。感動と安心しました。鍼灸師として安産の鍼灸を妻にしてきましたが、出産の鍼という奥の手を実際にするとは思いませんでした。きっと使うのは最初で最後でしょう。身内でなければ怖くてできません。また何時間も陣痛と戦う姿を目の当たりにしないと決心はできなかったと思います。何はともあれ、5年前のあの出来事は忘れらません。

 

鍼灸がこの世にできてから、正確に何年経過したかは判明していません。日本に入ってきてからでも軽く1000年以上の時間を経ています。長らく臨床現場で発展してきた鍼灸。社会情勢の要請で堕胎させる手法が生まれて、それを応用して出産を促す手法ができあがる。面白いものです。

 

甲野 功

 

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