治療時間

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~あはき師の不正請求~

あん摩マッサージ指圧師鍼師(はりし)灸師(きゅうし)は厚生労働省が認めた医療系国家資格を有する医療類似行為を行います。3資格の頭文字をとってあはき師と業界ではよびます。


このあはき師には、それに柔道整復師もそうですが、開業権が認められています。医師、歯科医師を別格とすると、医療系の国家資格で開業権を持っている資格は、あはきと柔道整復師くらいなものです。看護師、理学療法士、作業療法士などには開業権がありません。例えば看護師が看護院を、理学療法士が理学療法院なるものを始めることはできません。言語聴覚士や放射線技師などももちろん開業権がありません。

 

あはき、柔道整復師は自ら治療院や接骨院(法律上は施術所という)を開くことができます。すなわち、ほとんどの医療系資格がそうである、「医師の指示のもと」という前提無しに「独自の裁量で」患者さんに治療行為(法律上は施術という)を行うことが許されているわけです。そのため、社会的責任が大きくなります。

更に、あはき、柔道整復師には特例で医療保険を使った施術が認めらています

柔道整復師の場合、捻挫・打撲・挫傷に関しては医師の同意が無しに保険請求をすることが慣例で認められています。骨折と脱臼については医師の指示が必要になりますが。
そのため、柔道整復師の保険診療は、色々不正を行うことができてしまうため、問題になっています。これまでも何回か紹介してきましたが、今までと異なりこれから不正請求に対する目が厳しくなることでしょう。

 

そして、あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師についても、柔道整復師ほど緩くはありませんが、医師の同意の上で限られた疾患については保険治療(施術)が認められています。


鍼師においては、特定の疾患に対して医師が鍼治療をすることで良い効果が認められたと判断したときに、医療保険がおります。ただし混合診療は禁止されているので、その疾患に対しては鍼以外の保険治療は受けないことが前提となります。実際には慢性となり歩行困難で通院ができない患者さんが対象になることが多いです。


あん摩マッサージ指圧師の場合は、通院困難な症状で医師の同意があったものに対して訪問マッサージという形で行うことがほとんどです。部位に応じて保険治療が行われ、随時医師の同意を得る必要があります。

 

柔道整復師の不正請求が目立っておりますが、当然ながらあはき療養費に対する不正請求も存在しています

今回、厚生労働省が調査した、あはき療養費の不正請求等の調査実績が公表されいますので、紹介してみましょう。
調査対象は後期高齢者における不正請求です。実際にはほとんどが後期高齢者広域連合に対して療養費を請求しているので、実数との差はないでしょう。

 

資料によれば、あん摩マッサージ指圧、鍼・灸療養費の支給にあたり、不正請求等と判断された事案について、全国47都道府県の後期高齢者医療広域連合に対して調査を実施した結果です。各都道府県の不正請求等と判断した事案について、平成20年4月から平成28年11月8日時点までの全ての事案を報告対象としています。
後期高齢者医療制度の発足時(平成20年4月)からこれまで(平成28年11月)の不正請求等の件数は、全体で約55,000件であり、不正請求等の金額は約950,000,000円とあります。

約8年で9億を越える不正請求があったということです。もちろん後期高齢者制度が始まる前の不正請求についてはカウントされていません。また協会けんぽ、健康組合への数字も抜いた数字なのです。

 

不正請求の内容については以下の通りです。

ケース1:往療料の距離の水増し
施術所から離れている場所に訪問すると往療料が加算されます。それだけ手間がかかっているからといことです。これを以下に実際よりも遠くまで、移動をたくさんしたかのように装い、過剰に往療料を請求するというものです。


ケース2:施術回数の水増し
実際に施術した回数よりも多くしたことにして請求します。施術していないのに、あたかもしたかのように書類を作成したり一度の施術を複数日分請求したりする、といったやり方です。


ケース3:同一家屋の複数患者の 施術に対する往療料の重複算定
同じ施設や家庭で、一度に複数の患者さんに施術をしたことをまとめずに報告、別々に訪問したとして往療料を余計に請求する。


ケース4:歩行可能者に対する往療料の算定
実際には、歩行可能な患者であるにも関わらず、歩行困難者なので訪問しましたよ、と往療料を不正請求する。


ケース5:申請書・同意書の偽造
各提出書類を改ざん・偽装して請求する。


ケース6:架空請求
もう施術をしていない患者さんや既に死亡している患者さん、入院中で施術を受けられるはずのない患者さんの名前を使用して書類を偽装して請求する。


ケース7:再同意の虚偽記載
一度、医師が治療の同意をしても、継続治療を行うには医師の再同意が必要なのですが、それを得ていないのに書類を改ざんして請求をする。


ケース8:温罨法加算等の付増請求
温罨法や電療といったすると保険が加算される施術を行っていないにも関わらず、行ったかのように書類を偽装して請求する。


ケース9:無資格者による施術
あん摩マッサージ指圧師資格を持っていない者(鍼灸師でも柔道整復師でも同じ)がマッサージ施術を行っていないのに請求をする。


ケース10:支給対象とならない16km超の往療の請求
申請する施術者住所(施術拠点)から16kmを越える訪問施術には往療料が支給されません。そうしないと際限なく遠い場所まで回って往療料を請求してしまいます。それをあたかも16km以下のように偽って請求する。


他にも、
施術内容の振替
往療料の架空算定
実際に施術を行った施術者とは異なる施術者名での請求
同意書の改ざん
といった内容が報告されています。

 

まとめると、書類を偽装して、施術実績や往療料を水増しで請求する。そもそも資格を持っていない人間が施術を行う。こういった不正、違法行為を行って余分に療養費を請求することがあるのです

※なお、あはきを持っている施術者以外にも事務作業を行う業者・事務方が不正を働いている例もあるので、一概にあはき師が悪いとも言い切れません。純粋に患者さんに向き合っているだけなのに、不正の片棒を担がされていることもあります。

 

療養費の請求先は公費です。皆さんが納めたお金から不正に取っていくのです。個人を騙すのとは違い、被害を実感しづらいことが問題の一つと言えます。

うちは訪問マッサージをしてもらっていないから、鍼灸を受けたことは無いわ、と無関心ではいけないことでしょう。給料から天引きされたり、確定申告で納めたりするお金が不正に持っていかれているわけです。

 

これまでに、後期高齢者だけで9億以上。それも不正とはっきりしたものだけです。

 

もちろん、正しい請求をしている個人、業者が大多数なのです。不正を働くのはごく一部の人間です。しかし、同じ業界にいるものとして私はこのような問題が現在進行形で生じていることは知ってもらいたいと思います。柔道整復師専門学校はこういった不正請求に対して、授業カリキュラムで倫理を教えていくことが決まっています。あん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師のあはきにおいても学生のうちから不正請求について知ることが大切です。利用する患者さんにも知ることが大切です。

 

甲野 功