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~ブラインドダンス~

先日足を運んだJDCイーストジャパン・ダンス選手権。社交ダンスで競う大会ですが、年齢層が幅広いことを書きました。もう一つ、私にとって貴重な経験だったことを書きます。

 

ブラインドダンスを実際に見ることができたこと

 

ブラインドダンスとは視覚障害者が社交ダンスで競技を行うものです。通常は片方が健常者、相手が視覚障害者のカップルで踊ります。カップル両方が視覚障害者である場合もあるようです。
細かい配慮があるようですが、視覚障害者が行うというだけで、ほとんど一般の競技会と変わりません。私が見た大会では視覚障害者の選手には花飾りつけて周りが判別できるようにしていました。またブラインドダンス競技の前には視覚障害者席が作られ、練習時間も含めて、競技にスムーズに参加できるように工夫されていました。

 

社交ダンスには男女がしかっりと組む(ホールドを組む、と言います)スタンダード(モダン、ボールルームとも)と、離れた状態で踊るラテンの2種目が基本です。

前者のスタンダードは身体の接触面積が広いため、健常者の相手が行き先や足形を指示すれば(リードと言います)かなり踊れるものです。ラテン種目でもできないことはないでしょうが、スタンダードの方がずっとやりやすいことでしょう。

私はスタンダードが専門ですが、ブラインドダンスで使っているステップは一般のそれと変わりありませんでした。また、LOD(ラインオブダンス)という競技会ルールも守っていました。

 

ブラインドダンスの歴史は平成18年に世界初の試みとして開催された第一回全日本ブラインドダンス選手権大会から正式に始まったようです。(日本ダンス議会(JDC)ホームページより)。
比較的新しい分野なのです。

 

車いすダンスと並ぶ、障害者と社交ダンスを結ぶもの

 

ブラインドダンスは私にはとても感慨深い存在です。
大学で社交ダンスを始めてから20年以上経ちます。現在はあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師として10年以上治療行為を生業としています。この、どちらにも関係するのがブラインドダンスなのです。

 

ブラインドダンスは社交ダンスの一種。視覚障害者が行うという点だけがポイントです。そして、昔からあん摩師、鍼灸師は視覚障害者が就く職業でした。今でもあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師を養成する盲学校が存在し、視覚障害者でも国家資格を取得し働いています。私は晴眼者(視覚障害がない健常者)ですが、資格職業として関わりが深いわけです。


実際に今まで同じ職場で4名の視覚障害を持つ方と一緒に働きました。一口に視覚障害といっても、先天性全盲、事故の後遺症による弱視、片目が見えない、先天性弱視と様々なタイプがありました。彼ら彼女ら全員に言えることは仕事上ほとんど差が無く、自信を持って仕事をしていたこと。時に本当に見えていないのかな?と不思議に感じるくらいです。

 

職業的に近い存在である視覚障害者と趣味である社交ダンスが重なったものがブラインドダンス。二つの側面から考えると意義深い存在です。

 

ブラインドダンスはパラリンピックに代表される障害者スポーツと少し異なります。障害者スポーツでは障害のレベルに応じて点数が変わったり、ルール上制約をかけたりし、障害者同士でもハンデが無いように調節した上で競技を行います。ブラインドダンスにはそのような面がほとんどなく、健常者と変わらないルールで競技会が行われます。


障害がありながらも肉体能力の限界に挑戦する、そのためにルールを細かくして土俵を公平にするのがパラリンピックをはじめとした障害者スポーツではないでしょうか。

対して、ブラインドダンスはなるべく健常者と変わらない環境で同じ土俵で社交ダンスを介して競いあうもの、そのように感じます。

スポーツというより、人生を豊かにするための生涯教育という側面を感じます。


若く肉体が充実している人はブラインドダンスではなく他の障害者スポーツを選択する気がしますし、それこそ東京パラリンピック出場を目指すかもしれません。ブラインドダンスはアスリートであるに越したことはありませんが、優れた身体能力が無くても挑戦できるのではないでしょうか。

 

また、仕事がらブラインドダンス(および社交ダンス)がリハビリテーションや疾病の予防分野に活用できるのでは、という考えを持っています


わが国では、先天性ではなく後天性の視覚障害は糖尿病によるものが多いのです。特に機能異常が原因のⅠ型糖尿病ではなく、生活習慣が原因となるⅡ型糖尿病によるものです。

糖尿病は細い血管をぼろぼろにします。腎臓の糸球体や目の網膜、手足の末端などに細い血管が存在するので、糖尿病が進行すると腎不全、網膜症、末端壊死が起きてきます。不摂生がたたり、中高年で視覚障害になるケースの割合が高いわけです。
そうなったときに社交ダンスは運動療法になりますし、糖尿病悪化を防ぐ作用があると考えます。
※もちろんブラインドダンスに取り組むひとが皆さん生活習慣の不摂生であると言っているのではありません。一般的な話です

 

社交ダンスの良い所は何歳からでも始められること。体が衰えてくる年齢でも始められるため、一般的な障害者スポーツよりも、やりやすいはずですし、比較的外傷を起こす確率も低いはず。もしも中年以降で視覚障害を患ったとしても、健康維持や充実した生き方の手助けに適しているのではないでしょうか。


特に競技会では正装、燕尾服とドレスに身を包んで行うことは、非日常を演出します。私が一緒に働いていた全盲の視覚障害者は、生まれつき視力がありませんでした。見た目という概念が存在しません。だからこそ、綺麗にお化粧し、髪をセットするのだと話しました。自分でその姿を確認することはできませんが、周囲の反応が違うからだそうです。
障害を持っていても煌びやかな恰好をしてみる。障害者も生き生きと楽しむことができる機会がブラインドダンス競技会なのではないでしょうか。

 

このように、ブラインドダンスを初めて目の当たりにして、大きな可能性を感じました

社交ダンスをしてきたこと、あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師であること

二つと繋がるブラインドダンス。どのように発展するのか期待しています。

 

甲野 功

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