開院時間
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社交ダンスを習い始めると、とても初期の段階で真っ直ぐ立ちなさいと指導されることがほとんどです。真っ直ぐ、とは傾いていない、歪んでいない、芯の通ったといったニュアンスを含んでいます。ホールドという基本中の基本の構えにおいても、左右の腕の高さが合っていないといけません。そこからアレンジするのは構いませんが、最初に基準となる真っ直ぐ立つ、構える、といった基本を学びます。
人はきちんと訓練しないと、真っ直ぐに立つことはできませんし、左右の腕を同じ高さに挙げることも難しいのです。鏡で確認しなくても(つまり視覚に頼らない)これらの動作をすることは想像以上に難しい。社交ダンスに限らずスポーツ全般において、自らの身体を思い通りに使うことは根本的な課題となります。それができないからコーチに直してもらい、動画で確認する、といったことが必要になるわけです。
上記の事ができない原因として身体の左右バランスが悪いということがあります。本人は左右均等になっていると思っていても、右の肩が普段から落ちているだとか、左の骨盤(正確には腸骨稜)の位置が高いだとか。あるいは右足に体重を乗せやすいが、左足ではそうでもない、だとか。こういった状況(もしくは症状)は当たり前にあることです。日常生活の癖、身体の不調による結果、など様々な要因が考えられます。
例えば、
・球技を本格的に行ってきた選手はどうしても利き手の肩関節の方が逆側よりも可動域が良い
・右利きの人は右肩の方が左肩より凝ってくる
といった生活面の要因。
・腰が痛くてかばうために腰の高さが左右で違う
・手術した後遺症で左膝が曲がりづらくなったため
といった疾病面の要因。
左右バランスが悪いと分かる顕著な例としては、片方の肩にしか鞄をかけられない、片方の靴ばかり底がすり減る、というもの。細かいことを挙げればシャツの裾に腕を通すときにいつも同じ側の腕からしか通せない。自転車に乗るときに同じ側からしか乗れない。そういう日常動作からも垣間見えるのです。
このような左右バランスの悪さは社交ダンスをする上で、もちろんスポーツ全般、さらには日常生活にも、影響を与えます。多くは悪い方で。極端な例えですが、片足だけスパイクを脱いで普段通りのスピードで走れるでしょうか。走れないでしょう。これが、一般人よりも鍛えられたスプリンターの方が、顕著に成績差が出ると思います。左右バランスを良くすべきであるエピソードを幾つか挙げてみましょう。
・ある漫画家はとても肩こりが酷くて悩んでいました。職業病と諦めていたところ、利き手ばかり使っているのがいけない、左手もよく使うようにと言われ、左手でなるべく日常動作を行うことで、肩こりがかなり軽減したといいます。
・野球選手は利き手をどうしても使うので身体のバランスを良くするために、敢えて利き手でない手でキャッチボールをしたり、ボーリングをしたりすることがあるそうです。
・マンガの世界ですが、『キャプテン翼』という作品で日向小次郎というメインキャラが海外のプロサッカーチームの入団テストを受けるも、筋肉の付き方が左右でいびつであるから使い物にならない、と言われてしまうシーンがあります。そのいびつな筋肉の付き方のせいでドリブルが予測できない動きになるというメリットもありましたが、きちんと科学トレーニングを積んで左右バランスを整える描写がありました。
左右バランスを整えることは身体をメンテナンスする場合とても重要になります。あじさい鍼灸マッサージ治療院院のサポート選手である坊迫有紀先生は片方の肩にしか鞄を掛けられなかった(掛けるとずり落ちてしまう)のが、うちに来るようになって反対の肩でも掛けられるようになったと言いました。美を競うダンスでは左右差がある身体は見た目にもパフォーマンス面でもよくありません。スポーツ選手では怪我をしやすくなる場合があります。一般の人では肩こりや腰痛の誘因になることもあります。
左右バランスを整える方法が按摩指圧、マッサージ、鍼、ストレッチ、骨格矯正、など幾つもあると思いますが、それを一つの指標にすることは大切です。内臓が左右対称についていないので(心臓は中央よりやや左寄り、肝臓は右にある)完璧な左右バランスは存在しないでしょうが、悪いよりは良くした方がいい。そう思います。
甲野 功
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