治療時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休診日:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~予防施術~

あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業して丸3年。その前の出張専門で独立してから丸5年。当初から用意した治療コースで一つだけ、正規の依頼がなかったものがあります。
それが機能回復訓練コース。

 

これは10分と短時間でリハビリのお手伝いをするもの。完全に患者さんが頑張る内容です。
1回、1000円。回数券購入ならば1回分が500円。保険を使わずともかなり安くできる料金設定にしています。
利用は頻繁に通える患者さんということで、原則新宿区民の方を対象としています。

 

開業当初から掲げてはいたものの、正式な依頼を受けたことはありませんでした。予想の範疇でしたが。

脳卒中後の後遺症、外傷後の後遺症、転倒予防、などに対して機能回復訓練やリハビリを行うのですが、このような分野は保険制度がしっかりしているので、病院や整骨院にいけばいいわけです。保険が効かない自由診療でわざわざすることはないと言えます。

ニーズが無いだろうと予想しながらも、コースとしてずっと掲げていたのには、鍼灸整骨院勤務時代やクリニック勤務時代にリハビリ業務をしていた経験から、掲げるべき(残しておくべき)だと思っていたからです。
数年前からリハビリ難民という言葉が生まれており、脳梗塞を患い身体機能に不備が残ったとしても、病院から早めに退院を余儀なくされ、どこに行けばいいのかわからない患者さんを知っていたのです。

 

鍼灸整骨院時代に退院せざる負えなくなった方が車椅子で初めて来院しました。ここでリハビリをしてくれないですか?と。担当した私はできる限りの方法を試し、灸と抵抗運動、他動ストレッチなどを組み合わせて施術しました。何ヵ月もかかりましたが毎年欠かさずに行っていた旅行にいけるくらいに回復したのです。この経験はとても大きかったです。
その後、独立するにあたって、本来は理学療法士・作業療法士の領域かもしれませんが、困った人に役立つためにコースとして掲げるべきだと決めていました。

 

独立から5年経過して、初めて機能回復コースの依頼がありました。回数券を購入して継続して行うという患者さんが現れました。
それまで、按摩指圧や鍼灸コース内で一緒に機能回復訓練をしてしまうことはありました。つい最近まで義母の歩行訓練も行っていましたし。今回、初めてコース単体の依頼があったという事実が大きかったのです。

 

そして、依頼した患者さんの話を聞いて考えさせられることになりました。

 

患者さんはある神経障害があり、平地を歩くことはほぼ問題がないのですが、階段の昇り降りや電車に乗るのが困難です。障害者手帳を持っているレベルです。普段は杖を持ち、ヘルプマークを付けて出歩いています。


事務仕事ならば大きな支障が無いので一般企業で働いています。まだ若いのですが、歩行困難があるので筋力やバランス力が衰えてきていることを実感しているし、自宅ではよく転ぶそう。今のうちに鍛えておかないと年を取ったときに歩けなくなると思い、訓練をしてくれる場所を探しました。


自治体をあたったのですが、正業に就いているから保険は使えません、だとか、平日のこの時間だけならできますよ、といった返答で困っていました。以前勤めていた医療機関に相談したら対応するというので月に1回程度電車に乗って訓練に行っているそうです。


そもそも電車に乗るのが大変な状態ですし、週末は本来の症状に関する受診が必要な身。医療機関から、自宅で行うようにとメニューを渡されるのですが、どうしても自分に甘くなるのでさぼってしまうそう。近場で頻回に訓練してくれるところがあれば助かるということでした。

 

話を聞いて制度の矛盾を感じてしまったのです。


予防という意味では、今が大切で動けなくなる前に対応しなければいけない。しかし、あなたはまだ働くくらい元気で介護も必要が無いから行政の助けはいりませんよね、と言われたようなもの。歩行困難や大きな疾患にかかればみますからね、という感じ。完全に悪い状態にならなければ保険サービスを受けられないのか?という話です。既に障害者手帳を持っている状態なのに。リハビリが必要な疾患名がつけば利用できますという。

 

予防医学という学問はあっても医療保険制度に則った予防医療は存在しないではないのか?、そう思いました。確かに曖昧な状態で誰でも彼でも保険適応にすれば財政破綻に突き進むので、本当に必要な状態の方に限定するのは分かります。


ですが、働いて納税できる状態のうちから予防していくようにお金を使うことが長い目で見て大事なのでは、と考えました。こういった部分は行政よりも民間のフィットネスクラブの方が先を行っているかもしれません。予防施術といえる取り組みは既に行われています。例えばカーブスのような。

 

医療従事者が対応できる、かつ自由診療で保険適応の制約がない。そして高価にならないようにする。
図らずも私は、制度の空白地帯でそして規模は大きくないニーズに対応しようとしていたのだな、と分かったのです。
一度受傷して整形外科を受診すれば、後遺症が残る大きな疾患に罹患すれば、リハビリ室で訓練を行うことはできます。
そうなる前の段階を、国家資格をもった医療従事者がカバーする。健康増進という名目の民間フィットネスより専門知識および治療技術がある。


たった一人でも地域に必要としてくる患者さんがいることで機能回復訓練コースを掲げていて良かったと思いますし、あじさい鍼灸マッサージ治療院の存在意義の一つを再認識しました。

 

甲野 功