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~勘違いしがちな骨折の話~

みなさんは骨折と聞くと、どのような想像をするでしょうか?骨がぽっきり折れた状態だと思いますか。
複雑骨折とはどのような骨折だと認識していますか?
骨がぐちゃぐちゃに折れた状態だと思いますか。

 

どちらも違います。医療従事者ではない人だと勘違いしている「骨折」について書きます。

 

まず、骨折とはどのようなものでしょうか。「骨が折れた状態」でしょうか?いいえ。

医療分野で言う骨折は
骨の損傷で、「骨折は骨組織の連続性が完全あるいは部分的に離断された状態をいう」
と定義づけらています。
※柔道整復師教科書 『柔道整復学 理論編』(社団法人全国柔道整復学校協会監修) より

 

小難しい表現ですが骨に何か傷がついたらそれはもう「骨折」なのです


連続性という表現は馴染みが無いと思いますが、臨床上では腑に落ちる表現です。レントゲン画像で骨折を確認する際に、骨の線が一筆書きのように綺麗に繋がっているならば正常、線がずれたりかすれたりモヤモヤしていたりしていると骨折を疑います。まさに線が不連続という所に注目するわけです。

 

したがって、いわゆるヒビというものも不全骨折の分類に入り、「骨折」なのです。対してぽっきりと折れたものは完全骨折に分類されます。
不全骨折には亀裂骨折、若木骨折、陥凹骨折、竹節状骨折、骨膜下骨折に分類されます。いわゆるヒビが入った状態は亀裂骨折になります。陥没して状態ならば陥凹骨折。残りの不全骨折は小児に多い骨折です。

 

なお、骨の本体を骨体、周りにある膜を骨膜と呼びます。骨体そのものには知覚神経が存在しておらず、骨折の痛みを感じるのは知覚神経が豊富な骨膜部分。そのため、骨体が折れていても骨膜が無傷だった場合、理論上痛みを感じません。小児は成人に比べて骨膜が丈夫であるため、骨膜が無事で骨体が折れることがあります(骨膜下骨折)。他にも骨膜に影響がない骨折もあり得るのです。
ですから骨折をしたからと言って痛いとは限りません

 

また、骨折とは「骨がぽっきりと折れた状態」と認識している人には亀裂骨折は「あくまでヒビが入っただけで骨折ではない」という認識があります。そのため医師に「先生、骨は折れていませんよね、ヒビで済んでいますよね」と聞いて医師は「そうですね、ヒビだけですね」と応えたとします。その際、カルテには亀裂「骨折」と記載しますから、後に生命保険請求などのために病名を知って、嘘つき!と怒ることがあるのです。


なぜか、骨折と分かると一気に落ち込んで精神的に脆くなる人が世の中にいます。骨折と判明した瞬間、それまで割と元気だったのに崩れ落ちてしまうというのです。

 

 

「複雑骨折」というのも勘違いされがちです。単純骨折(simple fracture)に対して複雑骨折(compound fracture)というのですが(骨折はフラクチャー:fractureです)、これは処置が複雑な骨折という意味で「複雑骨折」なのです。
具体的には傷口と骨折部が繋がっている、外気に骨が触れている骨折を指します。骨は無菌状態に保たれており、外気に触れてはいけません。特に骨髄が外気に晒されると感染症のリスクが多いに高まります。柔道整復師ならば手を出さずに、即座に医療機関に送ることが推奨されています。

 

つまり複雑骨折とは開放性骨折と言う方が正確です。
一般の方が想像している複雑骨折は、折れた骨片がたくさんある粉砕骨折や、一つの骨が2か所折れた複数骨折、3か所以上の重複骨折、二つの骨が同時に折れた多発骨折などを想像しているのではないでしょうか。

 

このように、骨がぽっきり折れていなくても「骨折」であり、骨が複雑に折れたものが「複雑骨折」ではないのです。

 

今回このような豆知識を書いたかというと、時に医学的無知は大きな問題を起こすことがあるからです。
先に挙げた骨折と知った瞬間、崩れ落ちてしまう例のように、思い込みや印象で精神が左右されてしまうことがあります。本当に注意しないといけない骨折と、特に気にしなくていい骨折があります。
何が重要で、何を不安視しなくてよいのか。知識が無いことで治療効果や治癒への影響が変わってしまいます。

正しい知識を知ることで余計な問題に遭わなくて済むことがあるのです。そして医療知識は日々更新されており、昔の常識が通用しないことが多々あります。
最新の医療知識を得る習慣をつけておくべきだと考えます。

 

甲野 功

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