治療時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休診日:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~未来食堂~

未来食堂をご存知でしょうか?未来食堂とは小林せかいさんが始めた神保町にある新システムの食堂。

 

出てくる料理は日替わり定食の一種類のみ、なので、着席3秒で料理が出る。

“まかない”という50分の手伝いで1食無料になる。

“ただめし”というシステムにより無料で食べることができる。

“もちこみ”という飲料を持ち込み可能、だたし半分をお店に寄付すること。

“あつらえ”というおかずをオーダーメイドできる。

月次決算、事業計画を公開している。

といった独自性があります。

 

未来食堂を知ったのはテレビ番組の「感動食堂特集」のとき。日本で最初に“こども食堂”を始めた人とただ飯が頂ける“未来食堂”が特集されました。そこで未来食堂、および食堂店主である小林せかいさんに興味が出て

著書「やりたいことがある人は未来食堂に来てください」

を購入しました。

 

これは、想像以上に“ためになる”本でした。

 

テレビ番組を視たときに、まず小林せかいさんの経歴に引っかかりました。

彼女は東京工業大学卒、日本IBMを経由して一人で食堂を開業しました。私と同じ理科系出身として、通ずるものがあります。

まず、理系でないと東京工業大学がピンとこないかもしれません。国立大学で、首都圏でのランクは東京大学の次。文系でいうと一橋大学の位置でしょうか。私は東京理科大ですが、受験時代、東京工業大学は志望学科が理科2科目であったため受験を諦めた大学です。早稲田大学、上智大学は受験して落ちていますが、東京工業大学に至っては挑むことすら回避した大学。しかも高校で文系だったにも関わらず浪人時代に理系に転向して合格しています。文系から理系に転向することはその逆よりも遥かに困難。それだけでも私にとってはとんでもない人に映ります(もちろん良い意味で)。

 

それほどの難関国立大を出て日本IBMという一流企業から個人食堂を開業するという転向。私もよく東京理科大を出てなぜ鍼灸師?と驚かれますが、異業種転換のふり幅小林せかいさんの方が大きいのではないでしょうか。特に“一人で”始めたことに相通ずるものを、勝手に感じています。実際著書を読んでみると、思考が理系であり、自分でやってみないと納得しないし、ある意味ドライで冷徹、周囲に流されない人だと感じました。

 

テレビ番組で紹介されたのは未来食堂の特長の一部分だけだったようで、ボランティア精神で“ただめし”をしているわけではなかったことを知りました。

きちんとビジネスとして回していること。人件費をかけないで月100万以上の売り上げをあげるシステム。世間の常識を捨てて合理的に作った未来食堂に同じ個人業として勉強になることがたくさんありました。

 

色々なビジネス書籍を読みますが、多くは企業向け(組織としてどのように考えるか)、自己啓発系(個人の在り方、考え方)、他業種のハウツー本であるものばかり。私の状況に大いに合っている書籍には、まず出会いません。小林せかいさんという同じ理科系出身の人間が、脱サラをして自らの理念に基づいた場所を作り上げた事実に、私の環境を照らし合わせたことで他のビジネス書にない学びがありました。

 

読んでとても腑に落ちたことを一つあげましょう。

未来食堂が話題になり取材申し込みが殺到しました。その時取材を受ける基準として「実際に未来食堂に足を運んで食事をする。うちは食堂ですから。いう部分。東京工業大学卒で、女性で(かつ名前が珍しくて)、もとエンジニアで、どこにもなかったシステムで、といった特徴に飛びついて、多くのメディアが取材対象に選ぶのですが、根本は「食堂である」こと。実際に食事をしない方が取材をしても本質が分からない。当たり前のことですが、なかなか気づかない視点でした。

 

うちもホームページを見ただけで、カリスマ治療家特集の記事に載せませんか?(報酬は○○万です)、子連れOKということでネット記事を書いてもいいですか?、本を執筆しませんか?(自費出版ですから料金はそちらで)、といった話がくることがあります。大体何か違うと思って断るのですが、この本を読んで納得できました。私の本業は治療家。取材側が実際に私の鍼なり指圧なりを受けた上で話をするならば分かりますが、ホームページに載せた情報だけで何を作ろうとというのは本質と違うことなのだと。こちらが料金を支払って宣伝のために広告を載せるのならば構いません。向こうから、実際に会ったことも治療を受けたこともないのに、記事にしましょう、本にしましょう、というのがずれていることだと。何となく嫌だ(それと取材させてと言いながら、こちらがお金を払うのが気に食わない)という理由で断っていましたが、本当の理由はこれだったと気づかされました。

 

他にも個人で行うゆえに直面する問題とその解決方法がいくつも掲載しており、ためになる本でした。どれも実際に経験したことですから理想の一般論ではありません。木を見て森を見ずと言いますが、時に一本の木を念入りに見定める必要があります。個人で独立を考えている方にはとても有意義な本ではないでしょうか。

 

甲野 功