開院時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休み:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~守秘義務~

私の医療従事者という職種には業務上知り得た情報を漏らさないようにする守秘義務が存在します。
医療関係者に限らず業務上の守秘義務はあって当然です。芸能人の引っ越しを不動産業者が漏らしたり、飲食店の店員がお忍びで訪れた有名人のことをSNSに挙げたりするなど、最低限のマナーを逸脱した行為があります。守るべき最低ラインがあってしかり。

その中でも、医療関係者はよりパーソナルの部分を知ってしまう機会が多いので、守秘義務を厳守すべきです。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院のある東京都新宿区は、情報保持について厳しいです。
開設するにあたり保健所に相談にいた際に、担当者から個人情報の管理をしっかりするように、と釘を刺されました。紙のカルテを作成するならば鍵付きの棚を用意するように指示されました。そして臨検(許可を与えるために現場に保健所担当者が訪れてチェックをすること)でも、実際に守っているか確認しました。

 

これだけ個人情報保護を言われますから、守秘義務を守る上で、うちでは誓約書を出しています。
初めて訪れた新規患者さんに、個人情報を、家族を含めて、他言しないことを約束し、その旨を理解していただいております。誓約書に患者さんに署名を頂き、それを渡しています。裁判沙汰になったときに、こういうものを持っていると提出して構いませんと。開業してから一度も個人情報を漏らしたことでトラブルになったことはありませんが、誓約書を交わすことで自らを律することと、初対面の方に信用してもらえるようにしています。

 

ある患者さんは別の整骨院に通っていたのですが、そこの院長が何でも話してしまう人だそうです。
噂話がみんな好きだと思っているのか、聞いていないのに、「今帰ったおばさんは近所で○○をしていて、最近××なんだよ。」などと平気で話すというのです。これでは「私もいないときに何でも周りに話されているのではないかしら」と不信感を持ったといいます。
この件は耳が痛い話で、以前私もこういう面がありました。商店街にある鍼灸整骨院で働いていた時、専業主婦やお年寄りは地域の噂話が大好きですから、ついつい良かれと思って個人情報を大ぴらに漏らしていました。その態度が若い患者さんには不快だったようで受付にクレームが入ったことがありました。独立した際に、個人情報を漏らさない、守秘義務を遵守すると誓ったものです。

 

誰があじさい鍼灸マッサージ治療院に来ているか、家族にも話しません。


地域密着で行っているため近所の人も来院されます。我が家はずっとこの場所に住んでいるので、両親の知人であることがあるのです。そうすると、治療院から帰る姿をみた母親が、深く考えないで「○○さん来ているの?」と聞いてきます。そうだよ頷くと、「○○さんはどこが悪いの?」と続くのです。この問いに答えると完全に守秘義務違反なので断ります。そうなると「それぐらいいいじゃない」と嫌な顔をされるのです。母は無自覚に聞いてきますが、はっきり言ってこちらの信用問題に関わることになります。患者さん当人は治療院に通うことを知られたくないかもしれません。他人に知られたくない症状かもしれません。その事情が私には判断つかない以上、家族には誰が来たかも話さないようにします。例え家族の知り合いだとしても。

 

また子供にも話しません。


無邪気に、すぐ話しますから。子供にとって知らない人でも、名前を憶えて保育園の先生に話したり、お友だちに「お父さんのところに△△さんている人が来ている」と話したりします。何の悪気もなく。好奇心旺盛な時期で何でも知りたがるのですが、子供の口から広まってしまうとどのような事態になるか分かりません。

組織に属しているわけではないので責任は全て私自身。信用が無くなってはやっていけない仕事ですので注意をしています。

 

患者さんのことを家族にも話さないことは、家族も守ることになります。


出張で患者さんのお宅に行くことがあります。家にあがることで、意図せずに多くの情報を得てしまいます。防犯体制、家庭状況、生活レベル、などなど。もしも伺う家庭がとても裕福だった場合、泥棒がそのお宅を狙っているかもしれません。そのときに私や私の家族を脅迫して、侵入しやすくするための手伝いを命令してくることも考えられます。泥棒でなくとも、そのお宅について調べている人が何かしら情報を得ようと接触してくることもあるかもしれません。

 

考えすぎでしょうか?私はそう思いません。


個人で、かつ生活圏内において治療院を構えているため、危険の可能性は極力下げたいのです。職場を辞めるとか場所を変えるといった手段が、実質取れません。
私は過去、上位役職に就くものが裏で犯罪行為をしていた職場にいたことがあり、そこを退職した数ヵ月後、一緒に働いていたスタッフが逮捕されたということをテレビの報道番組で知った経験があります。また患者としてきた人間に恐喝されて、現場に警察官が現れた経験もあります。


本当に犯罪に巻き込まれることはあるし不正を働く人間が確かに存在する、そういう現実を目の当たりにしてきました。自身も家族にも危険が及ばないようにするために余計なことは話さない、そう決めています。

 

私の仕事は「手当て」すなわち体に触れて行います。
人間にはパーソナルスペースという他人が近づくと警戒する領域があります。満員電車が不快なのは他人がパーソナルスペースに入ってくることが理由の一つ。そのパーソナルスペース内に入って行うため、患者さんが心を開いてくれることが多くなります。そうすると、恐らく他人に簡単に話さないであろう個人情報を、自然と話し始めるのです。家庭の事、仕事の頃、身体の事、過去の経験、など。そういった情報が治療行為の手助けになるのですが、ときに知らなくてよい重要な内容も聞いてしまうことがあります。そのようなことは絶対に他人に漏らさず心の中にしまっておきます。その戒めとして誓約書を交わすようにしています。

 

甲野 功