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~OBOG練習会~

昨日は母校東京理科大舞踏研究部の、OBOG主催練習会に顔を出してきました。

 

このOBOG主催の練習会はここ数年で始まった、東京理科大学舞踏研究部OB会の強化部が企画するイベントです。最近は年一回、夏合宿終了後、後期の大会シーズンが始まる前に開催されています。


従来の現役生の練習会は3,4年生が指導にまわり1,2年生のためのものです。対して、OB会主催のものは現役1~4年生が全員を対象とし、指導をOBOGが行う形になります。普段は練習会で練習メニューをこなすことが無い上級生も、この練習会では下級生と同じようにそれに挑みます。久しく行わない地味な基礎練習や踊りこみを行うのです。

 

今年の練習会は参加するOBOGが少ないと思われていたのですが、当日になると大勢のOBOGが参加し、過去最高の参加数でした。このようなイベントで私より上の世代がいることはOBOG総会くらいしかないのですが、今回は私が最年長ではありませんでした。それだけ幅広い世代のOBOGが集まったことになります。


その中で、練習会をメインで仕切ったのはOB1年目の若手でした。去年の12月に引退するまで大学現役生だった2名でした。並みいる先輩OBOGを前に練習会を仕切ることは、なかなかプレッシャーになったと思います。

そのような状況下できちんと練習会を運営していて感心しました。

 

現役生とOBOGの大きな違いは、学生競技生活を完了しているか、その最中か、に尽きるでしょう。
最後まで終えている人間と現在進行形で行っているものでは、感覚が違います。OBOGは過去を振り返り、各学年の現役生がどれくらいの位置にいるの想定できます。現役生はこれから体験する未来を想像するしかありません。卒部まで経た人間が、現役生の未来に向けて実施する練習会は通常のものと趣が違います。ほんの数ヶ月前まで現役だったOB1年目の後輩が、きちんとOBOGとしての練習会を作り上げていたのです。個人的に感慨深いものがありました。

 

ラテン部門の技術部長は、現役生自ら課題を決めてそれをOBOGに見てもらうように、と指示しました。
このことに技術部長の大きな成長が見てとれて驚きました。大体の現役生は上級生に習うときは「みてください」、「どうですか?」と判断をいわば丸投げすることばかり。「自分たちとしてはこう思うのですがどうでしょうか」といった、自らの意見を持って上級生に習う部員はほとんどいないのです。
それを、まず現役生自ら考えて、意見を述べた上で判断を仰ぐ、という流れを作ろうとしていました。社会人になることで得た視点だと思うのです。


体育会系の縦社会であるうちの部活では、OBOGは口ごたえが基本的にできない存在です。言われたことをハイハイと聞いて、相手にゆだねた方が楽なのです。それを敢えて、先に意見を述べさせることで、主体性が出てきます。
この部分を見て欲しい。ここをしっかりと定義する。また口に出す、言葉にすることで、より強い意志が生まれるということをラテン技術部長は話していました。大学生から社会人になって成長したのだなと本当に感心しました。

 

モダン(スタンダード)技術部長はパートナー(女性)でした。なかなかパートナーが仕切ることは珍しいことです。
彼女は骨格と筋肉の解剖図、それに手描きのイラストを用意して体の構造から立ち方を説明しました。私は職業柄、人体をみることの専門です。その立場から、常々もっと体の構造を意識してダンスをすれば良いのに、と現役生に感じていました。それがまだOB1年目の技術部長は、脊柱のS字カーブを踏まえて真っ直ぐ立つということ。足底(足の裏)のインサイドで立つ意識を持つこと。そういったことを練習会に取り入れて驚きました。


解剖学など現役生は知らないため、ちょっと理解しづらいでしょうが、図を使ってでも、敢えて教えるその姿勢。また彼女が3年生のときに私自身が教えた、脊柱1個1個意識するという内容を練習会に活用していたことが嬉しく思いました。彼女が現役生時代に、私を含めた様々なOBOGが教えた内容を、組み合わせて説明しているのでした。きちんと下の世代に繋がっているのでした。

 

練習会の終わりに、OBOG全員から一言コメントを言います。私より下の世代のOBOGを、現役生の頃から知っていますが、コメント内容が学生時代と比べ物にならないくらいしっかりしていて良かったです。卒部して大学院生や社会人になった後輩が、部活を終えたからこそ言える言葉の数々に成長を感じました。


この練習会は現役生のためのものでしたが、卒部した後輩たちの成長を見ることができた場でもありました

甲野 功