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~タメ口問題~

最近、ビートたけし氏がハーフタレントのタメ口をきくことに対して苦言を呈したことがニュースになりました。


芸人という仕事は人を笑わせることが本業。笑いとは常識や日常、当たり前からいかに逸脱しているかが大事です。だからこそ、徹底的に常識や礼儀を知らないと何が笑いになるか分からないため、逆説的に芸人さんはそれらにとても厳しい。

 

このタメ口問題。医療関係者にも当てはまる話です。
病院に行って医者がやけにタメ口で話しかけてくることありませんか。以前、月曜から夜更かしというバラエティー番組で「医者のタメ口問題」として、ある医師にインタビューをするVTRが流れました。その医師は色々説明していましたが、「はい、OKです」と収録が終わったと知った瞬間に撮影スタッフにタメ口で話していましたね。医者を騙すようなやり方でオチにするバラエティー番組の演出と言えばそれまでですが、地上波でわざわざ番組にするくらいですから、少なからず医師のタメ口に嫌悪感を持っている人間がいるということでしょう。

 

医師だけでなく、看護師、ヘルパー、鍼灸師、柔道整復師、などなど他の医療従事者でも結構患者さんにタメ口を使うことがあります。
これには患者さんとの距離を縮めたい、威圧させないため、本音を引き出すため、場の雰囲気を良くするため、などの理由があります。私も整骨院勤務時代は意図的にタメ口を使った経験があります。他のスタッフや上長がタメ口ですし、職場の雰囲気は、元気に明るく家族のように、という感じにしていましたから。

 

念のため言っておきますが、我々はきちんと時と場所を選んで言葉遣いを変えています。それが良かれと思って工夫しています。特に昔は「お医者様」といって医師の立場がとても上にあり、患者は医者の言うとおりにしなければいけないという時代では、医療側がくだけた態度を取らないと本音や臨床上大切なことを話してくれなかったのです。また今ですとお年寄りで、言葉遣いが丁寧だとよそよそしい、他人事のようで嫌だ、という方もいます。

 

しかしながら、冒頭に挙げた例の様に、タメ口を使われることに嫌悪感を持つ人もいるわけです。
私個人の意見、および開業して実践していることは
患者さんにタメ口をきかない
です。


基本的に臨床現場ではどんな場合においてもこれは徹底しています。尊敬語や謙譲語まで使うと堅苦しいと思った場合でも、少なくとも丁寧語にします。
その理由は主に3つあります。

 

相手に敬意を示す
敬語とは字のごとく敬意を表した言葉使いです。患者さんは非日常的に、特例として、私の治療(根本的なことを言えば体を触らせてくれる、時間を取ってくれている)を受けてくださっているわけですから、最低限の敬意を示す必要があるのではないでしょうか。言葉が汚いと、例え思っていなくても「俺様がわざわざ診てやっている」という気持ちになるかもしれません。
年上の人はもちろんですが、子どもや小児、赤ちゃんでも治療として接するときは丁寧語になります。「○○ですか~?」と子供っぽくなりますが、上から目線の言葉遣いを避けるようにしています。

 

本気が伝わらない
治療を受けるのも、内容を決めるのも患者さんの自由意志です。なのですが、ときに専門家として、それはしてはいけないと禁止する、こうしなければならないという命令や強制する、という状況が起きます。
明らかに重篤な症状でありながら病院は嫌いだから行きたくないという患者さんには今すぐ病院に行きなさいと言います。骨折が明らかならば、どれだけ煩わしいと言われてもガチガチに固定します。このような状況下でタメ口を普段きいていると説得力が落ちます。どうしても軽薄な印象になるので、本気の提案(時に警告)が本気にしてもらないことがあります。

 

家族や同伴者の反感を買う
言われている当人は全く意に介していなくとも、患者さんの家族や同伴者が嫌な気持ちになることがあります。
私の経験ですが、大学の部活の後輩にタメ口で話してこられても、まだ大学生だし、とあまり気にしません。ですが、私の先輩に後輩がタメ口で話していると、凄く気になります。頭にきますね。同じように、うちのお爺さんにどういう口をきいているのだ?と子供たちが怒ったり、馴れ馴れしい態度で妻に話かれるな!と思う旦那さんがいたりするのです。余計なトラブルは避けたいので、普段からタメ口は使わないようにしています。

 

最近、タメ口で残念な気持ちになったことがありました。
経営セミナーに参加した時の事です。このときの講師がタメ口で話すのです。元営業マンという経歴で、お客の心を掴んだ、と思って話しているようですが、受講している私は気になって内容が素直に入ってきません。


フレンドリーではなく、無礼。親しみやすさより、軽薄。


時間を割いて患者さんの予約を入れないで参加しています。何かを得ようと意気込んで参加しています。プロですからとても良いことを話しているのですが、この人間は信用できないな、とフィルターがかかって内容が胡散臭く感じてきてしまいました。
セミナー講師によくある、僕の著書を買ってくださいアピールを最後にしていたのですが、買うのをためらう気持ちになりました。挙句、セミナー事務スタッフが最後に事務連絡をするのですが、「先生の本には親切に書いてありますので」と皮肉なのかフォローなのか分からないコメントが出ていました。

これは複数回に渡るセミナーで、毎回講師が変わります。何回も同セミナーを受けていますが、初めてアンケートで「あまり良くない」を選択しました。


私も言葉遣い、そして態度には気をつけようと反省する出来事でした。

 

タメ口が全て悪いとは言いません。
最初に出したハーフタレントの話ではそもそも敬語を習わないで日常会話で日本語を覚えたから仕方がないという意見もあります。時に場を和ませ、距離を縮める道具になることは確かです。それもでも、親しき中にも礼儀あり、と言います。
臨床現場では私はタメ口を使わないようにしています。

 

甲野 功