治療時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休診日:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~治療を重ねる~

少し前の患者さんの話です。

ある患者さんがいわゆるぎっくり腰(急性腰痛)になり、それから数日経過して来院されました。歩くことはできますが、まだまだ日常生活動作に支障をきたしている状態です。頻繁に来院することはできないので、この一回でできる限りのことをしましょう、となりました。

 

治療手法は以下のように行いました。

・患部(痛みが出ている腰部)への軽い按摩指圧
・患部への置鍼(鍼を刺したままでしばらくそのままにしておくこと)
・背中への置鍼
・患部以外の按摩指圧
・下腿(ふくらはぎ)後面への置鍼
・手の甲、足の甲に置鍼
・按腹(腹部への按摩)
・腰部、背部、下腿部への吸玉療法
・腰部へのテーピング

 

と大きく9種類行いました。これらについて、一つ一つ説明していきましょう。

 

・患部への軽い按摩指圧
これは触診を兼ねています。どれくらい筋緊張があるのか。一番痛みがあるところはどこか。圧痛部はどこか。そういった情報を探ります。同時に少し筋緊張をほぐすようにし、置鍼するポイントを探ります。この場合、経絡的(東洋医学)な経穴(ツボ)はあまり考えず骨格筋で考えています。<触診局所治療

 

・患部への置鍼
先ほど探った腰部(患部)に向けて鍼を刺しいきます。硬結部分に直接刺すのか、その付近にするのか、筋肉の構造によるのかは事前に決めておいたポイントに刺します。刺した状態でしばらく置いておきます(置鍼)。<局所治療

 

・背中への置鍼
腰の痛みをかばう動作により、本人は自覚が無いのですが患部の上にあたる背中のあたりもかなり張っています。腰痛が軽くなってくると背中が痛くなり、痛みが移動した、という感じになりがちになります。この時点で先手を打って置鍼をしておきます。<予防目的

 

・患部以外の按摩指圧
腰部以外の場所に按摩指圧を施していきます。首、肩、腕、背中、殿部、脚など。腰が痛くて普段と違う姿勢(疼痛緩和姿位)をとったり、腰をかばった動作をとったりすることで他の部位に負担がかかっているので、それらを和らげる目的です。また殿部から下肢を緩めることで腰が緩むことが期待されます。<予防目的遠隔治療

 

・下腿後面への置鍼
下腿を緩めることで腰痛を緩和する効果が期待できます。反対に腰痛の方は下腿がパンパンに張っていることが多いです。と同時に足の太陽膀胱経の経絡を考えて、承筋承山といった下腿の経穴に置鍼をすることで同じ経絡上の腰部に効かせる狙いがあります。<経絡的な考え

 

・手の甲、足の甲に置鍼
手の甲には腰痛点(腰腿点)という腰痛の特効穴(左右2か所づつ)があります。また足の甲には太衝という背中の気の流れを整えると言われる経穴があります。その2か所、合計6点に置鍼します。この時は仰向けになっています。これは患部より遠い場所からアプローチする考えです。これらの経穴はギックリ腰に効果的なツボです。遠隔治療

 

・按腹(腹部への按摩)
腹部に按摩をする按腹を行います。腹部を緩めると裏側の腰部も緩み、痛みで固まっていた筋肉もほぐれてきます。<裏側からのアプローチ

 

・腰部、背部、下腿部への吸玉療法
鍼をして緩んだ部分に吸玉療法を重ねて行います。このとき鍼は抜いてあります。陰圧にすることで老廃物が溜まった血を集めて、吸玉を取り除いたときに一気に散らしてしまう狙いです。中医学の考えでは活血と言えるでしょう。<中医学

 

・腰部へのテーピング
各種治療で腰部を緩めているので、キネシオテープでサポートしてあげます。同時にテープが貼ってあることでゲートコントロール説により疼痛緩和が期待できます。<筋肉のサポートゲートコントロール説

 

このような考えと狙いで各種治療方法を重ねました。患者さんが帰る際には階段が苦も無く降りられると感想を述べていました(うちの治療院は2階にあってエレベーターがありません)。直後効果があって安心しました。

 

各項目の最後に<>で目的・狙いを記載しておきました。見ての通り、バラバラで様々な理論がごちゃ混ぜになっています。このような、ある意味何でもあり、が私の方針というか、考えの一つです。緊急性の高い疾患には、効けば(効きそう)ならば何でもする、という考え。当然ながら、患者さんの状態、刺激量を考慮してオーバードーズ(やり過ぎて反対に悪化すること)に注意をしながらです。

 

人によっては頑なに鍼だけで、指圧だけで、など一つのもので対処するというポリシーの治療家もいらっしゃるようです。皿位には、鍼ひとつにとっても、経絡で、中医学で、トリガーポイントで、など、と自ら大切にする手法にこだわる方もいるようです。

 

私のポリシーは患者さんに効果がありそうなことは試す、手段は(いい意味で)問わない、というもの。正直なところ、鍼治療一つでギックリ腰を良くするだけの技術はありません。鍼治療しかできない状況のギックリ腰もありますが。
それならば、単品で効果が無くても複数の手段を重ねることで効果が出るかもしれないなら、してみる。目の前の患者さんにとって最善は何か?を考えて、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師の知識と技術を総動員して行動します。

 

一つの手段を極めるのではなく(極められればそれに越したことはないですが)、たくさんの引き出しを持って対応する。それが私のやり方です。
花の色が変わり、花言葉は移り気という紫陽花。その名前を屋号につけている治療院らしいのではないでしょうか。

甲野 功