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~考察 美容鍼が流行った理由~

鍼灸受診率が低いことを鍼灸業界は嘆いています。
日本で鍼灸を受けるのは全体の3%くらいと言われています。この現状を打破するために日々試行錯誤する鍼灸業界。起爆剤になると思わるのが美容鍼の分野です。

 

美容鍼とは読んで字のごとく美容のために鍼をすること。
今では女性の顔に鍼が刺さった画像をネット上で目にすることが珍しくなくなりました。鍼灸師の立場からすると爆発的にヒットしているように感じます。美容分野に入ることで鍼灸が持っていた従来のイメージを覆すことができるのではないでしょうか。

 

なぜ、美容鍼はこれだけ流行っているのでしょうか?

先の東京医療専門教員養成科で話したことがきっかけで仮説が生まれました。美容鍼が流行った理由を考えてみました。

 

まず、美容や鍼灸に興味がない人にはそんなに美容鍼は流行っているの?という疑問があることでしょう。

私が美容鍼なるものを知ったのは鍼灸師になってからでした。従来の疾患を治療する目的ではなく、主目的が美容。具体的には、顔のリフトアップ(たるんだ顔を引き上げる)、小顔効果、顔の肌つやを良くする、美白などを狙ったものです。
専門学校在学中には授業で触れられたことがありませんでした。今から10年以上前の事です。


鍼灸師になった2年目に美容鍼を行っている鍼灸師と知り合い、その存在を知りました。職場に入ってくる後輩鍼灸師から美容鍼をやってみたいという声が聞かれ始めたのもこの頃でしょうか。
当時は結婚式を控えていて、妻に美容鍼をやってみようということになり、知り合いに鍼灸師に教えてもらったものでした。また母校の卒業後研修で美容鍼のコースがあると受講し、職場では美容鍼を扱うことになり現場で使う機会に恵まれました。

個人的には社交ダンスの選手に使える技術は何でも取り入れていこうという考えです。見た目が重要なジャンルですから美容ができるに越したことはないので美容鍼を勉強し、臨床で使ってきました。

 

この頃に美容鍼がどんどん鍼灸界に広まっていく実感がありました。


美容を売りにした専門学校は増えていき、美容鍼灸師なる言葉が産まれました。鍼灸マッサージ教員養成科に入るとかなりの授業時間を美容鍼が占めていました。もうこれからの鍼灸師は美容鍼ができて当然ですよね、という流れでした。
私が開業する頃には、出会った開業を考えている女性鍼灸師のほぼ全員が美容をメインにやっていきたいということでした。実際に開業して美容メインで始められている例もあります。うちの近所にも美容を掲げた鍼灸整骨院がオープンしました。

 

この状況は驚きで、うちの治療院にも美容コースがありますが競合が多すぎるので強く打ち出すことはしておりません。美容を謳うとなるとそれなりの内装や設備があった方が良いですし、他でできるならそれでよいかと考えました。(美容に関してはターゲットを絞って来年から方針を変えていく予定です)。

 

 

美容鍼がこれだけ流行したのには、芸能人のブログがきっかけではないかと推測しています。
芸能人の多くは公式ブログを開設しています。ブログの閲覧数が多くなれば広告収入が入ってきます。有名芸能人ともなれば月に相当な収入になります。ブログ閲覧数を伸ばすためには内容、特に画像が重要になります。普段テレビでは見ることができないプライベートの写真や露出の多い水着姿といったインパクトがある画像があると閲覧数が伸びます。

そこで美容鍼を受けた写真を載せると話題になります。顔に鍼が刺さっているわけですから一般人が見たときの印象が強い。
「凄い」、「痛そう」、「怖い」などネガティブな感想でも閲覧に繋がります、インパクトがあれば。


アンチは「必死すぎw」とコメントを残しますし、ファンは「顔に鍼を刺すくらい美容に真摯に頑張っていて素敵♡」となるのでしょう。芸能人としても興味をひく写真が撮られるので利害が一致します。エステを受けている(身体が露出している)写真を載せるのは厳しいですが顔だけならばすなりといけます。まさに顔も売れるので宣伝効果も期待できるでしょう。鍼灸師もあの芸能人も美容鍼を受けている、という宣伝になります。

 

ただし芸能人のブログだけではここまで浸透しなかったと考えています
それはブログを見に来るのはその人のファンもしくは叩きたいアンチだけ。実際に顔に鍼を刺すこと行動までするかどうかはもう一段階必要だったのではないでしょうか。

 

その段階がSNS、特にInstagramだったのではないかと考えています。「インスタ映え」が流行語になるほど世間に浸透したInstagram。世界的にも一番利用率が上がっていると言われています。Instagramを始めたとしたSNSが広告効果や経済行動を変えたと言われています。

 

 

かつて「AIDMAの法則」というものがありました。AIDMAとは広告宣伝に対する消費者の心理のプロセスを示した略語。この法則では、消費者がある商品を知って購入に至るまでに、次のような段階があるとされます。
Attention(注意)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Desire(記憶)→Action(行動)の順番で商品広告をみてから実際に購入するまでの過程が想定されていました。

 

ところが近年この法則は通用しなくなってきており、AIDMAに対比されるものとして「AISAS」というモデルが提唱されました。
Attention(注意)→Interest(関心)→Search(検索)→Action(行動、購入)→Share(共有、商品評価をネット上で共有しあう)。

 

注意、関心までは同じです。そこに買いたいという欲求ではなく「検索」が来るのです。まずネットで検索してみようというもの。検索して評価してみて購入するか判断する。AIDMAでは商品に関心が出て次にそれが欲しいと欲求が生まれていましたが、AISASでは検索して本当にそれが必要か吟味する工程に変わっています。
更に旧来のAIDMAでは記憶させる過程が必要で、消費者はすぐに忘れてしまいますから記憶に残すために物量で攻める必要がありました。誰でも知っている大企業が繰り返し繰り返しテレビCMや紙媒体の広告を打つのは記憶させるためです。新しいAISASでは検索するという能動的行動があるため記憶することが重要視されていないようです。何より本人が記憶しなくてもその都度スマートフォンで検索するか、ブックマークするか、メモしておけば済む話。


スマートフォンの普及により消費者は受け身から自ら探すように変化しました。

 

そして実際に購入行動するのはどちらも同じですが、一番重要なのはAISASには購入後にシェアする、すなわちネット上で共有するが入ったことです。

SNSを頻繁に投稿している人には常に投稿ネタを探している状況ができあがります。そのときに購入した商品やサービスをSNSに投稿してフォロワーと共有することが大事な購買意欲になるのです。「インスタ映え」という言葉はこのシェアがあるからこでしょう。

 

 

では美容鍼に話を戻すと、Search(検索)Share(ネット上で共有しあう)が出てきた現在に、とても親和性が高いと考えます。


いま若い人は「画像検索」といってワード(用語)ではなく画像で検索するようになっているそう。例えば新宿でお好み焼きが食べたいと思えば「新宿駅 お好み焼き」と「画像」検索をかけて美味しそうなお好み焼きの写真から店舗情報に進むそうです。
美容鍼の場合、個人のSNSにアップされた写真からどこの鍼灸院だろうと検索が進むことがあるでしょう。

 

そしてシェアしやすいのが美容鍼の特長でもあります。
腰に鍼が刺さった画像を見ても、特徴のある刺青があるなら別ですが、ほぼ誰だか一目で分かりません。ベッドの横から顔も写したとしても鍼は細くて小さいので目立たない。美容鍼は顔とセットなので鍼と個人が同時に目に入ります。


それをSNS、特にInstagramで投稿することで周囲から興味をひくことできます。

Instagramは画像処理に長けていますから肌をきれいに加工することもできます。私はこれだけ美に取り組んでいるの、とアピールしやすい。鍼灸院側も率先してInstagramに投稿してくださいね、と言って宣伝効果を狙えます。

 

昔はあそこの鍼灸院に行ったら五十肩がよくなったよと老人クラブで話題にするくらいでした。それはそれでとても大きな口コミですから近所のお年寄りが来院するきっかけになります。ですが大きく世間に広まることは無いです。知る人ぞ知る鍼灸院のまま。

 

美容鍼の流行は施術後をシェアできることが重要なことだと考えています。それはブログからInstagramというツールの出現が後押ししたと思います。Twitterでは相性がそこまで良くなかったと思いますし、Facebookでは拡散力が強くない。

 

 

このことを踏まえて鍼灸受診率を上げるには、鍼灸を受けたあとにシェアできるシステムがあればよいのではないでしょうか。具体的な方法は今考えていますが、来年いろいろ実験していきます。

 

甲野 功