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~マネタイズのタイミングを後ろにずらす 「革命のファンファーレ」を読んで~

ここ最近続けて取り上げている、西野亮廣氏の著書「革命のファンファーレ」。ビジネス書籍としてヒット作した本書。この内容から鍼灸業界、更には治療院業界にためになる項目を書いています。このシリーズもそろそろ終わりにしようと思います。

 

第四回目は
マネタイズのタイミングを後ろにずらす
です。

 

革命のファンファーレの著者西野氏が作成した絵本が『えんとつ町のぺプル』。絵本業界では異例のヒットを飛ばしています。


この絵本を有名にしたのが全ページをウェブ上で無料公開したニュースでした。結果的にこのことにより絵本の売れ行きは更に加速するのですが、無料公開という手段が大きな波紋を広げました。クリエーターからは、作品を無料公開したら売れなくなってしまうので止めるべきだ、という声があがりました。他のクリエーターからすると非常識なものであり、自分で自分の首を絞める行為だとされたのです。
本は画像データでも内容を知ることができます。だからこそウェブ上に公開することで誰でもコピーできて、物質の絵本を買う必要が無いと世間は思うはずでした。反対意見を出す人と考えです。

 

西野氏が取った戦略が、ウェブ上で無料公開することで絵本の内容を確認させて安心して購入してもらうというものでした。絵本の場合、子どもへ読み聞かせをする用途があるため必ず手に取れるモノとして必要になると考えていました。
また忙しいママさんにとってつまらない絵本を買うのは嫌だが色々試してみる時間もない。そのため昔からあるヒット作ばかりに手が伸びるのだとみていました。だからこそ全ページ無料公開することが購買に繋がるというのでした。

 

西野氏は「革命のファンファーレ」の中でマネタイズのタイミングを後ろにずらしているだけと解説しています。


まず入り口を無料にして作品を知ってもらい、その後購入してもらうことで売上をあげる。テレビ(地上波)もラジオも無料で視聴することができるのと同じ原理だといいます。前回までの話に通じますが無料公開することで作品への信用を得る。それから信用を現金化するということなのです。

 

異論反論が多数ありましたが成功したかどうかは数字が物語っています。スタッフには追加でボーナスを支払ったといいますから無料公開がクリエーターにただ働きを強いるというのは正しくなかったわけです。


つい先日決定したリベンジ成人式という企画も無料招待です。これも入り口を無料にすることで参加してもらい信用を得ること。その後西野氏のレターポットを買ってもらえればこれも、マネタイズのタイミングを後ろにずらした、ということになるでしょう。


なお、「革命のファンファーレ」も各章を色々なウェブ媒体で無料公開しています。探せば全編読むことができるが、それをするなら本を購入した方が安上がりになる、と西野氏は考えました。私自身も本書のある章をウェブサイトで読むことで感銘を受け、買ってみようと決意しました。見事にマネタイズのタイミングを後ろにずらす作戦にはまった一人です。

 

マネタイズのタイミングを後ろにずらすが、私にとって仕事上一番参考になった箇所です。ビジネス書籍本来の価値があった場所とも言えます。

 

治療院経営をしていると治療行為の対価をその場で得ようとするのが当然です。それもマネタイズのタイミングを後ろにずらすことで効果があるのではないかと考えました。つまり先に無料で治療を受けてもらい技術や私の人柄について信用してくれたら次からは対価を支払ってくれるのではないかと。


元々この考えは開業当初から持っていて、初めての方はお試し治療として按摩指圧10分を無料にしています。単価の安い物品を売っているわけではないので、まず来てもらい手技を受けてもらうことが大切だと考えていました。ところが試してみようという人はほとんど現れませんでした。無料だから気軽に来るかと思いきや、最初から料金を支払うと決めた人ばかり。最初に掲げたやり方は全くうまくいかなかったのです。

 

開業してしばらくすると、このお試し治療というシステムは残していますが、さほどアピールすることは無くなりました。それが「革命のファンファーレ」を読んで、考え方は間違っていなかったと思うのと方法が違うと気づいたことの両方がありました。


鍼灸なりマッサージなり按摩指圧なり、私が行う(売っている)ものは“体験”であり、コピーすることも一度受ければ一生必要なくなるほど効果が持続することでもありません。他人にあげることもできません。だからこそ最初の入り口を広げることが大切だと考えました。
しかし治療行為はそれなりにリスクがともなうことでありますから、完全に無料だと逆に信用がおけないのではないか。商人大学校という経営者セミナーで講師が、学習塾のイベントで無料だとむしろ怪しんで人が来ないので500円くらいの値段にした方がいいですよ、という話も思い出しました。
なので正規料金の半額くらいの大幅値下げをすることにしてみることにしました。

 

そして一番大事なことは<マネタイズのタイミングを後ろにずらす>とは先にお金ではなく”信用を得ること”だという点。信用してもらえる相手を選ぶことが大切だと気づいたのです。誰でも彼でもするのではなくこちらから、信用してもらいたい相手にアプローチする。私が一番大切にしている人たちに対して。

 

まず信用を得ることができるならば売上は考えないでやってみよう。そう決心しました。

 

その結果行動したのが11月末から2週間行った学生競技ダンス選手のキャンペーンでした。競技生活最後を控えた4年生に対して大幅値下げで集大成の競技会を迎えて欲しいという想い。これから大学を終えて社会人になる4年生に信用を得てもらいたい。そのような考えで行いました。
結果は想像以上に反響がありました。学生競技ダンス選手をサポートしたいことからこの仕事に就いたわけですから、目先の利益は度外視してもやる意義があることでした。それが一つの成果が得られたことが大きかったです。

 

同時に以前から行っていた母校ALL東京理科大学舞踏研究部の現役生には完全無料で治療を行うことを進めました。
この取り組みは開業した年の夏から始めましたが、更に拡大して行動しました。私が必要と考える後輩には直接連絡をして治療院に来てもらう。そうすることで私とあまり接点がなかった後輩も治療を受けにくるようになりました。そして卒部して大学生を終えた後輩がまた来てくれて本来の料金を頂くというケースが出てきました。

 

 

「革命のファンファーレ」を読んで知ったマネタイズのタイミングを後ろにずらすという経営戦略。これは一人で治療院経営をしているこからできることかもしれません。利益を得るのを後ろにずらすわけですから、それまで経営が成り立たなければ無意味です。一人で経営することでランニングコストが大幅に少なくできているからこそできるやり方なのかと感じています。これがスタッフを雇い組織で動いていると人件費を賄うことや基準をどのようにするかで足並みが整わなくなりそうで、やや導入困難なことかと予想します。

 

何せよ少し長い目で考えることができるようになったこと、そして本当に取り組むことは“マネタイズのタイミングを後ろにずしてでも”信用を得ることだと知りました。「革命のファンファーレ」を読んで一番効果があり、実践した内容がこれでした。

 

甲野 功