治療時間

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~コーチング~

長女が春から小学校にあがるので、小学校入学前プログラムに行きました。親子で分かれて、保護者にはコーチングを教えるという講座でした。


そこで初対面の保護者とペアを組みワークショップをする時間がありました。

もしも子どもが「○○ちゃんは嫌いだから、はもう遊ばないの!」と言ったとしたら、あなた(保護者)はどのような返事をしますか?という課題です。子ども役と親役に分かれて、子ども役は子どもになりきってセリフを言い、保護者は自分が普段するであろう反応をしましょうというもの。

 

私が親役のときに言った返しは
○○ちゃんが嫌なのか~。もう遊ばなんだね。(感情を込めて)」
でした。


ペアを組んだ初対面のお父さんはその答えに驚いていました。そのような言葉が返ってくるとは思わなったからです。

 

私はこれまでにコーチングの勉強をしていたので図らずも模範解答を言ってしまいました。きっと講師の想定では、子どもが「○○ちゃんは嫌いだから、はもう遊ばないの!」と言い出したら、親は「何で?どうして?前は一緒に遊んでいたでしょう。」といった反応をするであろう。それを受けて、違いのですよ答えはこうですよ、と講義を進める予定だったはずです。

私は言葉は模範解答そのものでした。


まず子どもの主張を受け止めてあげる、復唱する。そうすることで子どもは親に認めてもらったと感じ、その後の会話が円滑に進むということです。「そんなこと言ってはダメ!」、「なんでそんなこと言うの?」など即座に否定されたり尋問されたりすると子どもは話しても聞いてくれないと心を閉ざしてしまいます。

コーチングで親が子をうまく導いてあげましょう。その手始めにこのような態度をとってくださいね、ということでした。

 

コーチングは医療面接や、以前勤めていた職場の管理職研修で勉強したので基礎的なところは知っていました。


本業である治療業においては患者さんの訴えを傾聴し、誤っているであろう考えや行動を上手に止めるもしくは変えさせるために使います。人間はど正論をはっきり言われても受け入れられないことが多いです。対患者コミュニケーションのツールとして必要です。

仕事以外にも子どもを育てるときにも、ダンスを後輩に指導するときにも活用できます。コンサルタントやカウンセラーといった対話が重要な職種には必須の技術であるようです。

 

そもそもコーチングとは何か。知っている人には当たり前のことですが、ネット上にある解説では
人材開発の技法の一つ
対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術
相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、自発的な行動を促すとするコミュニケーション技法
とあります。

 

まずコーチングのコーチ(coach)とは公式儀式用または鉄道以前に用いられた四輪大型馬車を指すそう。それが転じて競技・演技などの指導員の意味になりました。
コーチはプレイヤー(競技者)では無いので代わりに競技をすることはしません(できません)。
またその分野でプレイヤーよりも競技能力が高い必要もありません。例えば2018年2月28日現在で羽生結弦選手よりもフィギアスケートが上手な男子選手はいないはずです。それでも羽生選手にはコーチがいます。そのコーチがリンクに立っても羽生選手より高得点の演技をすることは不可能でしょう。
これらのことからもコーチングは指導する、教授するというよりも導くことが重要視されます

 

コーチングでは相手の話をよく聞き(聴き)意見を(まずは)受け入れる傾聴が大切です。
これは医療従事者においてとても重要なことです。患者さんは程度によりますが肉体的精神的にストレスを抱えているためちょっとした会話や態度で気分を害することがあります。また信用してくれないと重要な情報を開示してくれないことがままあります。コーチング以前に傾聴が私の仕事では必須の態度となります。

 

そして承認すること。
医学的に確実に誤った考え行動をしているとしても、まず患者さんのことを承認しないといけません。そうしないと心を閉ざされてしまい、上手くことが運びません。あなたの言うことを認めますよ、と理解してもらって初めて話を聞いてもらえるものと心に留めておきます。

 

コーチングでは質問が重要なテクニックとなります
人間は質問をされると反射的に答えを出そうとします。よくビジネス書籍にある「なぜ○○は売れるのか?」といったタイトルはこのことを利用しています。
適切な質問を投げかけることで相手は考え自らの考えで答えを導き出します。このときイエスノーで答えられるクローズクエスチョンや答えに選択肢が無いオープンクエスチョンを使い分けたりします。
臨床の現場でも上手に質問を重ねて患者さんの情報を得ます。問診票には書かない本人も気づいていない、疾患の原因が潜んでいることがあります。

 

更に質問をすることで自発的に好ましい行動を促します。
私の場合、競技ダンスを指導するときによく使います。もう現役選手の方がダンスそのものは上でしょうから、全て踊って見せるということが難しくなっています。
そのため、いかに「気づく質問ができるか」が大切で、選手自らそうか!と気づいた方が成長するので、適切な質問を心がけています。こうしなさいと教えても良いのですが(それが必要な時もあります)、やらされている感が出るのと応用が利かないため、できるだけやらないようにしています。

 

コーチングはきちんと理解して実践できない人が使うと、単に尋問をしているだけ、ということがあります。
答えようのない質問、答えを出すのに大きな労力を必要とする質問、など悪い質問をして相手を追い込んでいるだけのものを見たことがあります。また相手の答えに対して「本当にそうかな?」と否定し、相手が自ら間違っていましたと言わせるまで拷問のように続けるコーチングの名を借りたパワハラを目にしたことがあります。

 

コーチングは有用なもので、臨床現場でも育児でも有効な技法だと思います。様々な場所で必要なコミュニケーション技法であるでしょう。
今回、小学校の保護者会でコーチングの講習があり驚きました。そのような社会環境になってきたのだと実感しました。

 

甲野 功