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~学連ダンサーの障害 胸鎖乳突筋~

全国放送されているので実名を挙げてエピソードを書きます。

 

TBSにて不定期で放送されている「金スマ社交ダンススペシャル」。この中の主人公とも言えるロペスこと岸選手がJDSFの地面地コーチに踊りをチェックされているときに、「下向いてネックが出ているよね」といった内容の指摘を受けていました。言われた岸選手は愕然として「今更こんなことを言われるなんて」と漏らしていました。

 

競技ダンスをする人にとって、下を向くとかネックを出す(頭が前に出て首のラインが背中に対して曲がってしまう)など、最初も最初に注意を受けることです。バスケットボールで言えばトラベリング(ボールを持って3歩以上歩いてはいけません)、将棋で言えば二歩(歩の駒を縦に2つ置いてはいけません)ぐらいの当たり前にやってはいけないこと。
岸選手の本業は芸人ですが、もともと学連出身であり学生全国大会準優勝までした名選手。それだけの経験と実績がありながら、あまりに初歩的なことを注意されてしまう。これは本当にきついだろうな、と彼の心中を察しました。

 

タイトルに障害としていますが、特にケガというわけではありません。ただ、ダンサーにとってネックの問題は大きいのです。そのネックが出る、下を向いてしまうという現象が起きる理由には複数の要因があるのですが、大きなポイントとなるのが胸鎖乳突筋です。

 

胸鎖乳突筋。割と有名な筋肉なので耳にしたことがあるかもしれません。首の前方にある筋肉であり、ダンサーは首の前に斜めに2本走るスジが見られますが、それがこの筋肉です。
なかなか面白い(複雑な)筋肉を紹介しましょう。

 

胸鎖乳突筋の名前の由来について。この筋は二頭筋に分類され、起始(骨に付着している部分でスタート点)が胸骨と鎖骨の2箇所あります。そして停止(同じく骨に付着している部分でゴールにあたる)は側頭骨の乳様突起という場所。乳様突起は耳の後ろにある骨のでっぱりです。
ですから、胸骨・鎖骨から始まって乳様突起に終わる筋肉であることから胸鎖乳突筋と言うわけです。

 

胸鎖乳突筋の作用は左右両方が収縮すると、顎を引くような感じで首を前屈させます(顔が下を向くような姿勢)。もしくは顎を突き出して首を伸展させます(上を見るような姿勢)。
前者は首の上部がやや前に曲がっている状態で、後者は首が伸びている状態で、作用していきます。つまり、同じ胸鎖乳突筋の作用でありながら首の姿位によってほぼ逆の動きをするのです。これは筋肉の走行上仕方ないことなので、ダンスを踊る場合は意識して気を付ける必要があります。

 

左右片方の筋肉のみが収縮すると回旋といって横を向きます。これはスタンダードならばPPの際にネックを返す動き。綺麗に横を向くために重要な動作を担います。というのも胸鎖乳突筋は首の側屈(頭を横に倒す)にも働くのでダンスにとって余計な動きになることがあります。ラテンのバリエーション表現では派手にネックアクションをすること多いので胸鎖乳突筋を精密に使わないといけないでしょう。

 

美容的な意味でも、胸鎖乳突筋が固く柔軟性が落ちてくると、乳様突起を下に引っ張るので顔がたるみやすくなります。胸鎖乳突筋を優しくマッサージして緩めるだけでも顔のリフトアップに繋がります。またスタンダードパートナーには絶対必要な美しいトップを作るためにも胸鎖乳突筋のラインは重要でしょう。

 

胸鎖乳突筋が他の四肢(手足)や体幹(胴体部分)の筋肉と異なる点が、運動を副神経が支配していることです。
副神経とは12対ある脳神経の一つで11番目になります。脳幹を形成する延髄から神経が出ています。四肢や体幹の筋肉は脊髄神経という脊髄から出ている神経によって運動を支配されています。脳神経よりも脊髄神経の方が機能的には下位にあたります。
もしも交通事故などで頸髄損傷を起こした場合、四肢麻痺といって手足も体も動かせなくなってしまいます。この場合でも副神経支配の胸鎖乳突筋(それと僧帽筋)は機能しているので首は動かすことができます。(他の脳神経支配の筋肉は機能するので表情を変える、目を動かす、舌を動かす、などは可能)。つまり手足よりも、より脳に近い部分が支配している筋肉であるわけです。その分感情や精神などの影響を胸鎖乳突筋は受けるとも考えられています。

 

このように胸鎖乳突筋について書いてきましたが、何が一番言いたいかというと
学連ダンサーにとって胸鎖乳突筋は重要な部位である
ということ。
ダンス面ではもちろんのこと、私の経験上感情・精神面も映し出す筋肉(部位)であります。
まず鍛えるようなことはしない筋肉ですが、絶対に意識して踊る場所。ここを注目することで色々と改善されることがあると思います。

 

甲野 功

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