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~理学療法士が整体院?~

理学療法士協会警告文
理学療法士協会文章

 

最近、治療院業界内(鍼灸院、マッサージ院、整骨院など)で問題視されていることに、『国家資格を持った整体師』という売り文句を使った広告が出ていることです。

 

まず、前提として整体師は民間資格であって国家資格ではありません。厚生労働省管轄の資格身分に「整体師」は無いのです。この文言は利用者である一般の方を混乱させ、欺かせる表記になります。あたかも整体師が国家資格であるよう勘違いさせかねません

 

なぜこのようなことが起きているのか説明していき、私のこの文章を読んでいる方が直接的・間接的健康被害に遭わないことを願います。

 

ちょうど先日、医療系国家資格の合格発表が厚生労働省から出されました。
医師、看護師、薬剤師、などの資格とともに鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、理学療法士、作業療法士などの合格者が発表になりました。医師を筆頭にどの資格も所定の教育機関で座学・実技を習得し国家試験を合格した者が得られる資格免許です。


整体師というのは国家資格ではありませんから、誰でも名乗ればなることができます(罰せられることはありません)。国家資格ならば最低限の技術や知識を持っているというスクリーニングが効いていますが、民間資格では本当にピンからキリです。素晴らしい人もいるでしょうが、全く実力が伴わない人もいます。

 

この本来矛盾した内容を『国家資格を持った整体師』という文言は含んでいます。誰がこのような広告をするのでしょうか。

 

そのほとんどが理学療法士になります。理学療法士は国家資格です。そのため「国家資格を持った」という部分は矛盾がありません。

理学療法士が「整体師」を名乗ることが問題なのです

 

理学療法士はPTとも言われ、医師の指示のもと医療機関(病院やクリニック)でリハビリテーションを行う技術専門職です。主に下肢、歩くことに関してリハビリテーションを行います。
理学療法士には開業権がありません。資格免許として開業が認められていないのです。なお鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師に開業権が当たえられています。鍼灸院、マッサージ院、接骨院はあっても、理学療法院はありません。
理学療法は医師の指示のもとという前提があるので、独自の判断で理学療法を行うことが禁止されています

 

それが最近、理学療法士がフリーで(医師から離れて)仕事をするケースが増えています。3年前には協会が異例の警告を出しました。以下が、公益社団法人日本理学療法士協会会長が出した声明です。 

急告 平成 27 年 1 月 30 日


理学療法士各位 公益社団法人日本理学療法士協会 会長 半田 一登

 

保険適用外の理学療法士活動に関する本会の見解

 

最近、理学療法士が施術所、患者宅等において脳卒中後遺症患者、腰痛・頸肩腕障害患者等に対し、医療保険、介護保険を利用せず、理学療法を実施する行為を宣伝したホームページが見受けられます。また、各地から理学療法士による違反行為としての指摘を受けております。
身分法上は、「理学療法士とは、厚労大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下、理学療法を行うことを業とする者をいう。」となっています。したがって、理学療法士が医師の指示を得ずに障害のある者に対し、理学療法を提供し、業とすることは違反行為となります。
本会としましては、理学療法士の「開業権」及び「開業」については、現行法上、全く認められるものではないとの見解に立っています。
ただし、身体に障害のない方々への、予防目的の運動指導は医師法、理学療法士及び作業療法士法等に抵触しませんが、事故あるときには、他の法的責任が免除されることはありません。医師とのしっかりとした連携の上で、より安全で効果的な運動指導を行うことが求められます。
会員諸氏の真摯な行動を強く要望します。

 

この通り、理学療法士協会としては医師の指示のもと、保険内での理学療法をすべきであり、独自の判断で行うことは違反と判断しています。私の周りにも理学療法士がフリーとして開業するケースがあることを知っています。それでも声明の最後に触れているとおり、健常者の運動指導に関わる部分までで、「治療」行為まで及んでいないことが前提にあります

 

問題の背景には理学療法士が治療院を開設し治療行為を行うことが出てきていること。
その際に理学療法士の資格を出さずに「整体師」の名称を使うのです。理由は2つ。これまで述べたように理学療法士には開業権がありませんから前面に出すことをためらう。もう一つは「整体」という言葉が世間に浸透しているが、実際のところ曖昧に捉えられていて都合が良いから。

 

以前にも書きましたが、「整体」という名称が独り歩きして実態が伴わないのが現状です。
やる方は独自の定義で「整体」とし、受けても何となく徒手療法全般を「整体」だと思っています。この現状から理学療法士が整体師を名乗ることは2つの意味で都合が良いのです。開業権がないことをカモフラージュできるし、世間の印象が良い(理学療法士よりも知名度があるしイメージも好印象)。
このような理由で理学療法士が整体師を名乗ることが増えてきています。

 

しかし整体師は繰り返し述べているように民間資格です。最低限のレベルが確保されていないため、技術も知識も拙い人間もいます。悪印象の方を払拭するために「国家資格のある整体師」を名乗るわけです。正確に表現すれば「国家資格である理学療法士資格を持っている整体師」ということになります。

 

これは非常にズルい考えです。


国家資格という国が認めた資格免許(理学療法士)を隠しておきながら、国家資格を持っているからそこら辺の整体師とはわけが違うよ、と主張している。ダブルスタンダード、二枚舌。医療機関で働く理学療法士にも、民間資格で頑張る整体師どちらにとっても失礼な話です

 

本来、国家資格者は複数年の勉強・研修を経て国家試験に合格したという自負があり、民間資格とは違うという気持ちでいます。国家資格者が整体師を名乗ることは以前であれば考えられないことでした
民間資格の整体師は腕一本で勝負をするという気概で仕事をしいます。知識ばかり豊富で技術が伴っていない国家資格者には負けない、という気持ちがあります
民間資格から国家資格を取った私にはどちらからの気持ちも分かります。だからこそ双方のいいとこどりをする表現に憤りを覚えます。

 

かつては病院勤務で安定した職種だった理学療法士ですが、養成学校が増えすぎたことによる供給過剰、病院設備が縮小せざる負えない状況、諸々の環境変化によって、開業する方が得だと考える人が増えたようです。その結果がこのような矛盾を含んだ状況を生んでいるようです。この話を聞いた理学療法士養成学校教員は嘆いていました。
このままいくと、「理学療法士?つまり整体師でしょ?なんで病院で働けるわけ?看護師でも無いのに。」とひとに言われてしまうかもしれません。柔道整復師は本来の業務からかけ離れてしまうことが多く、柔道整復師はマッサージする人でしょ?と看護師に言われる状態になってしまいました(これは私の実体験)。

 

何より整体師が国家資格かのように混乱させる表記は世間に対して悪影響であります
どうどうと理学療法士は理学療法士ですと宣言するか、開業権のある資格を持った上で、フリーで活動してもらいたいと思います。あん摩マッサージ指圧師の職域を侵すとか商売敵が増えるとか、そういうやっかみではなく一般患者さんのためにも理学療法士のためにも適切な表現をしてもらいたいです。

 

甲野 功

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コメント: 2
  • #1

    石井里恵 (火曜日, 12 1月 2021 19:08)

    突然のコメント失礼します。
    質問させてください。
    現在理学療法士をしております。

    文章中に
    身体に障害のない方々への、予防目的の運動指導は医師法、理学療法士及び作業療法士法等に抵触しませんが、事故あるときには、他の法的責任が免除されることはありません。

    とありますが、
    予防目的の運動を指導していく時は 理学療法士と名乗っても良いのでしょうか?

    宜しくお願いします。

  • #2

    あじさい鍼灸マッサージ治療院 甲野功 (火曜日, 12 1月 2021 19:34)

    石井理恵様

    コメントありがとうございます。
    ブログ文章中の
    『身体に障害のない方々への、予防目的の運動指導は医師法、理学療法士及び作業療法士法等に抵触しませんが、事故あるときには、他の法的責任が免除されることはありません。』
    平成27年1月30日に告知された、公益社団法人日本理学療法士協会、会長半田一登氏による「保険適用外の理学療法士活動に関する本会の見解」にある文面を、改めて文字起こししたものになります。よって確認は現在の公益社団法人日本理学療法士協会に問い合わせるのがよろしいと思います。

    私個人の見解としましては先の理学療法士協会の出した文章にある通り、法律における身分としては「理学療法士とは、厚労大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下、理学療法を行うことを業とする者をいう。」ことになりますので、予防目的の運動を指導する際にそれが”医師の指示の下”でなければそれは理学療法にあたらず、理学療法士を名乗ることはグレーゾーンだと思います。
    理学療法士は名称独占の資格ですので理学療法士を名乗った上で(法律が認定する)”理学療法にあたらないもの”を提供した場合は指摘される可能性があるのではないでしょうか。