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~デザインと一貫性~

水野学のブランディングデザイン講座

 

慶応義塾大学講師を務める水野学氏の著書。少し前に読んだ本です。久しぶりにおもしろく、それでいてためになる本でした。

 

コンサルティングやマーケティングをデザインを通して行っている水野氏。
美大卒の専門家だけあって本の内容もそうですが、紙面のデザインや余白の使い方が秀逸でした。これだけスカスカなページはビジネス書籍では珍しいでしょう。

この本でとても参考になったことを3点挙げて私の仕事にどう役立つか書いてみます。

 

デザインとは知識

水野氏は美大卒のデザイナーであることから、一般の人が持つ偏見や苦手意識を凄く感じるそうです。デザインに対しての。


まず初対面の人に出身大学を話すと引かれると水野氏は書いています。「僕には私にはよく分からない分野・・・」と顔に出るそうです。仕事でクライアントと話しているときに、デザインの話になると急に「そこら辺は分からないのでお任せします・・・」と尻込みされる。経営理念や事業方針などは熱く語る経営者が。


何か、デザインはとてつもなくセンスや才能が必要で一部の人間に与えられた能力がないと扱えないもの、そのように考えられているように感じる、のだそうです。

 

しかし水野氏は主張します。デザインは最適化しているだけであり、そのためには数多くの作品を見ることでできるようになる。つまり才能やセンスもあることに越したことはないが、まずは知識が必要。たくさんのものを見ないとデザインは分からないというのです。

 

この話は勇気づけられました。
私は治療院のリーフレットやチラシ、ホームページなどを自分で行っています。もっとセンスがあれば良いものを作れるのに、といつも思うのです。ところがそれはセンスではなく単に知識が足りないだけ、ということならば未来が明るくなります。他のものをたくさん見て、たくさん作ってみて、最適化していけば質の良いものができるということ。励みになります。

 

また水野氏はこのように書いています。デザインについて素人でもその業界については、クライアントさんは間違いなくプロである。十分な知識があるはずだからその経験でデザインを話し合ってほしい。
デザイナー任せにしないということですね。

 

最近耳にしたエピソードです。会社の発行物を巡り、お洒落にしたいがため、外部のデザイン会社に発注をかけたそうです。ところが内容が二転三転し、その都度デザインの仕様(ページ数、レイアウトなど)が変わるため、制作が進まなかった。直近のイベントにそれを出すために、簡易的に一社員がWordで内容をまとめてPDFにして完成させて仮モノとして急場をしのぐことにしました。それを見た上層部はデザイン会社が完成させたものだと勘違いして「さすがだねえ」と納得したとか。


これはまさに水野氏の内容そのものではないでしょうか。社員はプロのデザイナーではありませんが業界に長くいるので内容を見やすくまとめる=最適化することができた。結果としてデザインが納得できるレベルになった。
なるほどと思いました。

 

スタンダードを見定める

水野氏はコンサルタント業もしているので、企業からコンサルタントやマーケティングを依頼されることが多々あります。その際に、担当する業界のスタンダードを見定めることから始めるそうです。


ある商品ならば何が一番売れているのか。知名度があるのか。その機能は何か。売りは何か。価格は。パッケージは。一番のど真ん中はどこかをしっかり押さえることが重要だそうです。スタンダードの部分は世間が一番求めている内容。そこを基準に考える必要があると言います。

 

差別化、差別化とビジネスの世界では呪文のように繰り返します。ですが奇をてらい過ぎると、これは一体誰が得すのか?というマニアックな商品ができてしまうと水野氏は言います。まず誰もが求める(大多数が求める、最大公約数のニーズ)をある程度踏まえた上で独自性を出さないといけない。


同じことはユニバーサルスタジオジャパンを復活に導いた森岡毅氏も書いていました。かつてのユニバーサルスタジオジャパンは世界最高レベルの技術を自己満足の方向に使っていたお客さんが喜ぶ方向に使っていなかったと。ハリウッド映画だけに縛られていてテーマパークとして拾わないといけないファミリー層を無視していたと。

 

これは本当に重要な事で、独自性、差別化、うちにしかないもの、といった観点で考えて、おかしな方向にならないように私も気を付けるようにしています

社交ダンスに力を入れていますが、ベースは治療院ですから、一番訴えの多い肩こり・腰痛にしっかり対処できなければいけません。技術にしても鍼灸の最もベースとなる毫鍼(体に刺す鍼)ができること、マッサージが問題なく行えること、が重要です。それらのスタンダードができた上での独自性です。

 

一貫してブランディングを見られるひとを作る

水野氏は企業のブランディングについても語っています。それはその企業らしく身の丈に合ったものであり、一貫していることが大切だと。そのためにはブランディングを全てみる人間が必要だといいます


この商品は高級志向、あの商品はお値打ち感とイメージがバラバラではいけません。地域によっても言えることで、地域の特性を考慮しても一貫した企業イメージが統一されていないとブランディングには失敗するそう。
そのために全体のブランドをみて管理する部門や人間がいないといけないのです。

 

コカ・コーラは広告に使われる写真の水しぶきの形一つとっても厳しく口を出してきます。ディズニーはその世界観を崩すようなことは絶対に許しません。水野氏が手掛けた企業は段ボールまでデザインを統一させてブランディングをしていったそうです。当然それを統括する部門や人間が必要で手間暇がかかりますが、やらないといけない。

 

この業界でもブランディングは必要です。

そうなのですが、外部の手が入ると結構ぶれてしまうことがあります。良かれと思ってホームページがお洒落で高級感がある作りに業者が作ったのに、実際の院長は庶民的で価格も低めに設定してるあるとか。内装が高級路線なのにスポーツ推しのコースだったり。分院が増えることにより各院で独自路線が出過ぎてしまい、グループとして統一性が皆無になってしまうとか。


開業してみて分かるのですがイメージがバラバラなのは患者さんが困惑してしまい迷惑なのです。従業員時代は自分の持ち場しか頭に無かったので分かりませんでしたが。
著書名にある「ブランディングデザイン」は一貫性が必要だということです。

 

開業してみてそれまで見向きもしなかったことに取り組まないといけなくなりました。デザインやブランディングがまさにそれです。大変ですが開業したからこそ挑戦できること。色々学びながらやっていきます。

 

甲野 功

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