治療時間

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~行動経済学の基礎~

これまで色々なビジネスや経営、マーケティングの書籍を読んできました。その中に出てくる用語、理論の多くは行動経済学からもたらされていることを知りました。

行動経済学とは従来の経済学に心理学を加味して人間の心理面から経済活動を調べるものです。

 

行動経済学 見るだけノート」では各論を基本的な説明で解説しております。これらの用語を理解することで患者さんや自分自身の「行動」と治療院経営に関わる「経済」の二つの面を同時に理解できる、もしくは腑に落ちる感じがありました。


そこで、この本に載っている内容を一部抜粋して私が実務に応用していることやできそうなことを考えてみました。

 

ナッジ(Nudge)理論

ナッジとはそれと気付かせることなく特定の人々を合理的と考えられる好ましい方向に誘導する行為。強制するのではなく相手に決定権を持たせながらも、最善とされる方向へ持っていく。
→世間をよく観るとナッジを活用した取り組みが至るところにあります。臨床家としても患者さんに押し付けることなく、より良いと思われることを提案し受け入れていただきたいです。そのために何ができるのか、何が必要なのか、何をするのかは永遠の課題かもしれません。

 

プロスペクト(Prospect)理論

人は利益をできるだけ早く確定したい、と考える一方で損失は先送りしたいと考える。同じ金額でも利益よりも損失をより大きく感じる。同じ500円でも、500円を無くしたとき(損失)の方が500円を拾ったとき(利益)よりも心理的ダメージが大きい。裏を返すと損失が無いと思うと得をした気持ちになる。無料キャンペーンがまさにこれで、最悪支払いゼロならば損した気分にならないから安心できる。

→鍼灸をはじめとした治療行為となると無料にすることで「本当に大丈夫?」という不安が勝ることがあるので、無料にすれば良いというわけではないでしょう。私は無料お試し治療をしたことがあるのですが、反響は芳しくありませんでした。

 

情報の非対称性

使える情報をたくさん持っている人と、そうでない人がいるということ。情報の偏り。
→これは専門性の高い私の仕事には絶対にあること。人体に関することから治療方法まで、一般の患者さんと術者では情報に大きな差があります。あるからこそお金になるとも言えます。またあるからこそ、こちらが都合よい方向に持っていきやすい面もあります。エスカレートすれば患者さんを騙すことになるでしょう。医療人としての倫理が問われます。

 

ヒューリスティック(heuristic)

直感的に物事を理解する。少しの努力ですぐさま結論を導き出そうとする。少ない情報で全体を判断する。たまたま初めて行った旅行先が大雨だったので、あそこは雨が降るから二度と行かない!と決めつけるような。単純化のヒューステリックといって四捨五入など簡便に物事を捉えることもあり。
→臨床でたまに遭遇するのですが、患者さんがどこか別の場所で受けた鍼治療の方法が、全ての鍼治療だと思ってしまうこと。その患者さんにとってその方法が鍼であり、異なった手法・理論を持ちだすと怒ることがあります。新規患者さんでこれまで鍼灸を受けたことがある方には問診で確認をするようにしています。そうしないと後で、話が違う、とクレームになることがあります。

 

現状維持バイアス(bias)

全ての物事は今あるままにしておこうとする傾向。人は現状を維持したがる。
→常連さんになる方は別の所に変えることに不安があるため来院し続ける場合もあるでしょう。また常連さんに普段と異なる治療方法を提案すると嫌な顔をされることがあります。まだ実際に行っていないにもかかわらず。これらは現状維持バイアスなのでしょう。

 

初頭効果

はじめの方に伝えられる情報が判断や意思決定に大きな影響を与える。「あの人は有能なんだけど性格が悪い」と「あの人は性格が悪いけれど有能なの」では受け取る印象が変わるということ。
→患者さんとの話でもポジティブな内容を最初に話してその後にデメリットを話す方が、より印象がいいですね。

 

近親効果

最新の情報ほど思い出しやすく、古い情報ほどなかなか思い出せない。CMを繰り返し流すのは広告情報を最新にしておきたい。
→ニュースレターやハガキを出す、SNSで情報発信をするなどをしてあじさい鍼灸マッサージ治療院のことを思い出してもらう努力をします。

 

ハーディング(Herding)現象

一人でいるよりも大勢でいることに安心感を覚えること。群集心理。行列ができるお店は人気があるに違いないと(本当にそうかは別として)認識する。サクラを使うのはこのため。
→鍼灸院では口コミを集めることになるでしょうか。

 

アンカーリング(Anchoring)

最初にインプットされた情報が錨のように心の働きをコントロールしてしまうこと。いつの間にかインプットされ判断を乱す心の錨。「“不安”はありませんか?」と聞かれれば不安なことを挙げてしまいがちで「“安心”なことはありますか?」ならば安心なことが浮かんでくる。
→誘導尋問に応用できるので気を付けるようにしています。治療後に「どこら辺が“良くなりました”?」と聞くか「“気になっている”部分はありますか?」で返答がかなり変わってきます。

 

コントロールの欲求

周りの状況を思うように動かしたいという欲望。失敗は他人のせい、成功は自分の手柄。反対にコントロールする権限がある状況に置かれると安心する。いつでも解約して良いですよと言われると契約しやすくなる。
→何が合っているのか分からないので先生にお任せします、と言われることがありますが、2つくらい選択肢を出して患者さんに選んでもらうようにしています。あくまであなたが決める権利がありますよ、とすることで患者さんが安心します。

 

サンクコスト(Sunk Cost)

既に支出され、どのような意思決定をしても回収できない費用(コスト)。ギャンブルから抜け出せない人はつぎ込んだお金の元を取り返したいと考え止められない。回数券や年会費を先に支払わせて、払った分の元を取らないと損という心理にさせる。
→サンクコスト(支払った代金)を回収したい(その分のリターンを得たい)という心理が治療効果を上げている可能性はあると思います。

 

選択のパラドックス

選択肢が多いほど自由度が高く満足を得られると思いがちだが、あまりに多い選択肢はストレスをもたらす。
→うちは治療コースがたくさんあるので懸念していたことです。実際にやってみて気付いたことですが、患者さんは気になるコースしか見ていないということ。

 

フレーミング効果

言い方次第で受け取り方に違いが出ること。「1000mg配合」と「1g配合」では同じことを述べているのに印象が変わる。
→言葉の使い方でかなり印象が変わるので患者さんの説明には常に気を付けています。

 

ここに挙げたのはこの本に掲載されている内容のごく一部です。まだまだ気になる箇所はありました。
このように振り返るといかに日常に行動経済学(そして心理学)の仕組みを使った広告や言い回しがあるか分かります。行動経済学を勉強することで患者さんとの接し方や治療院の運営方法がより良くなりそうです。

 

甲野 功

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