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~サービス・マーケティング~

マーケティング見るだけノート 平野敦士カール監修 宝島社
マーケティング見るだけノート 平野敦士カール監修 宝島社

 

日常、治療関連以外にも勉強をするようにしています。もちろん業績を伸ばすために。臨床は患者さんが来ないと始まりません。いわば待ちの仕事です。従業員であれば待っているだけでいいですし、給料が固定制ならばむしろ忙しくない方が楽かもしれません。自営業で独立すると、まず患者さんを来るように努力しないといけません。当たり前ですが。

 

開業してからずっと試行錯誤していますが、他人に任せるよりも自分で行った方が、結果的に効率が良いことは分かってきました。業者に頼んでも結局こちらが細かいところまでチェックすることになりますし、かけた費用を回収できないことなどよくあります。自ら動く方針にここ数年はしています。

 

マーケティング関連の勉強をするのですが、書店にあるのは基本的に製品販売、企業向けの書籍ばかりで、ちょっと違うなと思って読んでいました。
そんな中で、最近であった本がこちら。

 

大学4年間のマーケティング 見るだけノート

 

これまで何冊か「見るだけノート」シリーズを読んでいますが、イラストとシンプルな説明で、各分野の導入にとても役立っています。このマーケティング編で、これが知りたかった!という項目を見つけました。
それがサービス・マーケティングです。本の後ろの方に少しだけ記載があったのですが、サービス業のマーケティングについて書いてあり、参考になりました。そもそもサービス・マーケティングなる言葉も知りませんでしたから。


この本に書いてある内容を挙げて、私の環境に置き換えて考えてみます。

 

サービスの4つの基本的な特性
サービスはモノを売るわけではありません。そのため製造業とは違った特色があります。その基本的な得性を以下に挙げています。


無形性:サービスは形が無く購入前に見ることもできない。不安を解消するために買い手はサービスの品質の証明を求めようとする。
同時性・不可分性:生産と消費が同時に発生する(生産と消費が分けられない)のでサービスの提供能力に限りがある。
異質性:サービスは顧客ごとに要望が異なる。また提供者によって品質が変わる場合も。
消滅性:サービスを蓄えておくことができない。

 

言われてみれば当たり前ですが、改めて整理すると気づくことがあります。治療院業界ではどうでしょうか。

 

無形性

これが一番の特性でしょう。

治療行為は受けてみないと分かりません

ある意味他人の口コミが、レストランやテーマパークなどよりもあてにならない部分があります。術者が“これまでに何万人を施術!”と喧伝しても本当かどうかは確認できないですし、ただ人数を稼いでいるだけかもしれません。その患者さんに効くかどうかは蓋を開けてみないと分かりません。最低限、国家資格を取得していることやどのような技術を持っているかホームページで丁寧に説明することは必要だと考えます。

 

同時性・不可分性

サービスはモノを売らないで時間を売っていると言えます。それは提供する術者だけでなく患者さん側もそうです。来院してもらうかこちらが出張で訪れないといけません。経営で考えると難しいところですね。

 

異質性

まさに私の仕事がそうです。同じ鍼灸コースや按摩指圧コースでも、患者さんの主訴が違えば内容ががらりと変わります。ある意味でこの異質性があるからこそ臨床は面白いし、難しいと言えます。毎日同じことを同じようにやっていてはきつくなるでしょうし、反面とても楽でしょう。新しいことに挑戦する意味でも独立したのでこの異質性は歓迎するものです。

 

消滅性

②同時性・不可分性と並んで治療の根幹をなすものです。まとめて治療して何年も持つようにしましょう、とはいきません。どうしてもその場では良いけれどすぐに元に戻ってしまうとか、ひと月は良かったけどさすがにもう効果が切れました、など貯めておくことができません。一回で完全に良くなる、ということが無いとは言いませんが、それはある意味理想。どうしても消滅性からは逃れられません。だからこそ修練を積んでなるべく効果が長く続くように努力するのですが。

 

 

サービス業の7P
マーケティングには4Pという有名な項目があります。それは以下の通り。


製品(Product):商品そのもの。広い意味ではサービスも入る。
価格(Price):いくらで売るか。
流通(Place):流通経路や販売場所。通販サイトやスーパーでの細かい売り場まで入る。
プロモーション(Promotion):販促活動。CM、広告、試供品など製品を売るための行為全て。

 

サービス業ではこの4Pを入れ替えるのではなく、さらに3つのPを加えて7Pとします。


参加者(Participants)/人(People):顧客だけでなくサービス提供スタッフも含む。
物理的な環境(Physical Evidence):使っている素材や色、照明、温度など。
サービスを組み立てるプロセス(Process of Service Assembly):方針や手順、生産・納品管理、教育、報奨制度など

 

これらも私の環境に置き換えて考えてみましょう。

 

参加者もしくは人

私(治療人)と患者さんになります。私はもちろん、患者さんがどのような人かによってサービス(つまり治療行為や施術)の質は変わります。
どのようなタイプの患者さんにも対応できるように経験・知識・人間力を高めることは当然で、ときに患者さんを教育することも効果を上げる要因となります。治療は互いの存在無しには成り立ちません
そのことを再確認できる項目です。

 

物理的な環境

これはレストランやテーマパークの方がより影響が大きいでしょう。治療院であれば内装、器材、などが大きく当てはまります。内装にお金をかけて高級感がある方法をとる人もいますし、私のように内装、外観にお金をかけない人もいます。器材も術者がこだわったものを使っていくので、例えば鍼灸院という括りでも千差万別となります。
この業界は特に「物理的な環境=その人のこだわり」と言えるかもしれません。反対に術者のこだわりと物理的な環境が大きく乖離している場合(オーナーが別でその指示に従わないといけない、など)だと色々大変だと思います。

 

サービスを組み立てるプロセス

スタッフの教育や料理の作り方・提供方法などを指しているので、あまり私の環境には関係が無いかもしれません。強いて言うならば患者さんへの問診、説明、同意など治療に入る前の段階でしょうか。予約の取り方やベッドメイクも入ります。

 

 

サービスの質を測る5つの項目
サービスは形に残るものではないため、その品質を測るための方法が独自に考え出されました。以下の5つです。


有形性:物理的なサービスの質は十分か
信頼性:約束されたサービスが確実に遂行されているか
応答性:速やかにサービスを提供しているか
確実性:顧客の利益を優先した誠実な対応をしているか、サービス提供に必要な専門技能や知識を備えているか
共感性:顧客とのコミュニケーションが良好か、関心や配慮が行き届いているか

 

このようなはっきりとした指標が(スタンダードとなるものとして一般的に広まっているという意味で)治療院業界には無いので項目分けされた5つを置き換えてみると勉強になります。

 

有形性は技術的な質と置き換えれば良いでしょうか。きちんと押せている(圧が入っている)、経穴(ツボ)にしっかりと鍼が刺さっている、不快感を与える手技をしていない、など。一番技術力で差が出るところです。

 

信頼性は患者さんが望むことをしているか、ということとも言えます。
この項目はかなり重要で、往々にして患者さんの要望よりも術者のエゴを優先させてしまうことがあるので、そう思います。
例えば腰痛を主訴とした場合、腰を触らず足やお腹に施術して改善させる方法もあります。ですが、患者さんは、腰痛なのに腰を触らないなどおかしいだろ、と思う場合もあります。難しいところで、説明がしっかりできないと、効果がでないばかりか、勝手なことをされて時間とお金を無駄にした、とまで言われかねません。例え正しい技法だったとしてもです。
レストランでパスタを頼んだのにラーメンが出てくれば明らかにミスだと分かります。

治療の場合、患者さんの認識と術者の認識が異なることがままあるので、重要な指標ではないでしょうか

 

応答性は整骨院時代にとても感じました。予約システムがなく、たくさんの患者さんがアポなしで来る職場だったので、忙しいときは患者さんを待たせてしまいます。
混んでいるのだから仕方がない、というのはこちらの都合で、患者さんには関係の無いことです。
よく言われたのは

混んでいるからある程度待つのは仕方がない。ただ能率が悪くて待たされるのは嫌だ。

という意見。スタッフの能力を上げる、効果的な人員配置、全力で対処する、といった姿が見えないと待たされる方は不満です。
現在の私は予約優先でやっているので、このようなことは無いのですが、とても肝に銘じる指標です。

 

確実性は前半と後半で分けるべきでしょう。
後半は専門家として技能、知識がなければいけません。最低限のことです。そうでなければ国家試験の意味が無いです。加えて新しい知識や技術を日々学ぶ姿勢が重要でしょう。
前半の、顧客の利益を優先した誠実な対応をしているか、は目配り、気配り、といったホスピタリティのことでしょう。②信頼性と重なることがありますが、個々の患者さんによって誠実であることが変わりますからアンテナを張って対応しないといけません。

 

共感性は④確実性の前半に関係することだと思います。術者の独りよがりにならず、患者さんの方をしっかり向いているかどうか。
他のサービス業と違って鍼灸師はできていない、もしくはできづらい部分だと思います。患者さんの体に直接触れる仕事だからこそ大切にしないといけません。

 

 

サービス・マーケティング。読んでみればとても当たり前のことしか書いていません。ですがこの当たり前を整理して解説した文章にこれまで出会ったことがありませんでした。
これまで何となく経験上必要だからやっていたことを、項目分けしてくれることで頭がすっきりする感じがあります。これらのことをもう一度見直して、日々の業務に励むことにします。

 

甲野 功

 

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