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~鍼灸に真剣に取り組もうと思うキャリア12年目の開業鍼灸師~

鍼を打つ様子
鍼を打つ手元。

 

 

そろそろ鍼灸そのものに真剣に取り組もうと考えています2004年(平成16年)に鍼灸専門学校に入学し、2007年(平成19年)2月末に国家試験を受けて早10年以上。その間鍼灸を臨床で程度の差はあれやり続けて、鍼灸専門学校の教員免許も取り、開業もしておいて改めて言うのもナンですがそろそろ本気になろうと思っていますこれまで鍼灸というジャンルを適当に向き合ってきたわけではありません。2004年の専門学校入学から数えれば14年間きちんと勉強してきたし、実際に使ってきました。真面目に取り組んできました。

優先順位の問題です。私の考えは、鍼灸は誰かを良くするための手段(道具)であって、鍼灸をすること自体を目的としていません第一が受け手のこと。それが患者さんなのか家族なのか知り合いなのかはありますが鍼灸を受けて良くなる姿が好きで興味があります。ですから鍼灸以外で良くなるのならばそれで構わないと考えています。按摩や指圧、マッサージで良くなればそれでいいですし、愚痴を聞くのでも、話をするのでも、美味しいスイーツを食べるのでも、結果が伴うならば目的は二の次で良いと考えています。鍼灸師だから鍼灸をやりたい!という気持ちがありませんし、反対に鍼灸の患者さんばかりでマッサージがしたい!という気持ちにもなりません。私は柔道整復師免許を持っていますが、柔道整復師だから脱臼や骨折の整復をしたい!というものもありません。技術は目的を果たすための手段の一つ。そう割り切っていました。専門学校時代は真面目に勉強をしていましたが鍼灸実技をしっかりやった感じではなく、学校が求める安全で基本に忠実な動作を覚えた程度(それが一番、そして最低限必要なことですが)。臨床で効かせよう!という情熱が無かったです。

 

実は鍼が嫌いでしたから本当に鍼灸を学んだのは卒業後の実戦に出てからです。目の前の患者さんをプロとして対価を頂いて鍼灸をすることで、必死に練習しました。実践に勝る経験はなく、この時期にかなり技術は上達したとは思います。ですが第一の目的は鍼灸が上手になることではなく患者さんを良くするため。やはり鍼灸は目的を果たすための手段でした。その後、鍼灸あるいは東洋医学をきちんと学んでいなことを後悔し、鍼灸マッサージ教員養成科に進みます。その科で鍼灸の全体像を学び、三流派(現代鍼灸、経絡、中医学)の主だった勉強を改めて行いました。卒業後は3年間、週一の大学病院麻酔科勤務により病院の中での鍼治療を行う機会に恵まれました。他の日は自身の治療院で臨床を経きました。それでも結局は、目の前の課題を乗り越える、患者さんの症状を良くするためにできることを全力で尽くす、というメンタルで鍼灸を扱ってきました。鍼灸そのものを学ぶことを、最優先にはしてこなかったのです。鍼灸に向き合わなかった理由は、私自身が鍼灸治療を受けるのが苦手だったからに他なりません。率先して鍼灸を受けたいという気持ちが無いので消極的でした。患者さんを良くするために行っているもの、自らが良くなるものではないという感覚です。


個人的な嗜好ですが、私はあん摩や指圧、マッサージといった徒手療法の方が鍼灸よりも遥かに好きで鍼灸を学ぶ前からずっと取り組んできました。自腹を切って他のマッサージ店に受けに行きますし、研究も重ねてきました。技術の優先度は徒手療法の方が鍼灸よりも上位にあります。それが今年になり、体が弱ってきたのか鍼灸治療を受けるととても効果が出る、鍼灸を受けても良い状態に体も気持ちも変化してきました。それまでは鍼を打たれるとだるくなる、効きすぎる感覚でした。受けた後に効果があったと実感することはほとんどなかったのです。今は素直に「鍼灸を受けると身体の調子が良い」と思えるようになりましたこのような変化が「遂に鍼灸と真剣に向き合う時期になった」と思わせました。やっと患者さんの気持ちになれるようになったのだ、と。今までは自分の身体に合わないものだったものが、効果を実感できるものになった。そういうことです。これからがやっと本当の勉強で、自分の体験を通して鍼灸を研究し研鑽を積む時期になったと理解しました。

今年は色々な鍼灸院を見学したり、治療を受けに行ったりして患者さんの立場で研究することにしています。今更ながらという感じです。勉強会や研修ではなく料金を支払って受けることにより、やっと分かることがあります。院内の器材、設備、内装から始まって技術、説明、手順などを体験しながら研究します。そして膨大とも言える広い鍼灸の技法を、何か的を絞って研究していこうと考えています。今一度、鍼灸第一の考えでやってみる。その結果患者さんに還元できることがあるはずだと信じて。

 

私は鍼灸師でしたが鍼灸ファンではありませんでした。これから本当の勉強、研究が始まります

 

甲野 功

 

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