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~小顔矯正に対する措置命令~

東京都生活文化局 小顔になる効果を標ぼうするサービスの提供事業者2社に景品表示法に基づく措置命令
東京都生活文化局 小顔になる効果を標ぼうするサービスの提供事業者2社に景品表示法に基づく措置命令

 

最近、以下のようなニュースがありました。

 

NHK首都圏 NEWS WEB “コルギで小顔”効果なしで命令(※現在はリンク切れ)

 

ニュース本文より

「コルギ」と呼ばれるマッサージで、頭蓋骨のゆがみやずれが矯正されて顔が小さくなる「小顔」効果があるとうたっていたのは不当な表示にあたるとして、東京都は景品表示法に基づき、都内で美容サロンを運営する2つの会社に、再発防止などを命じる措置命令を行いました。

 

不当な表示を行っていたのは、いずれも美容サロンの運営会社で、東京・銀座の(略)と、東京・港区白金台の(略)です。

 

東京都によりますと、2つの会社は「コルギ」と呼ばれる頭や顔のマッサージを提供していますが、店舗のホームページにマッサージにより頭蓋骨のゆがみやずれが矯正され、目の大きさやあごの形が変わり、顔が小さくなる「小顔」の効果があるなどと表示していたということです。


都がこれらの会社に効果の根拠を示す資料を求めたところ、利用者の感想などしか提出されず、いずれも効果を裏付ける根拠は認められなかったということです。

このため都は、不当な表示にあたるとして、20日景品表示法に基づき再発防止などを命じる措置命令を行いました。

 

「コルギ」というマッサージは美容雑誌などでも取り上げられていますが、都が、医師などからも聞き取りをした結果、マッサージによって成人の頭蓋骨の大きさが変わることはないということで、表示に注意するよう呼びかけています。

 

なお、消費者庁も平成28年6月30日に小顔になる効果をうたう事業者9名に対する景品表示法に基づく措置命令をだしています。

消費者庁ニュースリリース

 

消費者庁ニュースリリース 平成28年6月30日
消費者庁ニュースリリース 平成28年6月30日

 

今回のコルギによる小顔効果広告に関するものは東京都が出しております。


どちらも「小顔矯正に医学的根拠がなく効果がない、よって広告出した事業者を処分対象にする」というものです。

 

平成28年の消費者庁が出したニュースリリースは、先月行われた厚生労働省の「第5回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」でも資料として使われています。

 

いまや鍼灸院の多くが美容を取り入れていることもあり、小顔矯正の誇大広告に対する措置命令について見ていきたいと思います。

 

景品表示法については以前書いた通り、誇大広告により消費者が害を受けないように広告表示を取り締まる法律です。


では具体的に消費者庁はどのような広告表示について処分をくだしたのでしょうか。最近のコルギの例を見てみましょう。以下の資料をごらんください。

小顔になる効果を標ぼうするサービスの提供事業者2社に景品表示法に基づく措置命令

 

東京都生活文化局 小顔になる効果を標ぼうするサービスの提供事業者2社に景品表示法に基づく措置命令
東京都生活文化局 小顔になる効果を標ぼうするサービスの提供事業者2社に景品表示法に基づく措置命令

 

内容を抜粋すると以下のようになります。なお事業者名を省略しています。

 


違反事実の概要

 

(1) A社 同法第5条第1号に該当(優良誤認
ア 表示内容
自社ウェブサイトにおいて、(略)、あたかも、本件役務の提供を受けることで、頭蓋骨の歪みやずれが矯正されることにより、目の大きさ、鼻の高さ、エラの張り、額の広さ、ほお骨の位置及びあごの形が変化し、かつ、小顔になるかのように表示していた


イ 実際
都が、同法第7条第2項の規定に基づき、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は資料を提出したが、当該資料は、合理的な根拠を示すものとは認められないものであった

 

(2) B社 同法第5条第1号に該当(優良誤認
ア 表示内容
自社ウェブサイトにおいて、(略)、あたかも、本件役務の提供を受けることで、頭蓋骨の歪みやずれが矯正されることにより、直ちに小顔になり、かつ、それが持続するかのように表示していた。  

 

イ 実際
都が、同法第7条第2項の規定に基づき、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は資料を提出したが、当該資料は、合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。 

 

2つの事業所どちらも東京都が
ウェブサイトの内容が誇大広告と思われ
根拠を示す資料を提出させて
提出された資料に合理的な根拠がないと判断し
措置命令に及んだことが分かります。

 

まずポイントがウェブサイトの内容であること。
鍼灸院、マッサージ院、整骨院といった厚生労働省認可国家資格免許者が運営する施術所(保健所に開設届を出すものに限る)ではウェブサイトの内容は広告とみなしていませんでした。今後医療ガイドラインの改定にともないウェブサイトも広告としてみなす方向ですが、従来はそうではありませんでした。

 

景品表示法においてはウェブサイトも関係なく「表示」とみなされ処分対象になり得るということですね。もちろん先に挙げた条件の「施術所」が景品表示法から免れることはありませんから、誇大表示はウェブサイトでも避けなければなりません。

 

次に東京都は具体的にどのような表現に対して誇大表示と認識したのでしょうか。資料から抜粋してみましょう。資料には具体的な個所が表にまとめてあります。

 

A社

「頭から顔まで骨格をじっくり矯正。顔筋マッサージにより、骨・筋肉を正常な位置に。」
「もともとまんまるだった顔の輪郭が自然にシャープな顔立ちへと変化。」
「あご、目の大きさ、鼻の高さが変化していき、施術終了後には見違えるほと小顔に。」
「ぱっちり目に【眉骨】」、「眉骨(目の上にある骨)が上がると、まぶたの腫れが取れ、目が大きく。凹凸がはっきりした憧れのハーフ顔に。」
「額を広くも狭くも【おでこ】」、「おでこの骨を調整することで、長い額を適度な寸法に、狭すぎるおでこを広げてシワ取り効果も。」
「通りのいい鼻すじ【鼻骨】」、「鼻骨の両側を押して、顔の中心に浮き立つようなスーッと伸びた鼻に。細くて高さのある鼻は小顔効果もUP。」
「ほうれい線を薄く【ほお骨】」、「ほお骨を上げれば、ほお下のたるみが持ち上がり、ほうれい線が薄くなる。高いほお骨で彫りの深い印象にも。」
「顔を2割小さく【エラ骨】」、「横に張り出し、顔を大きく見せていたエラ骨を押し込めば、今までより2割は顔が小さく見えるはず。」
「シャープな顔に【あご骨】」、「あごの骨の形を鋭角にすることで、シャープなフェイスラインに。もちろん二重あごも改善します。」 
「顔を大きくする根本原因である頭蓋骨を正しい位置へ動かすことで土台である骨が上がり、たるんだ皮膚や筋肉が持ち上がって「しわ」や「たるみ」が改善します。」
「頭蓋骨は 23 個の骨片がパズルのように組み合わさってできていますが、それぞれのつなぎ目にできた隙間を戻すことでバランスの良い小顔へと導いていきます。」

 

B社

「23 個からなる頭蓋骨のつなぎ目を正しい位置へ戻すことにより、まるで緩んだネジを締めたかのようにキュッと引き締まるのです。」
「とても即効性と持続性に優れた施術です」
「23 個の骨片からなる頭蓋骨の隙間にアプローチし、小顔に導く手技」
「顔全体にメリハリがアップして頬骨も高くなりました。」
「土台である骨が歳とともに広がり
「頭蓋骨は23個の骨片が組み合わさってできています。この頭蓋骨が年とともに外へ外へと広がっていき、大きな顔や左右の歪み、二重あごやエラ等を招く一因になっています。頭蓋骨が広がると顔が大きくなり、骨の上にのった脂肪や筋肉もハリが保てずにたるんできます。また、一度広がった骨は戻ることなく、クセが強くなる一方なのです。そして肌のケアをしても土台である骨が広がっていては顔の老化は止められないのです。」
「23 個からなる頭蓋骨のつなぎめを正しい位置へ戻すことにより、まるで緩んだネジをしめたかのようにキュッと引き締まるのです」
「顔の土台・骨を動かす
「眉骨 ぱっちり目になります。まぶたの腫れが取れ大きな目が出現、目力UPです!」
「鼻骨 細く高い鼻筋の通った鼻は小顔効果UPです
「あご シャープな顔の決め手!キュッと尖った顎になりシャープなフェイスラインになります。二重あごも解消!」
「おでこ 額も広くも狭くもできます。丸く立体的なおでこになりおでこの気になるシワにも効きます。」
「ほお ほうれい線を薄くする。ほおのたみや丸く出たほっぺにも効果大!毛穴も目立たなくなります。」
「エラ 横に張り出したエラは角張った大きな顔に見えてしまいます。エラが入ると2割は顔が小さく見えます。」
即効性と持続性にこだわり」
「一回の施術でも効果がわかるほど、即効性に優れているのが特徴です。また、継続して受けていただくことで、骨と筋肉が理想的な位置に安定します。」
「小顔 リフトアップ効果」
土台である骨が広がっていては顔の老化は止められない」
「お顔の土台である骨に直接アプローチすることで、その上にある肌がその骨に沿ってリフトアップします。」
すぐに効果は実感頂けますが、施術後さらに自己治癒力で引き締まり、翌日か、翌々日に一番効果を実感できます。その後、5日から7日間隔で受けていただくことで、癖が戻ろうとする前にアプローチし、効率よく段階を経てバランスの良い小顔になり、コアまでしっかり詰まることで安定させていきます。コアまで詰まるまでに平均16回要します。」
「頭蓋骨全体のバランスを整えながら小顔へと土台である骨を動かして矯正していきます。」
頭がい骨奥の骨と骨の間に詰まった老廃物がほぐれ、骨と骨の隙間が詰まって小さくなります」
頭がい骨に溜まった老廃物を流しすっきりとした小顔へ導いてまいります」
頭蓋骨矯正
長年の癖で広がった骨格(骨)を本来あるべき位置へと導きます」

 

いかがでしょうか。これらの表現が誇大表示だと判断したということです。


私は柔道整復師であり人体の専門家なので、滅茶苦茶なこと言っているなと呆れますが、一般の方はそこまでは思わないのではないでしょうか。

 

私は、眉骨なんてあるのか?とか、確かに頭蓋骨23個あるがその中には舌骨もあり舌骨は他の骨と縫合(接触)していないだろ!など言えますが、一般の人はそこまで知識はないでしょう。なんとなくそれっぽい言葉に正しそうにみえてしまうのではないでしょうか。
ところどころ解剖学用語(一般の人からすれば馴染みのない専門用語)を交えているところが悪質なのかもしれません。


・解剖学的に正しくない
・効果があると断言している
・さらに効果は即効性がありかつ持続すると断定している
などの点が指導対象だとみてとれます。

 

このような広告表現をしても、一般消費者には「常識的にあり得ない」とは思わないのでしょう。専門知識が無い消費者に対し、国家資格のように規制がかからない状況で言いたい放題、書いたもの勝ちのような表現をして多額な料金を得ることは良いことではないでしょう。


同様に我々もウェブサイトも含めて表現に気を配らないといけないといけません。

 

甲野 功

 

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