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~鍼灸学生のキャリア戦略~

Acu×Crossポスター
鍼灸学生キャリア発見イベントAcu×Cross ポスター

 

もう結構前になりましたが、このような本を読みました。

 

苦しかったときのことを話そうか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」
森岡毅著 ダイヤモンド社刊

 

苦しかったときのことを話そうか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」
苦しかったときのことを話そうか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

 

 

著者の森岡毅氏は前々からファンで、これまで彼の書いた本を全て読んできました。


森岡毅氏はマーケティングを専門に行い、低迷していたユニバーサルスタジオジャパンをV字回復させたことで有名に。その後、同社を去り自ら起業しております。このような最前線で活躍するビジネスマンが、これから就職活動を迎える長女のために書いた内容をまとめたものが本書です。

私も実生活で二人の娘を育てており、就職はまだまだ先のことですが、同じ娘を持つ父親の立場から興味深く読みました。

 

本書に出てくる言葉に「キャリア戦略」があり、とても考えさせられました。
キャリア戦略とは自らの職歴をどのようなものにするか考えること。そのような意味合いです。


大学3年生になりこれから就職活動を始める時期になった森岡毅氏の長女は「何がしたいのかわからない」と言います。その悩みに対して、社会人になるにあたりどのようなことを考えていけば良いのかを、人生の先輩として指南する内容になっています。
私が大学生だった頃に読んでいたらとても参考になったと思う内容でした。

 

さて、キャリア戦略という言葉を出すことで(定義することで)言語化できることがあります。
最近、私が考えることは「鍼灸学生のキャリア戦略」はどのようにしたら良いのか、ということなのです。

 

 

ある鍼灸師仲間の交流会で、20代はじめの女性鍼灸師さんと話したときに「わたし、何がしたいのかわからないのです」と言われたのです。
「え?国家資格を通って免許も取得して就職していて、まだ何がしたいのか分からない?おかしくない?」
と内心思いましたが声に出しませんでした。そのように考えてしまうのは自分がおっさん化している証拠だと思ったからです。

 

彼女の年齢は大学4年生か大卒社会人くらいの年齢です。
その年齢でやりたことがはっきりとしていて進みたい道筋が見えているというは稀なことではないでしょうか。つまりキャリア戦略ができているというのは無理なのではということ。

 

おっさん化と思ったのは、私は既にある程度自分が想定したキャリア戦略通りに来ていて、今後微調整はあるでしょうが概ね進む方向がはっきりしています。この年齢で役者を目指すぜ!サッカー選手になってワールドカップに出場するぜ!などということはあり得ないわけです。
これまでのキャリアを活かして別の業種に移る可能性もありますが、大きく逸脱することはないでしょう。戦い方として勝算が低いからです。

 

そのような答えに至ったのもたくさんの経験を踏まえて考えてきたからです

 

私は4年制大学を卒業しています。大学3年生の後半くらいから就職活動が始まり、否応なしに今後の人生を考える状況になりました。
大学院に進学する?→そこまでの頭脳も無いし社会に出た方がいいだろう(両親が大学院進学していなかったことも影響)
就職するならどの業種?→手あたり次第企業説明会に行ってその目でみてみよう
こういう感じでした。


就職活動組の学生は同じ境遇で、業界研究、自己分析、エントリーシート作成、説明会参加、エントリー、面接などの目の前にあるハードルに取り組んでいました。私は理工科系大学だったので就職に強く、当時はまだ紙の時代だったため、自宅には段ボール何箱分の企業案内が届きました。カタログのように眺めて気になる企業の説明会に参加しました。一見大学の勉強と関係のない企業にも足を運びました。
製薬会社、学習塾、公共交通機関、総合商社、メーカー、などなど。
さすがにトウモロコシの先物取引をしている現場を見学に行ったときに、ここは自分が行く場所ではないな、と思いました。

 

第一志望の企業に落とされ、学部卒は相手にしません(院卒が最低限)と言われ、へこたれそうになったこともありました。自分の強みって何?という自問自答もずっとエントリーシートを書いて面接を繰り返すことがだんだん見えてきました。同じ境遇の学生と話をして励ましあい、情報交換して就職活動を乗り切りました。


大学卒にはこのような余白が与えられています。鍼灸専門学校とは違うのです。

 

就職活動を終えて入社した某企業。東証一部上場の中規模ながら立派な会社でした。しかし入社してすぐに会社員でいることが嫌になります。理由は色々ありましたが、心も体もこの場に居たくないという感覚。誤魔化しながら勤めるも、入社3年目に麻疹に罹り人生初の入院。9日間の入院生活(途中危険な状況に陥った)で真剣に人生について考えました。

 

健康に携わる仕事をしよう。安定した給料と待遇があってもストレスで死んだら無意味だ(実際に死にかけたし)。

 

そこから幼少期から得意だったマッサージ(もどき)を仕事にしようと決意。調べたら国家資格だと4月入学しかなくて、整体とやらならいつでも学校に入れるという。学費も勉強期間も大幅に短いので手っ取り早く整体の学校に行こう、会社は辞めようと決意。当時は資格免許のこともよく分かっていなくて、社会人になってからいつ脱サラしてもいいように貯めていた貯金を使って専門学校に入ったのです。

そこでこの業界のこと、人様に触ってお金を頂くことの大変さ、もっと勉強としっかりとした資格免許を持たないとならないこと、そういったことを実体験で学びました


最初は会社から逃げたいという消去法で進んだ道も、自然とこうなりたいという理想像ができていました。


国家資格(鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師免許)を取ろう。そう決めたのが26歳のときでした。そこから専門学校選び、受験対策をして無事第一志望の学校(東京医療専門学校Ⅰ部本科)に入学。3年間の学生生活中も、自ら求める理想像に近づけるために勉強と練習をしてきました。

卒業後もその都度、その都度必要と思える職場、学校、資格を求めて今に至ります。

 

話を戻して20代前半の鍼灸師が「やりたいことがわかない」という言葉に対して否定的な意見を述べるのはズルいわけです。大学を出て、就職活動を経て、一般企業に就職をして、脱サラを決意して、リラクゼーションの現場をみて。その上で国家資格を取ろうと決意した私の立場と彼女とは大きく違います。ある意味私は「勝ち逃げ」したもの。何をなめたことを言っているだ!と説教したら完全なイタイおっさんなわけです。

 

ではなぜ彼女はこのような状況になったのか思案してみました。


高校を卒業してその春に専門学校に入学。21歳で国家資格を取得。一応「先生」と呼ばれる立場になる。
この状況が大きく影響しているのではないか。そう考えました。

 

私が入学する当時、入った科の倍率は20倍だったと、入学後に先生から教えてもらいました。そうなると入学時点で選別されてそれなりの人が集まります。クラスには既に柔道整復師を持っている人が3分の1くらいいました。それ以外にも大卒、一般企業経験者が多かったです。高卒18歳のクラスメイトも親類に鍼灸師業界の人がいるメンバーもいました。


こう言っては角が立つかもしれませんがそれなりの業界に対する知識と覚悟、そして能力がある人しか集まっていませんでした。約60名のクラスメイトで、資格を取って10年あまり。業界から去ったと判明している人は片手で足りるくらいしか知りません。

 

今はどうでしょうか。
鍼灸専門学校はどこも生徒集めに必死で高校生をターゲットに募集をかけています(全てとは言いませんが)。希望すれば簡単に入れてしまう状況ですからふるいにかける状況にはなりません(これも全ての学校がそうとは言いません)。
何となく、国家資格を取れる専門学校に行ってみた方がいいのかな、という軽い気持ちで入学する生徒が多いように感じます。

 

私が鍼灸師になって丸5年目に入学した鍼灸マッサージ教員養成科にも高卒からストレートにきた21歳のクラスメイトが多数いました。もちろん更に勉強しようという意気込みで来ている人ばかりですから意気込みや覚悟があります。それこそ何度か話題にしている京都の樽井先生のように、鍼灸師に憧れてストイックに脇目もふらず勉強しキャリアを重ねている同級生もいます。

 

しかし最近耳にするのは何となく入学してしまい、学校の勉強についていけない、国家試験対策ばかり頭にある、そもそも鍼灸師に憧れも興味もない、将来像がみえない、という専門学校生の話(重ねて言いますが、全学生がそうとうは言いません)。特に高卒で18歳で入学した学生さんにこのような話を聞きます。
なまじ国家資格を取得するため卒業後のキャリアを狭めてしまっていないか?と懸念してしまいます。

 

先日、「ヤナケンベース」で岡野浩人先生にて、このようなことを話しました。

岡野先生も18で専門学校に入学し、数ヶ月経過して「あれ、これは21歳以上の社会人経験者を対象に話しているのでは?18歳の高卒向けではない。」と思ったそうです。岡野先生も母校も名門校ですから予測できます。

私の時も「うちは職業訓練校だ!やる気がないならとっとと辞めろ!」と講師が授業中に言っていました。今ではとてもできない態度だそうです。

 

 

ヤナケンベース 岡野先生との会話
ヤナケンベースにて岡野先生との会話

 

 

岡野先生は今月鍼灸学生向けにキャリアを考えるイベントを行います。

 

鍼灸学生キャリア発見イベント Acu×Cross ~鍼灸師と鍼灸学生のツナガリをツクル~
9月29日(日) 名古屋にて

 

 

Acu×Crossポスター
鍼灸学生キャリア発見イベントAcu×Cross ポスター

 

 

このような取り組みは本当に大事だと思います。鍼灸学生とすでに活躍する鍼灸師をつなぐ。結果として鍼灸学生のキャリア戦略の手助けになる。素晴らしい取り組みです。

 

これだけ専門学校が増えてしまい、死ぬ気の覚悟で入学するという状況ではありません。私の知り合いには母校の東京医療専門学校を3回受験して落とされて、予備校に通って準備をして浪人し2年目の受験でやっと入学したひとが2名います。今はこのようなことはまずないことでしょう。


強い意志を持たずに入学した鍼灸専門学生のキャリア戦略。そこを手助けした方がいいと思います。少なくとも誰か頼れる人がいるという状況があれば違うと思うのです。

 

それは自己責任でしょう、という意見もあるかと思いますが、私が新卒の鍼灸師になったときよりも一人前になるハードルは高くなっていると感じている。

そもそも人生経験が足りなくてどう考えて、どう行動したらよいのかわからない学生もいることでしょう。分かる学生はこの情報化社会ですから勝手に見つけて行動に移します(そのような鍼灸学生さんにもよく出会いますし)。
岡野先生も同じようなことを語っていました。どのように学生さんに届かせるかと。

 

鍼灸学生のキャリア戦略。


業界にとって重要なことではないでしょうか。偶然にも行動に移そうとしている先生方がいて(しかも地方で)、今後の動向に注目しています。

私もできる範囲で活動していきます。

 

甲野 功

 

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