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~あん摩マッサージ指圧師が業務用マッサージチェアを体験してみた~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 あんま王Ⅱ 箱根ユネッサンにて
あんま王Ⅱ 箱根ユネッサンにて

 

箱根のユネッサンに行ったときのこと。休憩室にマッサージチェアが設置してありました。

 

その名も「あんま王Ⅱ」。

 

㈱日本メディテック製 あんま王Ⅱ

一目みて、ネーミングから引っ掛かりました。

 

まず私のような「あん摩マッサージ指圧師」免許を持つ人間は、「按摩(あんま=あん摩)」と「指圧」と「マッサージ(massage)」を明確に区別しています。それぞれ元々発祥も技法も異なるからです。

 

按摩は、中国を起源として、薄い衣服の上から主に揉捏(じゅうねつ:揉むこと)を用いて遠心性(体の中央から外に向かって)に行うもの。
指圧は、日本で生まれたもので、薄い衣服の上から主に押圧(おうあつ:指や手で押すこと)を用いて遠心性に行うもの。
マッサージは、ヨーロッパ(フランス)が発祥とされ皮膚の上から直接行い、主に軽擦(けいさつ:撫でること)を用いて求心性(体の端から中央に向かって)に行うもの。

 

日本では按摩をカタカナ英語にするとマッサージとなり、按摩とmassageの区別がつきません。しかも「あんま」という用語は江戸時代、盲人の職業とされていたため「めくら」と同様に視覚障害者差別の意味にとらえられて放送禁止用語になっているという話もあります。我が国最初の法律と言われる大宝律令に記載される按摩という言葉なのにひどい扱いです。

 

それだけ、按摩・あん摩・あんまという言葉は現代では知れ渡っていません。

 

そういった現状があるにもかかわらず、敢えて商品名を「あんま王」にするということはなかなか分かっていると思いました。多分一般の方には全く響かないと思いますが、知り合いのあん摩マッサージ指圧師にこのことを話したところ、「それは凄い!」と興奮していました。分かってくれると思いましたね。

 

そのマッサージチェア「あんま王Ⅱ」。どれくらいのものか体験することにしてみました。

 

 

AIに奪われる職業一覧というのが、少し前に話題になりました。マッサージ(厳密には按摩と指圧)を機械で代用できるようにAIに学習させているという研究もあるそうです。私の業務が機械に置き換えられるのか?専門家としても体験しなければと思いました。

 

私が試した機械は10分200円。ホームページで確認すると設置する人が料金を変えられるようです。10分100円や20分100円というのもありますからハイクオリティ機種ということでしょうか。
なお「あんま王Ⅱ」とありますが、その前のモデル「あんま王」と次世代機種の「あんま王Ⅲ」も調べるとあるようです。

 

まずお金を入れます。現金(100円コイン)のみ。カードやQRコード決済はできません。ユネッサンの施設内はバーコード管理によるキャッシュレスが進んでおり、自動販売機でジュースを買うのですらリストバンドをかざせば買うことができます。施設を出るときに決済することになります。「あんま王Ⅱ」は対応しておりませんでした。

 

椅子に座ってスタートボタンを押すと「AIによる骨格をリサーチしています」と表示が出ます。体形を確認しているのでしょう。私たち人間は目視(視覚)、手触り(触覚)で確認し、かつ質問して(問診)相手の状態を把握します。体形を確認するというのは新しいステップですね。

 

いくつかモードがあり、途中でも変えることができます。おまかせ・リラックス・ストレッチ・無重力。無重力モードというのは予想がつきませんでした。部位ごとにも強さを変えられますし、揉み・たたき・把握(握るような動作)も選ぶことができます。また私が乗ったものにはありませんでしたがフードが付いていて顔がすっぽりと隠せるようになっているそうです(ホームページより)。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 あんま王Ⅱ 説明書き
あんま王Ⅱ 説明書き
あじさい鍼灸マッサージ治療院 あんま王Ⅱ リモコン説明
あんま王Ⅱ リモコン説明

 

 

 

では実際に体験した感想です。

 

まず優れていた点


コストパフォーマンスが良い
10分200円が高いか安いかは意見が分かれると思いますが、高くはないと思います。箱根の観光地に来てちょっと贅沢に身体を休める時間を買うと考えると安いのではないでしょうか。
従業員の観点でみれば大きめの机一つ分で電源につないでおけば勝手にお金が入るシステムですからなかなか良いかと思います。ホームページではレンタル料金も載っており、モデルケースでは毎日1日3名利用してもらえれば元が取れると書いてありました。

 

前腕の把握動作がある
これまでにもいくつかマッサージチェアを体験してきました。ボールや突起で押す、叩くはどれもあるのですが、空気圧で両面から圧迫するタイプは少ないのです。あってもふくらはぎくらいですが、「あんま王Ⅱ」は前腕(肘から先)も空気圧で把握してくれました。

 

チェア全体が上向きに動く
無重力とは?ストレッチとは?事前に疑問があったのですが、乗っているマッサージチェアそのものが上向きに動きます。リクライニングではなく全体が動くので、ジェットコースターが上に登るときのような感覚になります。これが無重力という意味かと分かりました。そして殿部(お尻)から下の部分が別に動くので少し背中が伸ばされる感覚がありました。こうやってストレッチをするのかと納得しました。

 

 

良くなかった点


うるさい
高機能な分だけ各種モーターが多いのでしょう。モーター音、エアーを入れる音が結構気になります。身体の背面を覆っている部分の至る所から音がするため響くのか気になります。あん摩マッサージ指圧師免許は厚生労働省認可の医療系国家資格ですから治療目的が主体です。対してこのようなマッサージチェアはリラクゼーション目的であり医療目的ではないはずです。私はリラクゼーション業界出身ですから、リラクゼーションとして考えると音の問題は大きいと感じます。むしろリラックスミュージックでも流した方がいいかもしれません。
※個人的にiPodなどで音楽を聞いていればいいともいえますが、体とマッサージチェアに間に入ってしまうと押しつぶされる恐れがあるので、音楽を流す機能を備え付けた方がいいかと思いました。もしくは高機能化して消音するか。

なお別の温泉地でのったマッサージチェアでは機能が「あんま王Ⅱ」より落ちる分音が静かでうとうとしました。

 

アプローチする部位が少ない
この「あんま王Ⅱ」は殿部、前腕と他のマッサージチェアよりも多くの個所を押してくれます。しかし人間が行うのと比べれば足りない印象です。
まずお腹をはじめとした身体の前面は全く押してくれません。椅子である以上しかたないですが。
また指先、足先といった末端の細かい部分は対応できません。プロの立場からいうと指は神経や血管が豊富なので押すと効果があります。それと頭部も押してくれません。頭部は頑丈で押すとリラックスできる部位。機械の性能と安全面を考えると指や頭はまだできないのでしょう。
もちろん顔面部もそうです。目の周り、眉毛などはとても有効です。上手く押せば腹部も効果てきめんです。本来の按摩には腹部を揉む「按腹(あんぷく)」という技法があります。腹部を揉んでくれる・押してくれるマッサージチェアに遭遇したことはありません。顔もお腹も危険なのでメーカーもそう簡単に手を出せないでしょう。

 

コミュニケーションがない
当たり前と言えば当たり前ですが、淡々と行います。そこをもっと強く、もっと長くという細かい要望には応えてくれません(要望を出す気もないのですが)。IoTといって機械とネットが繋がり自動車もAIスピーカーが付く時代です。今後は言葉に反応してもっと柔軟に対応してくれるようになるかもしれません。今のところボタン操作できる範囲でしか対応できません。
人間が行うことのメリットは会話ができるということと感触で読み取ることができることです。言ってくれれば強さを変えますし、身体の状態から時間をかける・軽く流すなど臨機応変に対応することができます。

 

あくまでリラクゼーション目的
これも繰り返しになりますが、例えば関節リウマチがある方が乗ったらどうなるのか、高血圧の既往がある高齢者が乗っても平気なのか、骨折している個所がある、といった健常者ではない利用者のことは想定していません。身体に問題が無い人が乗るという前提です。事故が起きても機械は判断できません。少なくとも現時点のレベルではそうです。
あん摩マッサージ指圧師が行うならば危険なことは避けて行うことができます。

 

 

結論。あん摩マッサージ指圧師の仕事はマッサージチェアに奪われるのか?という問いは“今のところ”ナンセンスだなというもの。


用途も価格帯も異なっています。うちでは30分4000円で按摩指圧を行っていますから価格はこちらの方が遥かに高くつきます。その分高度な要求にも細かい部位にも対応できる自負があります。
マッサージチェアを利用する方は手軽に楽しめるという点がニーズでしょう。言うなれば、お酒の変える自動販売機があるから居酒屋や屋台が潰れるかというと話は別、という感じです。

 

今後チェアタイプではなくベッドタイプのスーパークオリティーのマッサージ機械(というより設備?)が開発されて、AIを駆使した高性能アーム(手術用ロボット並)などを搭載できれば分かりません。ディープラーニングで疾患がある人でも対応できるようなものが生まれるかもしれません。実現されれば人が苦手という方はそちらを選択するかもしれませんが。

 

テクノロジーの進歩は想像以上です。企業も注目していないだけで市場があると判明すれば大きく投資するかもしれません。プロとしてテクノロジー環境もチェックしておいています。

 

甲野 功

 

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