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~国家試験のこと、あれこれ~

厚生労働省ホームページより 医療系国家試験の日程
厚生労働省ホームページより

 

この時期、医療系国家試験が続いています。
医療系というのは厚生労働省管轄の医師を筆頭に医療従事者の国家試験を指しています。医師国家試験が終わり、自己採点で合格して医師になったという声がTwitterであがっています。

 

今月の2月22日(土)にはあん摩マッサージ指圧師国家試験が、23日(日・祝)にははり師、きゅう師国家試験、3月1日(日)には柔道整復師国家試験が行われます。これらの試験はマークシートの選択式で実技はありません。純粋に座学のみです。


ここに挙げたものは私が受けた試験です。これらの国家試験に関するエピソードを書いていきます。これから国家試験本番という受験生たちの何かの足しになればと思います。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 国家資格免許一覧
院長の国家資格免許一覧

 

 

まず日程ですが、これは毎年決まっております。

鍼灸師は2月の最終日曜日。

柔道整復師は3月の最初の日曜日。

あん摩マッサージ指圧師は鍼灸師試験の前日。

近年はこのようになっています。

かつては都道府県別の資格でありました。免許も東京都、神奈川県、千葉県といったように都道府県別で発行していました。現在は国家試験として厚生労働省の管轄になっています。


本年は2月29日が土曜日ということで例年に比べて鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の国家試験開催時期が早くなっています。しかも鍼灸師の国家試験が天皇誕生日と重なります。令和になり初めての天皇誕生日が試験日と重なるという偶然。
振替休日で次の日が休日なるのも例がありません。鍼灸専門学校は試験後すぐに学校にて自己採点を行って合格率を出す作業に追われます。試験を受けた受験生もすぐに自己採点をして合格しているか確認しないと気が気でないでしょう。休日に学校を開けるのか、火曜日まで伸ばすのか、まちまちのようです。

 

さて、文章のはじめには「はり師」「きゅう師」と記載して、それ以降は「鍼灸師」と書いています。これはあまり知られていないのですが、元々は「はり師」と「きゅう師」と別々の資格なのです。ほぼ全員がこの2つの資格を同時に取得するためまとめて「鍼灸師」としています。
しかも法律上はひらがなで「はり師」と「きゅう師」です。細かいことをいうと法律の名称は「きゅう師」ではなく「きゆう師」なのです。昭和に制定された法律で、当時は「ゅ」という小さい文字を大きい「ゆ」と表示するのが慣例だったためです。きゅう師の国家資格免許をよく見ると本文には「きゆう師」と書かれています。

 

反対に「あん摩マッサージ指圧師」の資格は3つの技術を一まとめにしています。
マッサージをするのに国家資格免許が必要ということ自体認知されていないのですが、法律上は免許が必要なのです。しかも世間の人が認識しているマッサージは按摩(あん摩)、あるいは指圧のことです。
あん摩(按摩)は中国、マッサージ(massage)はフランス、指圧は日本が発祥とされそれぞれ技術体系も異なるのですが、国家資格になる際に一つにまとめられました。鍼灸は別々に資格があるのに不思議ですね。そのため、あん摩マッサージ指圧師になるためには3つの技術を習得しないといけません。
なお法律上は「マッサージ」ではなく「マツサージ」と記載するのは先に挙げたきゅう師と同じことです。

 

そして国家試験に関して言うと、あん摩マッサージ指圧師は1つの資格なので当然一日で行いますが、鍼灸師は本来2つの国家試験なのに一度に行ってしまいます。不思議ですね。はり師ときゅう師でほとんどが共通問題で、はり理論・きゅう理論という各専用の問題があります。もしも片方が落ちてしまった場合は次年度に片方だけ試験を受けなければなりません。

 

私は鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師両方を取ることができる科だったので、このように3つの国家試験を2日間で行います。学ぶ技術は合計5つ(按摩、マッサージ、指圧、鍼、灸)で国家資格は3つ、試験は2日間という。しかも土日連続です。大変でした。


また国家資格が分かれているということは受験料も別々にかかります。1日で行うのにはり師、きゅう師で別々です。あん摩マッサージ指圧師も入れると3資格分の受験料です。
国家試験に合格した際には名簿登録が必要で、名簿登録がされないと免許証が交付されませんし、免許の効力も発揮されません。その登録料も3資格分かかるのでなかなかの出費です。国家試験後にお金が飛んでいくという感覚に襲われるものです。

 

一般的にはあん摩マッサージ指圧師試験の方が鍼灸師試験よりも簡単と言われています。
あん摩マッサージ指圧師は視覚障害者の方も受験することが多いため、あまり難易度を上げないという暗黙の了解があるようです。明文化されているわけではないのですが。通常、あん摩マッサージ指圧師の方が合格率は高く、それは視覚障害者の職業支援という意味合いも含まれていることが想像できます。


そのため、鍼灸師試験を受験する前に前日のあん摩マッサージ指圧師試験の問題を入手して傾向を読み、問題を解いて自信をつけるということを行います。少なくとも私の頃はこう言われていました。

ところが私が受験した2007年は傾向が変わり、あん摩マッサージ指圧師試験も結構難しいぞ、と焦ったものでした。鍼灸科の受験生も「あん摩の試験は楽勝って聞いたのにそんなことなかったぞ!」という声が聞かれたものでした。


蓋を開けてみると鍼灸師の試験は更に難しくて冷や汗をかいたものです。午前中にあった現代医療系の問題に手こずって、午後の東洋医学系の問題で挽回しようとしたものの午後最初の問題から分からないという出鼻をくじかれたものでした。

 

年に一度しかない一発勝負の国家試験。これに合格するために3年間勉強してきたわけでプレッシャーがあります。不安な問題のことばかり頭によぎって冷静になれませんでした。実際にはあん摩マッサージ指圧師も鍼灸師も9割以上正解して合格していましたが、当日は大丈夫なのかな?と不安になりました。

 

どのような状況に陥っても国家試験に合格する力がついているという自信はある程度ありました。それは母校の東京医療専門学校は国家試験対策がえげつない学校だからです。

 

私が鍼灸マッサージ科に在学していた当時、当然のように国家試験合格率1位を目指していました。二度行われる卒業試験は国家試験より遥かに難しいのです。私は成績優秀者で卒業式で賞状をもらいましたが、1次卒業試験でも2次卒業試験でも再試験になりました。どちらもストレートに通過したのは60名弱のクラスメイトでほんの数人しかいませんでした。あまりに難しくて吐き気をもよおすほど。卒業試験の最中にトイレに行く生徒もいました。私も気分が悪くなりました。


問題が難しすぎて裏の裏をかく習慣ができてしまいます。その結果、単純な基本問題が考えすぎて正解できないという状態になるのです。通称、呉竹病と言われました(呉竹とは東京医療専門学校の学校法人名)。
合言葉は「本番は卒試(卒業試験)より簡単でしょ」でした。国家試験よりもはるかに難しい試験に慣れて本番で落ち着けるはず、という。
それでも国家試験本番は問題が難しいと不安になったものでした。

 

現在の鍼灸国家試験は難易度がどんどん上がっており、かつての卒業試験並になっていると思います。特に東洋医学系の問題。後輩たちは私の頃よりずっと大変です。

 

2007年の国家試験を終えてから4年後、2011年3月に柔道整復師国家試験を受験しました。鍼灸マッサージ師になってから再び専門学校に通い、柔道整復師も目指すことにしました。既に3つの国家試験を経験した私には柔道整復師の座学はそこまで大変ではありませんでした。試験本番も土日2日間の国家試験を経験しているので1日で終わる柔道整復師は苦労しないだろうと思っていました。

 

問題はその試験システムです。私が受験した時は必修問題という基本的な内容を問う問題が30題最初にあり、その8割を合格しないと他の問題が全て正解でも合格しないのでした。30問の8割ですから24問以上正解しないといけません。そこで躓くともうアウトです。試験最初の30問に緊張するのです。

 

またも私が受けた時の国家試験は傾向が変わっており必修問題が結構悩むものでした。え、これは難しいな、という内容。試験会場で、言葉を発しませんが受験生の雰囲気で難しいというのは伝わってきます。解答用紙を回収するときに手汗で用紙がしわしわになっている受験生もいました。そして午後の試験会場。明らかに受験者数が減っています。午前の必修問題で諦めた人がいなくなっているのです。これはあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師にはなかった光景で残酷なものだと思います。

 

柔道整復師国家試験は当日のことよりも卒業認定実技試験の方が大変でした。そのことはまた別の機会に書きますが、あの緊張感は人生の中でもあまり経験したことがないものでした。


そして柔道整復師国家試験が終了し、のんびりと今後のことを考えていた次週の金曜日に東日本大震災が起きました。謝恩会も卒業式も中止。就職活動もままならず、未来が不安になりました。柔道整復師国家試験が1週ずれていたら試験ができなかったかもしれません。そのような思い出があります。

 

最後に私が実践した国家試験対策を書いておきましょう。

 

問題用紙に
確実に正解しているはず→〇
不安だけどたぶん正解(2択まで絞ってどちらか迷うも確証が持てない)→△
本当に分からない→×
と問題番号の横につけて行き、〇の数の割合で合格圏内か予想します。当日は緊張しているので△も結構正解にになるので△の数を入れてもまあ大丈夫と言い聞かせて落ち着かせます。

×はもう深く考えてもしょうがないので時間があったら取り組むくらいに諦めます。時間がない場合は△を重点的に見直して正解率を上げる努力をします。

 

各問題の4択選択肢の頭全てに〇×をつけます(症例を記載した文章題であれば別ですが)。たとえ即座に正解が分かっても全ての選択肢を読んで正誤を確認します。
そうすると確実にこの選択肢が〇であるから、こちらの選択肢が×になる、と分かるのです。反対に×が3つあるから残りは〇に違いないとか。その選択肢の正誤が他の問題のヒントになることがあります。なので必ず選択肢に〇×をつけて、×の場合は何が間違っているのか下線を引き、できるなら正解もメモしておきます。それによって正解にたどり着いた経験が多々あります。

 

問題の章ごとにマークを見直します。マークシートでずれてマークすることが本当に起きうるので、解剖学が終わったらマークを確認、生理学が終わったらまた確認、という風にこまめにしていきます。一度ずれて進んでしまうとずれたことに気づいたときの精神的ダメージが深くなります。

 

細かいことは他にもありますが、各校、各個人で試験対策はしていると思います。受験生の成功を祈ります。

 

甲野 功

 

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