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~講義再現 国家試験4択問題対策~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 授業プリント
脅威養成科時代に作成した授業プリントより

 

私が出た東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科は鍼灸マッサージ専門学校の教員免許を取ることができる科です。

当然といいますか、授業内容の一つに「模擬授業」がありました。同級生を前に、与えられた教科・項目について授業資料を作成し決められた時間内でその内容の授業を行うのです。どの教科、どの科目が当たるかは指導教員がランダムに決めるため、ここが得意だからやりたい!ということは許されません。もちろん実技担当になる生徒もいます。
私が担当したのは教科「東洋医学概論」の<東洋医学の疾病観>でした。

 

その模擬授業の最後に国家試験対策を入れる予定だったのですが、時間が無くてすることができませんでした。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の国家試験を直前にして、そのことを思い出しました。
その時の資料を元に、あの時やりたかったことを文章で再現します。受験生の参考になればと思います。

 

 

 

さて、授業をしてきましたが、国家試験に受からなければ意味がありません。臨床で使えることを勉強することと国家試験に合格するための勉強はちょっと違います。国家試験はマークシートの4択問題ですから何かしたマークすれば答えはでます。合っているかどうかは別として。臨床の問題は絶対的な正解があるわけではありませんし、もちろんマークすれば答えになるというものでもありません。

 

それでも国家試験合格しないとスタート地点に立てませんから皆さんは合格しないといけないのです

 

4択という問題形式の性質上、他をから推理して解答を出すことができることもあります。

 

10名の人が円卓を囲んで座っています。円卓の席は10個で空いているところはありません。
全員が左隣りの人を指さして「この人は嘘つきです」と言っています。
本当の嘘つきは何名いるでしょうか?。

 

この問題を考えてみましょう。分かりますか?

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 模擬問題
模擬問題

 

 

 

正解は5名です。ポイントは「円卓であること」と「仮定義をすること」です。

 

まずある誰かを正直者と定義しましょう。
そうなると、その左隣りの人は嘘つきとなります。正直者が「嘘つきです」と言っているのですから言われた人は嘘つきです。
そうなるとその更に左隣りの人は正直者となります。嘘つきが「嘘つきです」と言っているのですから言われた人は正直者です。

このようにしていくと正直者嘘つき正直者と交互に設定され円卓なので一周します。矛盾なく終わります。よって嘘つきは5名という答えが出ます。
円卓ですのでどこから仮定義しても1周しますから同じです。反対に嘘つきと定義しても同じです。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 模擬問題の解説
模擬問題の解説

 

 

解答をだすための起点は仮にこうだったら、と定義したことです。


4択問題も回答選択肢の正誤を定義すると、問題が解けるととがあります。
以下の問題をやってください。問題6はひとまず無視してください。

 

問題1 五臓と五志との組合せで正しいのはどれか。
1.肝 ── 思
2.心 ── 憂
3.肺 ── 怒
4.腎 ── 恐
問題2 心を傷る七情はどれか。 
1.恐れ
2.怒り
3.憂い
4.喜び
問題3 五志と五臓との組合せで正しいのはどれか。 
1.喜―――肝
2.憂―――肺
3.怒―――心
4.恐―――脾
問題4 強い怒りにより傷られる臓はどれか。
1.肝
2.心
3.肺
4.腎
問題5 肝を傷る七情はどれか。
1.喜
2.憂
3.恐
4.怒
問題6 
1.怒
2.思
3.悲
4.風

 

まず問題1~問題5まで考えましょう。


どれも五臓と五志あるいは七情について聞いています。難しくないのでスラスラと解いていけるでしょう。そこを敢えて1問目から見ていきます。選択肢の横に正誤という意味で、問いに正しいものを〇、誤ったものに×を書いていきます。

 

問題1 五臓と五志との組合せで正しいのはどれか。
1.肝 ── 思 ×
2.心 ── 憂 ×
3.肺 ── 怒 ×
4.腎 ── 恐 〇

答えは4。

 

選択肢4が答えなのは分かると思いますが、反対に1~3の選択肢は×ということも判明します

次の問題です。

 

問題2 心を傷る七情はどれか。 
1.恐れ
2.怒り
3.憂い
4.喜び

 

問題1により、心と優の組み合わせが×、腎と恐の組み合わせが〇と分かっているわけです。そうなると

 

問題2 心を傷る七情はどれか。 
1.恐れ × 腎のはず
2.怒り 
3.憂い × 問題1では間違っていた
4.喜び

 

とならないと矛盾が生じますよね。そうなると選択肢2と4の実質二択になります。答えはもちろん選択肢4です。また〇×をつけるとこうなります。

 

問題2 心を傷る七情はどれか。 
1.恐れ × 
2.怒り ×
3.憂い × 
4.喜び 〇

答えは4。

 

これを踏まえて問題3です。

 

問題3 五志と五臓との組合せで正しいのはどれか。 
1.喜―――肝
2.憂―――肺
3.怒―――心
4.恐―――脾

 

問題1で腎と恐の組み合わせが〇、問題2で心と怒の組み合わせが×、心と喜が〇ということが判明しています。そうなると問題3はこうなります。

 

問題3 五志と五臓との組合せで正しいのはどれか。 
1.喜―――肝 × 問題2の答えと矛盾する
2.憂―――肺
3.怒―――心 × 問題2の答えが正しいなら誤っているはず
4.恐―――脾 × 問題1の答えと矛盾する

 

消去法で選択肢2が正しいとなります。問題3は結果として

 

問題3 五志と五臓との組合せで正しいのはどれか。 
1.喜―――肝 ×
2.憂―――肺 〇
3.怒―――心 ×
4.恐―――脾 ×

答えは2。

 

となります。続いて問題4です。

 

問題4 強い怒りにより傷られる臓はどれか。
1.肝
2.心
3.肺
4.腎

 

問題1より怒と肺の組み合わせが×、問題3より憂と肺の組み合わせが〇となります。問題2と問題3より心と怒の組み合わせが×、問題1より腎と恐の組み合わせが〇と分かります。そうすると問題4は

 

問題4 強い怒りにより傷られる臓はどれか。
1.肝 
2.心 × 問題2と問題3により心と怒の組み合わせは違う
3.肺 × 問題1で否定され、問題3で憂だったはず
4.腎 × 問題1より恐だったはず

 

よって消去法で問題4は

 

問題4 強い怒りにより傷られる臓はどれか。
1.肝 〇
2.心 × 
3.肺 × 
4.腎 × 

答えは1。

 

となります。そうなると問題5はもちろん

 

問題5 肝を傷る七情はどれか。
1.喜 × 心
2.憂 × 肺
3.恐 × 腎
4.怒 〇

 

となります。これはとても簡単な例ですが、応用できることはあるかもしれません。

 

記憶が曖昧だった時、全く問題が分からない時。確実に正解だと思う問題において除外されるその選択肢と、立ち向かう問題の選択肢と矛盾がないかを見ていきます。そうすることで予測が立ち、選択肢を絞ることができる場合があります。
4択から3択、2択と絞れれば正解する確率は25%→33%→50%と上がります。また答えが不確定の問題においては選択肢が〇と仮定して他の問題の選択肢と矛盾しないかをみることで正解する可能性が上がります。

 

問題数がたくさんあるので、結果的にヒントになってしまうこともあるでしょうし、意図的にヒントを与える場合も考えられます。問題4と問題5は言い方を変えただけで同じことを問う内容であることに気づいたでしょうか。敢えてこのような内容にしたのです。

 

試験問題を解くという行為は、出題者の意図を読み取り、出題者が正しいとする答えを導き出すことですこれは臨床で患者さんが何を言わんとしているのかを読み取る訓練にもなります。国家試験も出題者が何を意図しているのかを考えて解いていくとよいでしょう。

 

また国家試験は特にそうですが、万人が納得する解答が出せない問題は出しません。つまり指定された教科書に書いてあるところから出るということです。教科書に書いてある、というのは絶対的な基準となります。
教科書に書いていないことは出しづらいですし、反対に教科書に書いてあればどれだけ細かいことでも出てくる可能性があるということです。
その内容をどう解釈して問題にするかがポイントで、複雑にし過ぎると解答が定まらず不適切問題となります。難しすぎると思う問題は皆さん解けませんから別の問題に向かいましょう。他の問題をみることでヒントを得られることがあるかもしれないことは話した通りです。

 

最後に問題6を見てください。

 

問題6 
1.怒
2.思
3.悲
4.風

 

選択肢がありますが問題文がありませんね。この選択肢から答えはどれか予想できますか?また皆さんはどのような問題を作りますか?

どうでしょう。

 

選択肢4だけ外因(六淫)あるいは五気ですよね。風だけ仲間はずれで答えにしやすいことが分かるでしょう。しかし選択肢1の怒と選択肢4の風は肝で同じグループにすることができますね。
どのように問題を皆さんは作りますか?出題者側に立つと見えてくることがあるのではないでしょうか

 

 

 

このような内容を学生時代に用意したのですができませんでした。
受験生の足しになればと思い、ここで紹介しました。

 

甲野 功

 

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