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~セルフエステの存在~

ニュースサイトより
ニュースサイトより

 

 

以下、記事抜粋

エステサロンといえば、かつては富裕層向けのイメージが強かったが、顧客の裾野を広げようと近年は低価格化が進み、利用者が自分で機器を操作できる、いわゆる「セルフエステ」の人気が若い女性らの間で高まっている。

 

しかし、機器によっては、扱いに不慣れなこともあって、「ヤケドをした」などの相談が相次いでいる。国民生活センターは2020年2月13日、詳しい相談事例を示すなどして、契約の際に慎重に検討するなど注意するよう呼びかけた。

「危害」は6年間に23件施術中にピリッと痛み


国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどにセルフエステの相談が寄せられており、件数は年を追って増加している。国民生活センターと全国の消費生活センターなどをネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースに集められた相談件数は、2014年度以降に119件。年度別でみると、14年度と15年度は5件ずつ、16年度10件、17年度13件、18年度34件、19年度は52件だった(19年12月31日時点)。

また、2014年度以降の119件のうち23件は国民生活センターが「危害」と呼ぶ、ケガや疾病を生じたと訴えるもので、18年度までは年間数件だったが、19年度は13件と増加した。

 

「危害」の具体的ケースは、次のようなものだ。

 

【ケース1】クーポンサイトでHIFU(ハイフ)という機械を自分で顔にあてるエステを予約し店舗に出向いた。最初に動画を見て使い方の説明を受けた。1回ずつの都度払い約3000円で、説明通りに正しく使っていた。何度か通っていたが、先日使っていたところビリッと唇に痛みが走り感覚がヘンになった。
下唇、口角、内側の感覚がないため、神経内科を受診すると「神経損傷で唇の感覚が無くなっている。治るかどうかは不明。自然に治るかもしれないし、どのように回復するか分からない。全治何か月かは不明だが年単位かもしれない」と言われた。店舗からは「今回の1回分の代金約3000円は返金する。病院に行き、治療費を請求するように」と言われたが、今後も治療代を払ってくれるのか不安だ。(2019年11月受付、30歳代女性、治療1か月以上)

 

【ケース2】クーポンサイトを見て、自分でHIFU(ハイフ)機器を使って顔のリフトアップをする店を見つけて行った。店員から書面を渡されて説明を受けた。施術の際には店員が隣に座り、使用上の注意があった。その後15分ほど自分でHIFU(ハイフ)機器を顔にあてた。施術中にピリッと痛みがあり熱くなった。
帰宅後、耳などに不調が生じたため、翌日耳鼻科を受診すると、因果関係は不明だが顎の下の神経が麻痺しているかもしれないと診断され、薬を処方された。その後も耳鼻科に通院したが完治せず、現在も体の右側全体に違和感がある。(2019年8月受付、20歳代女性、治療1か月以上)

HIFUは「高密度焦点式超音波」とか「強力集束超音波」などの日本名がある機器で、超音波を集中させて強い力を発し顔のリフトアップや、体の特定の部位に当てることにより痩身効果が得られるという。国民生活センターによると、こられの機器のほか、ラジオ波機器による痩身で、自分で操作して肌に当てたところ負傷したというケースが多くみられる。

 

2つの相談例では、いずれもクーポンサイトを利用しているが、国民生活センターによると、こうしたサイトでは、価格の安さや施術の手軽さをうたった広告がみられる。

 

全国の消費生活センターへの相談をみると、ヤケドなどを生じたケースや、解約時に違約金を請求されたケースがみられる。負傷の際の対応や、解約条件についてよく確認することが必要だ。

 

相談事例では「セルフエステ」の後、肌に赤み、腫れがでたケースや、耳が聞こえづらくなったケースなど少なくないという。国民生活センターは「セルフエステの後、身体に異変を感じたらすみやかに受診し、医師に操作したエステ機器等や操作方法などの内容を伝え治療を受け」ことを呼びかける。



以上、抜粋終わり。

 

エステ機器を自ら使って施術することが認められていることに驚きました。神経損傷が起きることがあるような器具であるにもかかわらず。なおこの記事では健康トラブル以外にも、契約内容が認識と異なるという金銭トラブルについても警鐘を鳴らしています。


私が注目したのは
・健康被害の恐れがある器材を一般の人が用いること危険性
・それを認めていること(規制をかけていない)
・そのシステムを利用して利用者に不利益になるような運営をしていること
の3点です。セルフエステの存在は今後の鍼灸業界にも関係するような気がしているからです。

 

セルフエステを同じく美容関連の美容鍼に置き換えるとどうでしょうか。セルフ美容鍼。このようなことを行う者、企業、業者が現れないか気懸りです。

 

今や「鍼といったら美容」と想起する人がいるくらい、美容に鍼施術が行われると認知されているように思います。特に美容に興味のある人にとっては、美容鍼のことは当然のように認識していると思いますし、若手から中堅の鍼灸師で美容鍼の存在を知らない人はいないくらいでしょう(本人が扱うかどうかは別として)。


このような状況になり、自ら鍼を顔に刺して美容効果を得ようとする人はいると容易に予想できます。実際にやろうとしないのは、鍼を顔に刺すという行為に恐怖を感じるからでしょう。痛い、血が出る、感染症が心配、跡が残らないか、素人が刺しても大丈夫なのか、といった先入観。もしもこれらを払拭できたとしたら、美容に興味がある人はセルフ美容鍼を始めると思うのです

 

そう実際にありました。ある地域のカルチャースクールにおいてセルフで行う美容鍼を教えて、受講料を取るということがありました。世間一般の方に自分で顔に鍼を刺す方法を教える。つまりセルフ美容鍼を推奨するということです。
私はいつか誰かがやるだろうと考えていましたが、本当に実行に移す人間いるとは驚きました。ギリギリ法の目をかいくぐっていますが倫理的に信じられません。


鍼灸施術は本来行ってはいけません。法律によって規定されています。それを特別に行ってよいと免許にして鍼灸師という資格を厚生労働省が設けているのです(なお医師は鍼灸施術を行えます)。それは内出血や感染症など人体に危害がある可能性があるためです。やり方を誤れば健康被害が起きうるのです。だから禁止しているのです。それを一般の人に教えるというのはいかがなものでしょう。

 

なおこのセルフ美容鍼コースは他の鍼灸師の目に留まり、程なくしてページから削除されました

 

美容というフィルターを通すと危険なことも気にならなくなるのでしょうか。セルフエステの記事にあるように、神経症状が起きるほど危険性がある器機を使うことに不安にならないのでしょうか。
このような美への追求心がある方を対象に鍼灸師の技術を不特定多数に売ろうとしている。
法的な規制は、「セルフだからOK」。何か問題があっても「自ら行ったことだから自己責任です」と逃げることができる。
そのように感じます。

 

鍼灸、特に灸ではセルフケアと称して患者さん自らがお灸を使うことを推奨している流れがあります。東洋医学には養生という概念があり、能動的に健康になろうと試み、疾患や疾病への予防をしていきましょう、というものがあります。そのために自らお灸を据えて養生に励みましょうというものです。


だからといって体に刺す毫鍼(ごうしん)を人に勧めるのはあってはならないと考えます。危険性や法律上の問題(鍼灸師、医師以外が鍼灸施術を行ってはならないという法律が存在する)だけではありません。

 

使用後の鍼の取り扱いも問題になります。使用後の鍼は医療廃棄物です。所定の方法で処分しなければなりません。ゴミ箱にぽいと捨ててはならないのです。
そして、そもそも鍼灸師や医師以外が購入することもできません。某メーカーの鍼はネットショッピングで売られているようですが、鍼メーカーは一般の方の手に鍼が渡ることには難色を示しています。製造側の責任がありますから、不法廃棄されるのも無資格者に使用されるのも本意ではありません。


ある鍼灸用品を製造販売する企業の営業担当者さんに一般の人が勝手に鍼を買って使っているケースがあると話したところ、絶対に許さないし全力で入手ルートを調べ上げるとおしゃっていました。後々死活問題になることを理解しているからです。

 

さてセルフエステなるものがあるならば、このようなお店ができることが想定されます。

店舗に来たお客さんに簡単な講習をして美容鍼のやり方を指導します。
一応、注意事項と免責事項を確認し、何か不具合があれば全て本人の責任であると契約します。
専用の部屋に入って鍼を使いたい放題でセルフ美容鍼を行います。
もちろん時間制、定額制など料金体系を整えておきます。

このような店舗を出せば色々な法律の目をくぐることができるでしょう。


まず「業として鍼灸を行うのではない」として保健所に鍼灸院の届け出をしません。業とは、不特定多数の人間に反復継続の意思を持って行うこと、と解釈されます。個人が自ら勝手に行うのだから鍼灸院ではございません、レンタルサロンですと言い張ってしまいます。鍼灸院でないのだから医療広告規制にも抵触しないと広告を出したい放題。現場の保健所のチェックもありません。

 

使った鍼は専用の廃棄ボックスに入れさせて、使った本数と廃棄した本数が一致しないと扉が開かない(帰れない)システムを作っておきます。そうすれば医療廃棄物の問題もクリア。また鍼灸師の名前を使って一括で鍼を購入しておけば入手ルートも確保できます。

 

ネット決済、モニターに施術方法をレクチャーする動画を流す、遠隔で扉の開閉を行うなど無人化すれば人件費は相当安く抑えられます。定期的に清掃や備品を入れるなどの手入れくらいで済むので鍼灸師を置かなくとも構いません。

 

一店舗を軌道に乗せたらそのノウハウを使って多店舗経営していきます。美容鍼があまりない地方都市を中心に拡大していきます。

 

これは机上の空論で実際に行おうとしても、許可が下りない、妨害を受ける、問題が起きる、など実現できないとは思います。しかしやりかねないとも言えるのです。セルフエステというものがある以上。

 

セルフエステで問題が起きているように、素人が勝手に鍼を行えば一定の割合で問題が起きると思います。私はプロの鍼灸師ですから(アマチュア鍼灸師などいないと信じていますが)、業務に対して責任を持って行います。例え鍼灸を身近にする、喜ばれるからといった表向きのメリットがあったとしても、一般の人が鍼灸を行うことは賛成できません。特に体に刺す鍼については。

 

セルフエステの存在を知って、懸念していることを書きました。
美容鍼の普及は良いことですが、利用者の危害が及ぶ可能性がある方向に行くこと、また美容鍼を使って安直に儲けようとすること(鍼灸師だけでなく非鍼灸師も含めて)がないように願っています。

 

甲野 功

 

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