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~スタンダード・プリコーション~

東海テレビニュースより
東海テレビニュースより

 

スタンダード・プリコーション(Standard precaution)という言葉をご存知でしょうか。

私が鍼灸マッサージ専門学校に入学して1年生の春に公衆衛生学で習いました。なお当時はユニバーサル・プリコーションという言葉で習いましたが。

 

スタンダード・プリコーションとは1996年にアメリカ疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC、今話題になっている機関ですね)が発行した隔離予防策ガイドラインにより提唱された「感染症の有無にかかわらずすべての患者に適用する疾患非特異的な予防策」のことをいいます。ユニバーサル・プリコーションが1985年に主にHIVウィルスから医療従事者を守る予防策で、全ての患者に適用できるように改良したものがスタンダード・プリコーションとなります。

 

私が専門学校で習ったことは医療従事者が感染経路になってはいけないということ。<医療従事者が感染症に感染しない予防策をしっかりとするのはもちろんのこと、医療従事者が媒介となって別の患者に感染させることがあってはならないことを肝に銘じるように>。そう習いました。この概念はどの医療従事者でも同じでしょう。

 

さて、最近このようなニュースがありました。東海地方のニュースです。

感染判明済の男性に“整体師”…女性客が施術時感染か 愛知で2人新型コロナ確認 県内69人に

 

東海テレビニュースより
東海テレビニュースより

 

 


県在住の50代の男性と60代の女性が新型コロナウイルスに感染していたことがわかりました。男性は感染者との接触が今のところ確認されず、感染経路が不明です。愛知県内の感染者数はこれで69人になりました。

 

感染が確認されたのは尾張地方に住む50代の男性と蒲郡市に住む60代の女性です。50代男性は容体は安定していますが、これまでのところ感染者との接触が確認されず、感染ルートが分かっていません。

 

また、蒲郡市に住む60代の女性は、3月3日に陽性判定された80代の男性から感染したとみられています。

 

男性は整体師でこの女性は2月24日に施術を受けていました。

 

愛知県は、2月17日から27日の間に蒲郡市周辺で出張で整体を受け、心配がある人は豊川保健所に相談するよう呼び掛けています。

 

愛知県内の感染者はこれで69人となりました。

 

このニュースは当初、80代の「マッサージ師」から感染したものという報道でした。
その後、愛知県保健医療局健康医務部健康対策課感染症グループより訂正文書が発表されました。

患者A(県内63例目)の接触者情報に関する訂正

 

 

 

 

ここでは赤字で

「マッサージ師」と標記しておりましたが、3月8日(日)に改めて確認した結果、あん摩マッサージ指圧師の資格を持っておらず、整体を行う者であることが確認されましたので、訂正します。

とあります。本文のマッサージ師の表記が「整体を営む者」に訂正されています。

また
2月17日(月)~2月27日(木)の間に、出張マッサージ(個人形態)を受けた方は愛知県豊川保健所(帰国者・接触者相談センター 電話:0533-86-3177)に相談してください。

という文章のマッサージが「整体」に赤字で訂正されています。

 

 

この報道が出たとき、私たちあん摩マッサージ指圧師は「これは印象が悪くなるな」と思いました。訪問マッサージ師が感染源になってしまったと。
それが数日してマッサージ師ではなく整体と訂正されていたのです。どういうことかというと、80代の感染者はあん摩マッサージ指圧師免許を取得していない<いわゆる整体師>であることが判明し、記事や発表を訂正するに至ったと。


80代で免許を持たず仕事をしていたというのも驚きでしたが、あん摩マッサージ指圧師免許を持っていない人間と判明して少し安心しました。新型コロナウィルスに感染された方々には申し訳ない感情であり、一日も早い回復を願っております。

 

そしてなぜわざわざ事実確認をして訂正をしたのか。そこがやや引っかかりました。


他のあん摩マッサージ指圧師がくだんの人は本当にマッサージ師だったのか?とクレームあるいは事実確認を申し出た可能性があります。しかしこれまでの世間の報道ではあん摩マッサージ指圧師免許を持っているか否かなどどうでもよく、平気で整体師をマッサージ師と記載していることが大部分でした。わざわざ早急に確認して訂正文書を出したことが意外だったのです。

 

そしてこのように私は推察しました。

 

あん摩マッサージ指圧師は国家資格です。どこの管轄かと言えば厚生労働省。今新型コロナウィルス対策で奔走する厚生労働省認可の資格免許があん摩マッサージ指圧師です。もちろん医師をはじめ、鍼灸師も柔道整復師も理学療法士も看護師も医療系国家資格はすべて厚生労働省の管轄です。厚生労働省の指導で必ず公衆衛生学は学ぶことになっており、消毒の義務があります。
国家試験にも公衆衛生学は必ず出題されます。消毒用エタノールが濃度100%より70~80%ほどに希釈したほうが消毒効果が高まるということは専門学校で学んだことでした。これは試験に出るぞ、と言われて。

 

最初に出したスタンダード・プリコーションの考えから感染予防の義務があり、感染症にかかってもならないし自らが感染源になってもいけない、という姿勢が当たり前のようにあります。
厚生労働省としてもあん摩マッサージ指圧師が感染源になるのと国家資格を持たない整体師がそうなるのでは印象が大きく変わります。実際には所轄の保健所が指導することになりますが、巡り巡って厚生労働省の管理不足といわれかねません。
事実を正確に報道するというは当然のことなのですが、この点にこだわったことは保健所が重要視したのではないかと思いました。

 

もう一つ気になったニュースがありました。

「新型コロナウイルス」の影響でマッサージ店が閉店、予約落ち込みが響く

 

東京商工リサーチより
東京商工リサーチより

 

 


3/11(水) 15:34配信東京商工リサーチ
都内などで女性向けマッサージ店を数店舗経営する企業が、「新型コロナウイルス」による影響から3月10日、1店舗を閉店した。担当者は、「経営難で店舗を閉店する。すべてとは言わないが、90%は新型コロナウイルスの影響だ」と、東京商工リサーチの取材に無念さをにじませながら応じた。
同社は、中国式整体や足つぼマッサージ、美容エステなどの施術を行うマッサージ店。テレビ番組や雑誌などメディアへの露出も多く、女性を中心に顧客を増やしていた。だが、2020年2月に入り、急激に予約キャンセルが増え、客数が減少したという。担当者は、「(顧客は)はっきりと言わないが、濃厚接触を気にしているようだ」と、仕方ないとも受け取れる言葉を漏らした。そして、「こういう業界はみんなそうだが、今は厳しい。店舗数を減らしてコンパクトな経営を選んだ」と閉店の理由を語った。
新型コロナウイルスの感染拡大で、これまでのインバウンドを取り込めなくなった旅館や食品製造業者が倒産に追い込まれた。だが、インバウンドの恩恵を受けてきた店や観光業に限らず、インバウンドと縁遠かった店にも新型コロナの余波が押し寄せている。その影響は、規模、業種、地域など関係ない勢いで広がっている。

 

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年3月12日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

 

こちらの報道ではマッサージ店と書いていますが、中国式整体、足つぼマッサージ、美容エステとどれもあん摩マッサージ指圧師ではない業態。「いわゆるマッサージ店」ということです。あん摩マッサージ指圧師免許の有無など気にしていないで(そもそもそのような資格制度を知らないであろう)書かれています。

 

整体業全体が経営不振であるというのは昨年の発表でも明らかになっていました。そこに追い打ちかけるように新型コロナウィルスの影響があったのでしょうか。

 

確かなことは鍼灸院、(あん摩マッサージ指圧師免許を持っている者が施術をする)マッサージ院では開業するにあたり保健所の立入検査が必ずあります。
(※国家資格保有者が整体師を名乗って保健所に書類を提出しないで店舗開業する場合があり、その場合はもちろん立入検査はありません)
その際に消毒設備についてチェックを受けます。私があじさい鍼灸マッサージ治療院を開業するときにも手洗い場のことは厳しく言われました。ペーパータオルでなければならない、壁にかけて水滴がタオルに落ちないようにしなさい、と。そして法律で消毒の義務があり、手指消毒の薬剤が用意されていることはしっかりとみられています。


技術があれば資格の差などない、という人もいますが、公衆衛生における最低限のことを実践するのが国家資格です。その資格を管轄するのは厚生労働省(と保健所)。

世界的に大流行(パンデミック)となった新型コロナウィルスが広まる中、スタンダード・プリコーションというものをきちんと見直していきたいと思います。

 

甲野 功

 

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