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~大手整骨院グループ倒産~

帝国データバンクより
帝国データバンクより

 

4月10日に大手整骨院グループであるMJGグループが倒産しました

 

<帝国データバンク 倒産・動向速報記事>
2020/04/10(金)株式会社MJGなど2社
首都圏を中心に接骨院チェーンを展開 新型コロナウイルス関連倒産 破産手続き開始決定受ける TDB企業コード:551006118 負債47億1731万円

 

帝国データバンクより
帝国データバンク 4月10日倒産・動向速報記事より

 


「東京」 (株)MJG(資本金5000万円、新宿区西新宿2-1-1、代表木﨑優太氏、従業員約450名)と関係会社の(株)フロンティア(TDB企業コード:617021085、資本金100万円、立川市錦町3-1-2、同代表)は、4月10日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 

申請代理人は髙橋修平弁護士(中央区銀座2-2-2、髙橋修平法律事務所、電話03-6903-3210)ほか6名。破産管財人は三村藤明弁護士(千代田区大手町1-1-1、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、電話03-6864-3011)が選任されている。なお、今般の新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、電話による対応が困難となっている。

 

(株)MJGは2011年(平成23年)6月に創業、2012年(平成24年)3月に法人改組。「MJG接骨院」「MJG整体院」を運営していた。40~60代の女性を中心に、骨盤・深層筋・神経のゆがみを矯正するプログラム「PIMバランス」メニューを主力として、各種柔道整復術の施術も手がけていたほか、交通事故・スポーツ事故など急性症状の治療も行っていた。出店地域は首都圏を中心に、北関東や中部地方などフランチャイズ店を含めて約180店舗を運営し、2019年11月期には年収入高約50億3300万円を計上していた。

 

しかし、積極的な新規出店に伴う管理体制が追いつかず、不採算店舗が増加。また、借入金の返済負担が重く、資金繰りが悪化していた。こうしたなか、根拠なく体脂肪を減らせるとの宣伝をしたとして、2019年11月18日に埼玉県から景品表示法違反(優良誤認)で再発防止を求める措置命令を受けたことに加え、今年2月には社員より労使トラブルや保険診療の不正請求などを告発され、信用が低下。さらには、新型コロナウイルスの影響により来院顧客が減少し、急速に売り上げが落ち込んでいた。取引先への支払いや従業員への給与支払いに遅れを生じ、金融機関に対する返済猶予の要請やスポンサー交渉により経営の立て直しを図っていたが奏功せず、事業継続が困難となり、今回の措置となった。

 

負債は(株)MJGが債権者約2355名に対し約43億8031万円、(株)フロンティアが債権者約23名に対し約3億3700万円で、2社合計で約47億1731万円。

 

なお、「MJG接骨院」「MJG整体院」の一部の店舗は、別会社に事業譲渡がなされる予定。

 

このMJGグループはかなりの大手です。

MJGグループホームページ会社概要

残っているホームページによれば店舗数177院、従業員1000名となっています。これだけの規模で倒産したわけですから大きな影響があります。表向きは新型コロナウィルス流行による低迷とありますが、記事にあるように昨年の時点で景品表示法違反で措置命令を受けており運営方法に問題があったことは否めません。SNSに出てくる声をみると突然の受付解雇、100名を超える新卒従業員の内定取り消しがあるなど問題が多数噴出しているようです。昨年末の時点で業界内では話題になっており、新型コロナウィルス流行はとどめを刺したような形です。

どのようなことが起きていたのかは同じ柔道整復師であり、別の整骨院グループに在籍していたので予想はつきますが、特に触れることではありません。少なくともこれまでやってきていたやり方が通用しなくなったという事実が残るだけです

 

この倒産が業界内に及ぼす影響は相当大きなものになると考えています

 

まず就職先、働き口が無くなるということ。一部は別会社が運営を引き取るようですが、少なくとも同じやり方は通用しません。ましてこの緊急事態宣言下の状況では。決して少なくない柔道整復師、鍼灸師などの職が無くなった、あるいは無くなっていくと予想できます。そして受付として働いていたスタッフも当然行き場所がなくなります。これだけの大手整骨院グループの倒産となれば柔道整復師専門学校にも大きな痛手になるのではないでしょうか。資格を取得しても就職先がなければ意味がありません。同じようなやり方をしていた整骨院グループも万全とは言えないはず。ただでさせ柔道整復師養成学校は閉校、縮小しております。この新型コロナウィルス流行もあり、一層閉校が進む可能性があります。

同じように新卒鍼灸師にも大きな影響が出るでしょう。個人の力量がより大きく左右する鍼灸の世界では大手鍼灸院グループというのは少ないのです。鍼灸整骨院として整骨院と併設することで就職先が確保していたという実情があります。実際に鍼灸院の就職先がほとんどなく、整骨院でしか就職先が無いという例はあります。そして就職しても大して鍼灸をすることができず転職あるいは鍼灸師廃業となる新卒者は少なくないようです。かく言う私も新卒で鍼灸整骨院に就職し修業をした身です。

グループ整骨院が衰退すればそれだけ柔道整復師同様、もしくはそれ以上に鍼灸師は行き場所がなくなることが考えられます。その結果、卒業後すぐに開業という選択肢しかなく新卒鍼灸師が卒業した春に開業というケースも見受けられます。ただでさえこの状況ですから鍼灸院を開けていない、内定を取り消した、といった声が挙がっています。このまま行くと鍼灸専門学校を卒業して特に現場経験を積めないまま開業する以外手段がないという状況になりかねません。どれだけ学校やそれに準ずる施設で実習しても赤の他人に対する、かつ対価を頂く施術は経験しないと身に付きません。自分で臨床現場を探すことになっていくことでしょう。それすらこの状況ではままなりません。学校での実技授業が再開できるかもあやふやですし。

 

今回のMJGグループ倒産は象徴的な出来事だと思います。柔道整復師業界は大きな転換点を迎えるでしょうし、鍼灸師もこれまでのようにはいかないでしょう。

 

甲野 功

 

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