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~学生ペア割 一般の方と学生の組み合わせ~

8月8日学生ペア割の感想
8月8日学生ペア割の感想

 

8月8日の土曜日に「学生ペア割」で鍼灸専門学校の学生さんがいらっしゃいました。

 

学生ペア割とは、今年から当院で行っている、鍼灸マッサージ専門学校学生あるいはそこに進学予定の人を対象にしたキャンペーンです。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 学生ペア割の告知
学生ペア割の告知

 

 

 

専門学校における教員や、セミナーにおける講師の実技ではなく開業鍼灸マッサージ師が実際に行っている臨床現場を見学・体験する場を提供するものとして始めました

 

学校附属の施術所でも見学はできますが、より実践に近いものを見たいという学生さんがいます。
大事な患者さんのことを学生さんといえど第三者に見学させることは断るという現場があります(私も同じ考え)。
見学するならば患者役を連れてくれば良いよという院もあります。
見学だけでなく体験もしてみたいという学生さんの要望もあります。
無料で学生さんに付き合うという鍼灸師もいれば、プロの技術なのだから無料で提供するのはいけないという意見もあります。

 

諸々の意見をまとめて、学生さんがペアで来てもらい体験と見学を交互に行い質疑応答を受ける。割安の学生料金でそれを提供する。
色々と検討を重ねてこのシステムにしました。


開始してから何組かの学生さんの応募がありました。

 

8月8日は「鍼灸学生さんとその友人」という初の状況でした。

SNSで当院の取り組みを知った学生さんが問い合わせをしてきて、相手が学生ではなくても受け付けますか、という内容でした。私は構いませんよと返答。学生さんは患者役として友人を連れてきて、私が鍼灸をするところを見学するということになります。事前に学生さんからその友人の症状や主訴を知らせてもらいました。

 

当日お二人に会い、話を聞いて正確な状況が把握できました。
・鍼灸学生さんは柔道整復師免許を既にお持ちで現在鍼灸専門学校2年生。
・ご友人に練習・復習がてら鍼灸をしてあげている。
・ご友人は普段から体調の不調がある。
・学生さんはご友人に鍼灸を受けさせたい。
要約するとこれらのようです。

ここで私の課題が浮き彫りになります。

 

学生と言えど柔道整復師として臨床経験がある学生さんが普段鍼灸をしている相手に私が鍼灸をする
→他の人が受け持つ患者さんを診るような状況。

 

被験者となるご友人よりも学生さんの方が連れてきたいようであった
→受け手のモチベーションが普段と異なる。知り合いの学生さんが薦めたから、という理由が最初に来るようだ。

 

③学生さんとご友人の2方向に意識を向ける必要がある
→学生ペア割と謳っている以上、学生さんが勉強になるようにレクチャーも入れる。それとは別にご友人の症状にも効果が出るように意識しないといけない。

 

各々をもう少し細かく説明します。

 

①分野は異なりますが医療系国家資格を持ち、臨床で患者さんに対応する経験がある鍼灸学生さん。2年生ですからそれなりに鍼灸の知識と技術がありご友人に鍼灸をしています。私も柔道整復師ですから柔道整復師の西洋医学・現代医療の知識は鍼灸師よりも上であることを知っています。当てずっぽうでやっているわけではありません。この状況で私が初めて会うご友人に、問診し脈診し判断して施術をする。ちょっと大変です。


見学する学生さんは自分のやり方があり、比較することになります。きちんと私の考えや手法を説明しないといけません。学生さんと話をしていて実践的な鍼灸の勉強をしていることは分かりますから、適当に誤魔化すことはできません(当たり前の話)。独立する前に普段他のスタッフが担当している患者さんを臨時で受け持つときのプレッシャーに似ている感覚。


学生さんにこれまでどのような鍼灸をしたのか話を聞いた上で、自分の考えをまとめました。

 

②当院に来られる患者さんは基本的にあじさい鍼灸マッサージ治療院と甲野功を信用しています。それが、患者さんとなるご友人は私よりも学生さんへの信頼が上という感触がありました。接している雰囲気で少々私のことを警戒している、心を完全に開いていないな、という感じです。これはこれまでの経験や勘のようなもので、問診の受け答えや隣にいる学生さんとのやり取りからメンタル的な壁があるなと思いました。距離を縮める工夫をしないと効果が出ないなと心の中で身構えました。


こちらのことを信頼していたとしても緊張があると鍼が刺さらないですし、刺したとしてもより体が緊張して固くなってしまうことがあります。鍼灸の難しいところは正確な技術を持ってしても信頼がないと逆効果になることがあることだと考えています。

 

③学生さんと一般の方という組み合わせ。双方学生さんですと授業のノリで被験者も少し我慢してね、という圧力を出せなくもありません(パワハラとも言いますが)。ご友人には患者さんとして臨床家として本気で接することが求められ、見学している学生さんにも講師として説明や解説をしていく。2つの意識を向けることになります。


また学生さんへの説明では私、すなわち術者の考えていることをさらけ出すことにもなるので、患者としてどう感じるかが懸念材料になります。専門用語を羅列したとして、被験者も学生ならば「分からないことはきちんと勉強してね」と突き放すようなことができますが(本当はダメです)、一般の方では置いてきぼりにされると思われるかもしれません。そうすると仲間はずれのような心境になり、効果が出にくいと予感していました。

 

 

これらの課題が頭の中を巡り、これまでの実施した学生ペア割の中でも複雑なお題を頂いた形でした。事前にシミュレーションしていた方針と実際にどれくらい隔たりがあるかを探りながら実際に鍼灸施術に入りました。

 

まずベッドで仰向けに寝てもらい脈診と腹診という手首の脈とお腹を触った感じでご友人の状態を判断します。
詳しいことは書きませんが、私の印象は緊張しているなというもの。学生さんにも脈診をしてもらったところ、普段の脈とは違う、という意見でした。
事前に考えていたプランではここから全身を調える鍼や灸をしていくところなのですが、無理に進めると逆効果のような気がしていました。そこで切経(経絡の状態を触って確認すること)ということで手足を触ったり押したりしながら雑談を踏まえて和むように心がけました。

 

ご友人は質問したことには最低限答えてくれるが率先して話そうとしません。印象として学生さんとも会話のキャッチボールが少ないように感じました。
お腹に手をのせています。これはお腹を防御する現れで警戒していると思われます。私はお腹が弱く触られることが大の苦手。そういう所に目が行きます。
胸郭があまり動いていません。胸式呼吸が浅い証拠でリラックスしていないと察知しました。リラックスすると呼吸が深くなり胸郭がゆっくりとしたリズムで大きく上下するものです。
眩しそうなので聞くと光線に過敏で、他の刺激にも敏感な体質だと言います。

 

色々と私に馴染んでいないように思い、毫鍼という体に刺す鍼の使用をやめて鍉鍼という刺さずに当てる擦る鍼を使うことにしました。鍉鍼の方が刺激が少なくなります。ちょうど数日前に岡野先生に鍉鍼のテクニックを習っていたのでそれを活用しました。お灸は台座灸というものを用いました。

 

全体的に落ち着かせる鍼灸をした後に再び脈診をしてみると、当初よりは脈が良くなっています(平脈に近づくと表現します)が、大いに効果が出たとは言えませんでした。手ごたえを感じられず、内心困りました

 

続いてうつ伏せになって局所(辛いと訴えている場所)の施術をします。

 

人間の身体は概ね背面の方が刺激に強くできています。うつ伏せになってから会話が弾むようになり、呼吸が深くなり、緊張がほぐれている様子が見て取れるようになりました。これならばと局所には毫鍼を用いて調節しながらも深めに刺してみました。遠隔治療といって局所と離れた部分にお灸や刺激を与えることもしてみました。
身体の感触から仰向けのときよりも効果が出ているような予感がありました。

 

うつ伏せの鍼灸が終わって、局所の固さが軽減されていたので少し安心しました。その後に少し施術を加えて鍼灸は終了としました。

 

待合室で学生さんと質疑応答の時間を取ります。その際に自ら積極的に話そうとしなかったご友人が鍼を受けた感想を率先して話してくれました。そのおかげで学生さんの鍼の刺し方と私の鍼の刺し方の違いについてディスカッションするきっかけに。ご友人の表情も最初の頃よりも明るく打ち解けくれている様子。私は内心ほっとしました


後で学生さんがご友人の状況を『今日治療を受けた者は、IT関係の仕事をしているのだが、今日は治療を受けてから集中できてeタイピングの調子がすこぶる良いそうです。』と報告してくださいました。

 

 

学生さんの報告
学生さんからの報告

 

 

 

学生ペア割。今回も多くの思考を巡らせることになりました。私の方は、どのようなお題を頂いてその場で最適解を出すか、という気持ちです。鍼灸専門学校の学生さんでかつ柔道整復師であり知識も経験もある学生さんに向けたものと、一般の患者さんとして対応するご友人に向けたもの。正解かどうかは判断がつきませんがやり切った実感はあります。数日置いてその時の状況を振り返ってみて、改善点・反省点を踏まえて次に活かします。
今回も大いに学ぶ機会を得ることになりました。

 

甲野 功

 

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