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今日は節分です。しかも2月3日ではなく2月2日の。
調べてみると2月3日が節分でないのは1984年以来、37年ぶりです。1984年は昭和59年で私が小学生に入学する前のこと。この年は2月4日が節分だったそう。
そして2月2日が節分になるのは1897年以来、124年ぶり。1897年は明治30年ですから年号が4つも前になります。
ここ最近(数十年)はずっと2月3日が節分でした。私も含めて多くの人が、2月3日が節分だと認識していたのではないでしょうか。なぜ今年は節分が1日ずれたのか。その説明と、節分に関係する話を書いていきます。
ネット上にあるフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば節分は、
『
雑節の一つで、各季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のこと。節分とは「季節を分ける」ことも意味している。江戸時代以降は特に立春(毎年2月4日ごろ)の前日を指す場合が多い。
』
とあります。
まず「雑節」とは何?という疑問になりますが、雑節とは日本人の生活、文化、季節の移り変わりを基に生まれた日本独自の“特別な日”のことになります。
ますます分からないかもしれませんが、節分の元になる「二十四節気」が中国から伝わったもの。二十四節気は後で説明しますが立春を定めたものがこれ。立春の前日をいわゆる節分としているのです。
この二十四節気は中国で生まれて日本に入りましたが日本の気候に合わない部分(梅雨や台風)があるため、それとは別に日本独自に、ポイントになる日を決めたのが雑節です。具体的には節分のほかに「彼岸」、「入梅」、「土用」などが雑節にあたり、馴染みがあるのではないでしょうか。
本来「節分」は“立春、立夏、立秋、立冬の前日のこと”を言うのですが現在は“立春の前日のみ”を(いわゆる)節分と呼んでいます。国立天文台暦計算室によれば、立春が太陰太陽暦(旧暦)の正月に近く、年の変わり目の意味合いが強いからだそう。太陰太陽暦すなわち旧暦というものが明治のはじめまで日本では採用されていました。明治5年(1872年)に太陽の動きを基にしたグレゴリオ暦(新暦)を採用しました。文明開化で西洋と足並みを揃えるためでしょう。今でも旧盆という言葉があるように旧暦の名残は残っていますね。
そして「二十四節気」なのですが、これは1年を24等分し、その分割点を含む日に季節を表す名称を付したものです。1年を12の「節気」(正節とも)と12の「中気」に分類し、それらに季節を表す名前がつけられています。「節気」には立春・立夏・立秋・立冬があり、「中気」には夏至・冬至があります。
話がややこしいのですが、「二十四節気」の中の「立春」、その”立春の前日”を「節分」と呼ぶということです。
二十四節気の立春はどのように決めるかというと天体観測によります。太陽の動きで毎年の立春を決めています。他の建国記念日とか成人の日のように日付で決めているのではなく自然現象で決定しているのですね。
それでも日付が変化するのは何故か?という疑問になります。毎年同じ条件で観測すればずれることはないはずです。
ところが天文学ではそういかない事情があります。1年は365日ではありません。正確には約365.2422日。つまり365日と4分の1日(約6時間)で地球は太陽の周りを1周します。そのため4年間で1日ずれが生じるため、オリンピックが行われる年(昨年はできませんでしたが)がうるう年として2月29日が存在します。しかしこれも正確に365.25日とは言えないので僅かな誤差が生じてきます。天文学ではこの変化も見逃さず正確に観測をします。
今年2021年の立春の時刻は2月3日23時59分になるそうです。ぎりぎり2月3日が立春になるということ。そうなると節分の定義である“立春の前日”は2月2日となり、今年の節分が2月2日になるということです。なお来年2022年の立春は2月4日に戻るので節分も2月3日に戻るそうです。細かいですね。
さてここまで長々と節分の説明をしてきましたが、節分は私といくらか関係があります。
書いてきた通り節分はこの日ですと固定しているのではなく天体観測を基準に制定されています。日本では古来から天体観測を行ってきたのが陰陽師です。陰陽師というと安倍晴明に代表される超能力者というイメージがあるかもしれませんが、陰陽五行思想を基にした占いをしてきた国の役職です。天体観測は陰陽師に必須の技術であり、律令制においては陰陽師以外が天体観測をすることを禁じられていました。暦というのは重要機密であったのです。
時代がうつり、近代になると陰陽師の制度は廃止されます。古くは国の機関で働くいわば国家公務員だった陰陽師。現代の日本で国家資格として陰陽五行思想を学ぶのは鍼灸師となります。やることは違いますが同じルーツを持っていると言えるのではないでしょうか。鍼灸師は大宝律令にも記載されるこちらも古くからある役職でありますし。
個人的なことをもう一ついうと、占いの世界では節分は重要な意味を持つそうです。
本当の意味で新年を迎えるのが節分だという意見が多いのです。元日で新しい1年が始まるのですが、日本では本来の新年は立春であるという考え方。節分までにきちんと準備すればその1年を豊かに過ごすことができると占いで言われることがままあります。詳しくは分かりませんが占星術系の占い師に多いのかも。
私は結構この説が好きで節分をもう一つの年明けと捉えています。ですから今日あたりから本当の令和3年が始まっていく感覚があります。明日以降改めてしっかりとした気持ちで初詣に行こうと考えています。またもう一度新年を迎えるという心構えで2月から働き方を変えていきます。新しいことを始めたり、これまでの業務を見直したりして先行き不透明な今に対応していく取り組みをしようと考えています。
甲野 功
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