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~パラリンピックとリハビリテーション~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 障害の3つのレベル
障害の3つのレベル

 

 

パラリンピック東京大会が開催中です。

純粋な国際スポーツ大会として見るのも楽しいのですが(日本人選手がメダルを獲得したというニュースは嬉しいし接戦のゲーム展開は面白い)、障害とリハビリテーションに注目するとまた違ったものが見えてきます

 

私はあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師の資格を持っています。それらの資格取るための勉強にはリハビリテーション学が必須です。リハビリテーション学を学ぶとパラリンピックのことがより深く理解できるのです。

 

そもそもパラリンピックの起源は、第2次世界大戦で主に脊髄を損傷した兵士たちのリハビリテーションの一環として行われたアーチェリーの大会。パラリンピックとはリハビリテーションありきと言えるでしょう。

リハビリテーションの語源はrehabilitation、つまりラテン語で再びというreという接頭語にhabilis(適した)がついたもの。身体機能の回復だけでなく復興や復権、名誉回復という意味合いもあるのです。ですからパラリンピックをスポーツ競技を通して身体能力を競うだけでなく、社会的な内容も踏まえて観ていくとその意義がより感じられるのです。

 

まず障害の分類について紹介しましょう。1980年にWHO(世界保健機関)が発表した国際障害分類(ICIDH-1)では障害のレベルは3段階になっています。

※ICIDH :International Classification of Impairments Disabilities and Handicaps

 

1.機能・形態障害(impairment)

2.能力低下(障害)(disability)

3.社会的不利(handicap)

 

機能・形態障害は障害の1次レベルで体の構造や外観、機能の異常で病気や外傷で直接生じるもの。一過性のものもあれば一生続くものもあります。

能力低下は障害の2次レベルで1の機能・形態障害が生じた結果、個人レベルの活動に変調を起こしているもの

社会的不利は障害の3次レベルで上記2つの結果によって個人が経験する社会的に不利が生じること。年齢、性別、社会的地位などで差がでます。

 

具体例で示すと

交通事故によって右膝から下を失った(機能・形態障害)

→普通の歩行ができなくなり車椅子での生活になる(能力低下)

→それによって小学校の普通学級に通えなくなった(社会的不利)

というような感じです。

 

1の機能・形態障害があって2の能力低下が起き、3の社会的不利に至るという流れもありますが、1から3にダイレクトに進むこともあります。

例えば

タクシー運転手が事故で失明した(機能・形態障害)

→運転手の仕事が続けらなくなった(社会的不利)

といったように。もちろん失明→自動車運転ができない(能力低下)という段階がありますが機能・形態障害から即座に社会的不利に繋がることになるでしょう。

 

この3つの障害はそれぞれ顕在化、客観化、社会化と説明できます。発端となる疾病や外傷を内的状況とすると、

疾病や外傷(内的状況)

機能・形態障害(顕在化)

能力低下(客観化)

社会的不利(社会化)

となります。段階というかステージが変わります。

 

機能・形態障害が同じであっても(例えば右足の膝から下を失ったとして)、身体能力が高く松葉杖で歩行できる、義足を使えば二足歩行ができるという人もいれば、高齢者で車椅子でないと移動できない、あるいは自力で車椅子を動かすことができないため電動車椅子でなければ移動できないという人もいるかもしれません。松葉杖があれば一人で旅行できる人もいれば他人の介助がなければ近所の病院に行くこともできないという人もいるでしょう。能力低下、社会的不利の段階で大きく個人差が出るのです

 

障害の各段階でそれぞれのリハビリテーションが必要だとされています

 

機能・形態障害に対するリハビリテーションは直接疾患に対するものが多いので治療的アプローチとして行われます。

能力低下に対するリハビリテーションは治療によって回復できた機能や残った機能を最大限活用して能力向上をはかり、あるいは装具や自助具を利用して能力サポートをします。代償的・適応的アプローチのリハビリテーションになります。

社会的不利に対するリハビリテーションは個人差がとても大きく、家族や友人などの人的環境整備や自宅や職場・学校などの物的環境整備が必要になります。障害者に環境を合わせるという考えで障害者の置かれた環境を変える革命的なアプローチが求められます。

 

このような分類や考え方がリハビリテーションの基本にあるとされています。

 

パラリンピックは社会的不利に対する大いなるリハビリテーションの一環と言えるでしょう

 

パラリンピックで金メダルを取ったところで失った手が元に戻ることも見えなくなった視力が復活することはありません。しかし全世界が注目する場に挑戦し活躍することが障害者選手のやる気を生み出し社会的存在意義を示します。ひいては社会的には少数となる障害者の存在を知らしめ環境改善に繋がることでしょう。パラリンピックでは選手だけでなく開会式・閉会式でパフォーマンスをする人にとっても大きな舞台であり、そこを目指して練習することは能力低下に対するリハビリテーションになるかもしれませんし、その後の仕事に繋がる社会的不利へのリハビリテーションになるでしょう。

企業にとってもパラリンピックは製品をアピールする場にもなりますからより高度な装具や自助具、義肢などの開発に繋がるかもしれません。それは社会的不利に対する環境整備という面でリハビリテーションになるでしょう。

 

オリンピックはスポーツを通して鍛え抜かれた人体(頭脳も含む)の極限を競う場だと思います。対してパラリンピックは壮大な社会的不利に対するリハビリテーションの一環であり障害について知り、学ぶ場でもあると考えています。

 

このパラリンピック東京大会を機会に障害に関すること、そしてそのリハビリテーションについてより知られることを願います。

 

甲野 功

 

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