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~経済合理性限界曲線~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 経済合理性限界曲線
経済合理性限界曲線の概要

 

 

経済合理性限界曲線という言葉をご存知でしょうか。私は山口周氏の著書『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す(プレジデント社)』でこの言葉を知りました。そのときは経済学の用語というか概念だと思いました。よくあるマトリックスの説明図があったので。よく読んでみるとなかなか大切なことだと感じ、調べてみました。すると以下の記事が見つかりました。

 

日本で環境配慮商品が浸透しない理由 必要とされることと費用のバランス、経済合理性限界曲線とは?

 

この内容を参考に経済合理性限界曲線とはどのようなものか考えてみました。まず横軸を<課題の普遍性>として右側にいくほど高く、左側にいくほど低くなるとします。課題の普遍性とは世の中でどれだけ困っているかという指標と考えればいいでしょう。世の中にある仕事は原則、誰かが困っていることを解決すること(あるいは欲しがっていることを提供すること)で成り立っています。“課題の普遍性が低い”とはみんながあまり困っていない、欲していないということ。“課題の普遍性が高い”とは反対に誰もが困っている、必要としていることになります。課題の普遍性はそのまま市場規模とも言えて、大勢の人間が困っている、あるいは非常に困っている分野にはよりお金を出します。課題の普遍性が低いものはごく一部の人が困っていることなのでお金をかけなくなるわけですね。

続いて横軸を<課題解決の難易度>として上にいくほど高く(難しい)、下にいくほど低い(簡単)とします。上にいくほど解決が難しい問題があり、下は簡単な問題ということです。

 

この横軸と縦軸で囲まれた四角形のなかを曲線が通っており、それが経済合理性限界曲線となります。そしてこの曲線、経済合理性限界曲線より右下側を“経済合理性限界曲線の内側”と表現し、左上側を“経済合理性限界曲線の外側”とします。そして経済合理性限界曲線の内側の問題(課題)は市場の原理によって解決されるといいます

 

どういうことでしょうか。

 

まず課題の普遍性が高い部分。これは多くの人が困っていることなので解決しようとする企業、組織、個人がたくさん参入します。買ってくれる人(顧客)が多いわけですから。いわゆる市場のパイが大きいというやつです。気軽に買い物をしたい。家から近くて、商品を多数取り揃えていて、いつでも営業していて、お金を卸せて、公共料金を支払えて、コピーやFAXもできて。このような大多数の人が持つ課題(欲求)に対して大企業が参入します。例に挙げた全てを兼ね備えるのがコンビニエンスストアですね。コンビニエンスストアは大企業が参入し人口が多いエリアほど出店しています。例に挙げた課題の項目を個々に分けたとしても、普遍性が高いものは必然的に参入する企業らは多くなります。誰もが毎日食事をしないといけません。コンビニエンスストアだけでなく、レストランもスーパーも八百屋、魚屋、肉屋といったお店は比較的たくさんあるわけです。

 

ただしどれだけ課題の普遍性が高いといっても課題解決の難易度が高すぎるものには企業が参入することができません。例えば現在進行形で世界中に被害をもたらしているパンデミック。これを解決することはそう簡単にいきません。いかないからこそ3年目に突入しているわけです。ワクチン開発、特効薬研究は各企業が行っているでしょうが莫大な費用がかかることは想像に難くありません。また資金があっても全世界から統計をとる、データを精査する、被験者を募って治験をする、承認を得るなどの業務は企業単位ではほぼ不可能で国や国際機関の協力が必須でしょう。

 

課題の普遍性が高くても課題解決の難易度が一定よりも高くなった部分、つまり経済合理性限界曲線より上側は市場原理が働かず、公的機関の介入が必要になります。地球温暖化や紛争を無くすといった壮大な課題はまさに経済合理性限界曲線の外側であり、国際連合のような大組織でないと対応できない課題です(もちろん個々でできることはありますが、大枠のテーマとしては一企業、一個人でどうにかできるものではありません)。

 

課題の普遍性が低いところはどうでしょうか。低すぎる部分も経済合理性限界曲線の外側となります。極端な話、自宅の目の前に地下鉄の駅を作って職場まで直通の地下鉄路線を作りたいと考えたとします。実現できるでしょうか?。不可能でしょう。わざわざ地下鉄を作っても利用者がその人だけであったら利益どころか工事費用も回収できないはずです。依頼主が世界の大富豪で潤沢な資金があると仮定したらどうでしょうか。その場合は地下鉄を作るよりもハイヤーを雇って自宅前から自動車で送迎するでしょう。そちらの方が合理的でしょう。公共交通機関となる地下鉄を建築する合理性は考えられません。

必要としている人が少なすぎては(市場が小さすぎては)参入企業が現れず、経済合理性限界曲線の外側となります。ペルソナマーケティングといってある特定条件の個人に向けた商品開発が好ましいという話もありますが、その個人向けて商品を考えることでそのコンセプトに賛同する不特定多数を狙うわけなので、本当に全世界でその人にしかニーズがないものに市場は動きません。

 

まとめると経済合理性限界曲線の外側とは、あまりに課題の普遍性が低い(市場規模が小さすぎる)か、課題解決の難易度が高い(解決することが非常に困難)である部分と言えます。この外側にある課題を取り扱うのが公共機関であることが多いわけです。いわゆる割に合わない、という仕事。反対に市場原理が入ってくると国民の生活が危ぶまれる課題とも考えられます。利益を追求してはいけないところです。例えば医療や防災など。

 

経済合理性限界曲線を知ることで、政府や地方自治体などが管轄する業務はどのような類のものか納得するようになりました。経済合理性限界曲線の外側にある課題。市場原理に任せてはいけないもの。そう考えると日々の報道の見え方が変わってきます。経済合理性限界曲線の外側にあるものは、誰かがやらなければならないことだけど割に合わないから国や自治体が担う。もっと個人的なことに目を向けた場合、その人にとって経済合理性限界曲線の外側でも情熱や興味によってやってしまうことは多々あるのだろうと思いました。そしてそれが結構人生にとって大切なのかもしれないと。

 

その課題は経済合理性限界曲線の外側なのか内側なのか。そのような視点を持つことで社会の見方が変わるように思います。

 

甲野 功

 

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