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~読売新聞の柔道整復師国家試験問題漏洩事件続報~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 令和4年12月5日読売新聞朝刊
令和4年12月5日読売新聞朝刊

 

 

12月5日(月)に読売新聞で柔道整復師国家試験問題漏洩事件について報道がありました。

これは今年発覚した柔道整復師国家試験問題が公益社団法人「柔道整復研修試験財団」試験委員だった黒田剛生被告(62)(柔道整復師法違反で起訴)と同財団業務執行理事の三橋裕之被告(64)(柔道整復師法違反で起訴)によって漏洩し、東京柔道整復専門学校(東京都練馬区)、新宿医療専門学校(東京都新宿区)、横浜医療専門学校(神奈川県横浜市)、仙台医健・スポーツ専門学校(宮城県仙台市)の4校に情報が流出したとされる事件です。

 

柔道整復師は厚生労働省が管轄する医療系国家資格でかつては骨接ぎと言われた職業。急性外傷のスペシャリストで画像診断(レントゲン撮影やCT撮影)や観血療法(手術)、投薬は認めていられませんが、保存療法(外科的処置を除く徒手整復操作や包帯固定など指します)が認められております。特に医師の同意なしに脱臼や骨折における徒手整復操作(自らの手によって手術することなく骨の位置を正常に戻すこと)が法律で認められています。毎年3月第一週の日曜日に年に一度しかない国家試験が実施され、必修問題80%以上かつ一般問題60%以上の正答が合格ラインとなります。私も柔道整復師免許を取得しており、2011年3月に受験しました。

 

黒田被告が昨年の柔道整復研修試験財団の国家試験に関する会議において問題読み上げ時にスマートフォンで無断録音したといいます。その情報を三橋被告に渡しました。二人の被告によって4校の柔道整復師専門学校へ国家試験の問題情報が伝わったと捜査によって判明したとこれまでの報道でされてきました。柔道整復研修試験財団、仙台医健・スポーツ専門学校、新宿医療専門学校、横浜医療専門学校が警視庁により家宅捜索を受け、二名の容疑者は柔道整復師法違反で起訴されたところまで報道されてきました。それ以降ほとんど報道がされてきませんでした。私にとって一番の疑問はその動機でした。それが今回の報道で少し出てきたのです。

 

読売新聞オンライン 柔道整復師 試験漏えい 「合格率重圧に」被告供述 学生確保狙いか

 

会員ではないので新聞を購入して記事を読みました。それによると黒田被告は警視庁の調べに、「学生の合格率がプレッシャーだった」と供述していたとあります。そして警視庁は学生確保を巡る学校間の競争が背景にあったとみていると記事にあります。

まず合格率がプレッシャーだったという点は専門学校で教員をしていれば必ず被るものです。柔道整復師は最低3年間の勉強が必要です。その上で年に一度の国家試験に合格しないと免許を得ることができません。学費は学校によりますが数百万円の世界。これだけの時間とお金をかけるわけですから合格しないといけません。それを指導する教員にもプレッシャーがかかります。

また国家試験合格率は専門学校の評価に直結します。記事には東北地方の学校経営者の談話を載せて、進学希望者は合格率で学校選びをするから学校側も必死だとあります。その背景には1998年度は全国で14枚しかなかった柔道整復師養成学校が、福岡地裁による判断を機に学校新設が相次ぎ、2015年度には7倍超の108校に増加した。供給過剰となり各校が学生を奪い合う状況となったと記事で述べています。

 

記事の内容はその通りだと思います。

 

そして黒田被告が無断で国家試験問題会議の音声を録音した理由は、学生の合格率を上げるため、と考えられます。そうなると教員をしていた学校の学生のため、すなわち勤務先の学校のために無断録音したというのが妥当です。また記事には元同僚の男性教員に音声データを送信し、その教員は文字に起こして別の同僚らと共有したという、とあります。記事が正しいとすると少なくとも国家試験問題の情報を知っていた人間(元勤務先の同僚)が2名存在するといえます。純粋な疑問としてこの元同僚たちは罪に問われないのでしょうか。記事では黒田被告は柔道整復研修試験財団の会議を録音したものだと伝えており、音声データを受け取った元同僚はそれを認識していたはずです。そうでなくとも学校関係者ならすぐに音声を聞けば国家試験問題だと分かります。文字起こしという作業をしているわけで、それをしなければこの時点で(もしもの話ですが)情報流出はここで止まったかもしれません。

 

この国家試験問題の情報、数十問分のキーワードを三橋被告は黒田被告から入手しそれを仙台医健・スポーツ専門学校の教員へ渡します。更に三橋被告は公益社団法人「日本柔道整復師会」関係者にも情報を渡し、その関係者から新宿医療専門学校と横浜医療専門学校に情報が流出しました。同じように情報を流した日本柔道整復師会の関係者も罪に問われないのでしょうか。

 

今回の報道で黒田被告が国家試験問題の情報を入手したのは、学生の合格率を上げるため、と思われます。その背景には学校数の急増により入学する学生を奪い合う状況があるとされる。それらは私の予想通りでした。次は黒田被告が勤めていた東京柔道整復専門学校の関与は無かったのかということ。黒田被告が無責任で学生の合格率などどうでもいいと考えていればこのようなリスクを冒して音声を録音することは無かったでしょう。とても学生想いで全員を必ず合格させたかったのでしょうか。そうだとしても実質カンニング行為をさせてまで受からせることは間違っているでしょう。この読売新聞の記事には黒田被告がいた専門学校の卒業生で今年3月の国家試験合格した人のコメントが出ており、疑心暗鬼だ、周囲に出身校を言いづらいとこぼしていると言います。結果的に苦しめているわけです。動機は学生のためより学校の生徒集めのためだとしたら。そこを含めて裁判ではっきりさせてもらいたいです。必死に勉強して柔道整復師国家試験を乗り越えた者としては。

 

甲野 功

 

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