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~北朝鮮での無資格鍼施術を禁止する報道~

アジアプレス・ネットワーク <北朝鮮機密文書入手>医療崩壊で大流行の民間治療、金正恩氏が直々に取り締まりを指示 なぜ?
アジアプレス・ネットワーク <北朝鮮機密文書入手>医療崩壊で大流行の民間治療、金正恩氏が直々に取り締まりを指示 なぜ?

 

 

北朝鮮で無資格で鍼施術を行うことが横行しており、それを取り締まるという記事が出ました。アジアプレスというメディアが出した記事で、ここでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っているとのことです。

 

<アジアプレス・ネットワーク <北朝鮮秘密文書入手>医療崩壊で大流行の民間治療、金正恩氏が直々に取り締まりを指示 なぜ?

 

記事によると北朝鮮では深刻な医薬品不足によって医療崩壊状態に陥っているといいます。そのため住民は鍼灸や吸玉といった東洋医学療法に頼らざるを得なくなっている。しかし未熟な者による鍼施術によって事故が起こっており、金正恩最高指導者が直々に取り締まりを指示しているというのです。

 

鍼灸、漢方は東アジア、特に中国、日本、韓国で発展してきました。第二次世界大戦後に朝鮮半島が韓国と北朝鮮に分かれてからは北朝鮮における鍼灸がどのような立場なのか定かではありません。お隣中国を起源とする鍼灸は地理的にも外交関係的にも北朝鮮で盛んであるという情報があります。

 

東洋学術出版 北朝鮮で積極的に利用されている鍼灸治療

 

アジアプレスの記事によると鍼灸や吸玉は民間療法であり「非法医療行為」であるとしています。この非法というのは“法律に非ず”という意味でしょうから、北朝鮮において鍼灸は医療行為にあたるが法的裏付けがないものという事なのかもしれません。日本では国家資格免許ではり師免許、きゅう師免許を持っていれば他人に施術することができ、免許である以上それらを持っていなければ施術することはできません。(※厳密に法律の文面を書くと、業としてはならない、となります。業とは反復継続の意思を持って行うこと、と解釈されており対価を得る得ない関係なく継続して行うこと自体が禁止されています。)

 

現在の北朝鮮における鍼灸師制度が不明なのですが、問題視されているのは大して勉強も修練も積んでいないいわば素人が鍼施術を行って事故が起きているということ。アジアプレスの記事によれば『本で勉強しただけの人が子供に鍼を打って、内臓が破裂する事故があったと説明された。両江道でも、未熟な者による治療でしばしば事故が起こっている』と紹介しています。記事で最も強調したいことは“金正恩成功指導者自ら取り締まりを強化している”という点で、“未熟な者による鍼施術によって事故が多発している”という点ではないようです。社会政治的な視点でみればそれは頷けることであり記事よれば『北朝鮮では無資格者による鍼灸などの民間療法は以前から行われていたが、大流行したのは2020年1月に新型コロナウイルスのバンデミックが始まって以降だ。金正恩政権が中国との貿易をほぼ止めてしまったために医薬品が入って来なくなり、病気になった人々は藁にもすがる思いで民間療法に頼ったのだ。』という背景からです。

 

鍼灸師である私にとっては、それよりも”未熟な者によって引き起こされる事故のこと”と”政府に禁じられても取締りの目をかいくぐり鍼灸を受ける国民のこと”に注目します。

 

古来より朝鮮半島にも鍼灸が根付いていました。現在の北朝鮮のような医薬品不足という危機的状況において民衆が鍼灸を頼りにしていることが感心することであり関心があります。頼りにされている、期待されている。もしも日本でも同じように医薬品不足や現代医療のシステムが崩壊して満足に今の標準治療を受けることができなくなったとしたら、はたして国民は鍼灸に期待をしてくれるのでしょうか。そしてそれに鍼灸師側は応えることができるのだろうか。そのようなことを鍼灸師(かつあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師でもある)である私は考えてしまいます。妄想と切り捨てることはできず、考えたくありませんが戦争が起きるとか首都直下型地震が起きてインフラが麻痺するような事態に陥ることが将来あるかもしれません。ちょうど昨日は阪神淡路大震災が発生した日。北朝鮮においては鍼灸ら伝統的東洋医学が求められているのだと思いました。

 

反対に無資格者の鍼施術が危険であるという事実も実感します。当たり前といえば当たり前なのですが、毫鍼(ごうしん)という細いながらも尖った金属を身体に刺入するのですから技術と知識がなければ事故が起きます。はり師免許を取って15年も経つと当たり前のように行っていますが、本来危険を伴う行為であり一般の人がやってはいけないこと。だから免許制度であり3年以上の学習と練習を養成機関で行い国家試験に合格する必要があるのです。記事を読んで実際に内臓が破裂することがあるのだと思いました(※記事の内容が正しいという前提。太さ、長さ、刺す方向と深さ、どの臓器が破裂したのかなど正確な情報がなければ完全に信じることは難しいです。気胸といって肺に穴があくことは多数報告されていますが)。絶対に素人が手を出してはいけないことです。

 

最近日本ではり師免許を持たない非鍼灸師が自己判断で鍼を刺すという事例を耳にすることがあります。今回紹介した記事を読んで気をつけなければならないと思います。

良い面でいえば鍼灸は日本でも定着しており、(色々とありますが)市井の鍼灸師が情報を出すことで以前よりも認知されていると言えます。NHKでも鍼灸を特集する番組がありました。しかし誰でも気軽にできるという風潮は非常に危険であり、北朝鮮のように事故がおきてしまうことを懸念しています。免許を持ったプロでも事故が起きてしまうもの。素人がやってはいけません。10年以上前の話になりますが、はり師免許を持たないものが患者に鍼を刺して死亡してしまった事例もあるのです。

 

日本経済新聞社 はり治療後に死亡、元副院長に有罪判決 大阪地裁 2010年12月7日 12:07

 

海外のことだと適当に流してしまうのではなく、教訓にしなければならないと思います。

 

甲野 功

 

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