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~柔道整復師国家試験漏洩事件判決有罪判決~

NHKニュースより 柔道整復師 試験問題漏らした元理事ら2人有罪判決 東京地裁
NHKニュースより 柔道整復師 試験問題漏らした元理事ら2人有罪判決 東京地裁

 

 

2023年2月1日に柔道整復師国家試験問題漏洩に関する事件で、被告人2名に有罪判決が言い渡されました。

NHK 柔道整復師 試験問題漏らした元理事ら2人有罪判決 東京地裁 02月01日 17時38分

 

この事件は昨年2月に厚生労働省が管轄する国家資格である「柔道整復師」の国家試験問題を同問題の試験委員(試験問題を作成する立場にあった)を黒田剛生被告が全ての問題情報を不正に入手します。それを柔道整復研修試験財団の元理事である三橋裕之被告に渡しました。被告2名は柔道整復師を養成する専門学校合計4校に問題情報を漏洩させたという事件です。被告は柔道整復師法違反で逮捕、起訴されていました。

 

両被告は罪を認めており、求刑は三橋被告が懲役10か月黒田被告が懲役1年でした。この判決で執行猶予3年がついての有罪判決が東京地方裁判所から言い渡されました。報道によると『東京地方裁判所は「国家試験の公平公正を害し、信頼をゆるがしかねない悪質な行為だ」と指摘して2人に執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。』とあります。例年、柔道整復師国家試験は3月第1週の日曜日に開催されます。今年も第31回柔道整復師国家試験が3月5日に行われます。国家試験は筆記のみで年に一度しか行われません。受験資格は専門学校、大学の柔道整復師養成機関において最低3年間の勉強と練習をして養成機関が認めた場合に得られます。

 

当然国家試験の問題が事前に漏れてしまうということは由々しき事態であり東京地方裁判所の「国家試験の公平公正を害し、信頼をゆるがしかねない悪質な行為」となります。特に私も2011年3月に柔道整復師国家試験を受験していますから、あのとき事前に問題を知っている受験生がいたとしたら許せない気持ちになることでしょう。どれだけの努力と時間を掛けてその日を迎えたのかと。また本来であれば不合格になるはずの学力の人間に柔道整復師免許を渡してしまうことは、公共の福祉に反すること。これが医師国家試験の問題だったとしたらもっと大きな問題になっていたことでしょう。執行猶予がついたとはいえ有罪判決が言い渡されたのは妥当に思います。

 

同じく報道によると『(2月)1日の判決で東京地方裁判所の坂田威一郎裁判官は「試験問題を決める会議の録音データを漏らすなど、国家試験の公平公正を害し、信頼をゆるがしかねない悪質な行為だ。自分が講師を務めた専門学校の生徒を合格させたいという動機であっても、試験の委員や指定試験機関の理事としての義務に反し、強い非難に値する」と指摘しました。』とありました。国家試験の問題を扱う公益社団法人の委員や理事が問題漏洩を行うというのは本末転倒。柔道整復研修試験財団の存在意義を疑われてしまいます。

しかしそれとは別に気になった点があります。犯行動機において『自分が講師を務めた専門学校の生徒を合格させたい』とあります。この事件、柔道整復師である私にとって、動機が最も不可解なのです。講師を務めた生徒を合格させたくてこれだけのことをしたのかという。前から書いていますが柔道整復師国家試験に合格できなくて困るのは受験者本人。両被告にとってとっくの昔に柔道整復師免許を取得しているので生徒が不合格でも直接は影響ありません。合格して喜ぶのは受験者当人と専門学校です。専門学校側が何かしらの利益を与えていなかったのか、ということです。現状、柔道整復師専門学校は飽和状態に陥っており学生確保が困難になっております。国家試験合格率は生徒集めにおいて重要な数字となります。合格率を上げるために色々な操作をしていることはよく耳にするところ。そして受験者当人も事前に学校で渡された練習問題が本番と同じであればすぐに気づくわけで、最悪合格取り消しになるのではないかと怖くなるでしょう。呑気に、先生が問題教えてくれたラッキー、と意に介さない者もいるでしょうが。本当に生徒のことを想うと問題を教えることが最善策とはならないと思います。一番得をするのは高い合格率を示せる専門学校だと思うのです。

 

そして別の報道では『一方、2人が反省の情を示し、事件発覚後に役職を辞任したり、勤務先を懲戒解雇されたりしている点などを考慮したとした。』と情状酌量の余地があり執行猶予がついたとしています。被告が役職を辞任するのは分かりますが、“勤務先を懲戒解雇された”という事実は知りませんでした。ここでいう勤務先は試験財団や専門学校なのでしょうか。判決文の全文を読みたいのですがまだ見つかりません。

 

一応の決着がついたこの柔道整復師国家試験漏洩事件。有罪判決が言い渡され、被告が控訴しなければ刑が確定。そうなると柔道整復師免許の欠格事由(免許を失う項目)である、罰金刑以上の刑を受けた者、に抵触するはずです。被告の柔道整復師免許はく奪ということになるのか。そうなると被告の年齢的にも大きな社会的制裁を受けることになるでしょう。

 

1月後には第31回柔道整復師国家試験が開催されます。そのときに数字がどのようになるのか注目です。この判決を持って何もなかったかのように国家試験が続くのでしょうか。

 

甲野 功

 

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