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~医師の名称独占~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 医師の名称独占
医師の名称独占

 

 

名称独占業務独占という法律的概念があります。

 

私は

・あん摩マッサージ指圧師免許

・はり師

・きゅう師

・柔道整復師

の4つの国家資格免許を取得しています。はり師ときゅう師は多くの人がまとめて取得するため鍼灸師と一括りにしてしまうことが多いです。また最初の3つは一まとめの法律で規定されています。頭文字をとって通称「あはき法」と言われます。昭和の前半頃までは柔道整復師も含めて一つの法律でした。

これら4つの国家資格には「業務独占」と言われる、その資格が規定する行為を業とするには各免許を所得しなければならないという法的制限があります。つまり按摩や指圧を業とする(反復継続の意思を持って行うこと)ならばあん摩マッサージ指圧師免許が必要なのです。決して、健康に害を及ぼすおそれがなければ誰でもやっていいということではありません。鍼灸もそうです。これはあはき法第1条に記されていることで、破れば違法行為として罰せられます。このように免許を持たなければやってはいけない法律上の制限を業務独占とよぶのです。

 

一般的な話でいえば普通自動車運転免許を持っていない人間が公道で自動車を運転していたら罰則がくだります。例え免許自体を取得していたとしても免許不所持で運転していても交通法違反ですね。運転技術があるから平気、実力があるから大丈夫、という話ではないのです。これも業務独占といえるわけです。

 

業務独占と関連するもので「名称独占」というものがあります。これはその資格取得者以外のものにその資格の呼称、およびそれに類似したり紛らわかったりする呼称の利用が禁止されることです。保健師や理学療法士がこれにあります。

最初に挙げた私が持つ4つの国家資格は全て業務独占がありますが、名称独占はありません。どういうことかというと、私が保健師や理学療法士だと名乗ることは禁止されているということ。反対にあん摩マッサージ指圧師免許を持たない者が自らをマッサージ師と名乗ったり、『○○マッサージ店』という屋号のお店を出したりすることは(法律上)問題がありません。しかし、繰り返しになりますがあん摩マッサージ指圧師免許を持たないのにマッサージを業とすることはいけないのです。業務独店はあるが名称独占がないというのはこういうことです。実際のところあん摩マッサージ指圧師ではないのにマッサージ師を名乗ったときに詐称や詐欺に問われることがあるでしょうが。たまに「マッサージという言葉はあん摩マッサージ指圧師しか使えない」と解説している人がいるのですが、法律上は名称独占がないのでそれは構わないのです。「だからマッサージという言葉を使わないで○○式整体という言葉を使ってマッサージをする」という説明は大間違いです。あはき法によって業務独占があるからです(実際のところ守られていないのが現状ですが)。

 

厚生労働省が管轄する国家資格の多くは業務独占か名称独占のどちらかです。理学療法士だと名称独占のみ(ただし一部の業務は業務独占となる)。ところが業務独占と名称独占の2つがある資格があります。それが医師です。医師法にはこのようにあります。

医師法

第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。

第十八条 医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

 

第17条が業務独占。医師でなければ医業(医行為を業とする)をしてはならない。

第18条が名称独占。医師でなければ医師またはこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

 

業務独占だけでなく名称独占まであるのが医師。それだけ社会的責任があるということです。

 

あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師は業務独占があると書きましたが注釈があり、それは、医師は除く、とついています。つまり各免許を持っていなくとも医師であればこれら4つの資格が来ている行為を業とすることができるわけです。それだけの技術と知識があるという判断です。

更に誰でも医師免許がなければ医師を名乗ることや医師と間違えるような名称を用いることができません。当然私が「医者です」と名乗ることが違法行為であり、当院の屋号を「あじさい医院」とすることも禁止です。医師でないのに(医師免許を持っていないのに)他者に医師であるかのように思わせること自体が実質許されていない。例え医師のふりをして騙すことをしなくても。名称独占とはそういうことです。

 

医師に業務独占があるのは当然でしょう。例えば素人が病人に手術をしたり薬を投与したりしたら大問題です。まさに健康に害を及ぼすおそれがあることは明白です。公共の福祉に反する行為です。それだけでなく医師を名乗ったりあたかも医師がいるかのようにしたりすることさえも危険ですから禁止している。業務独占と名称独占の両方を持つのはそれだけ医師という職業が重要で世間に与える影響が大きいからということです。医師法を遵守するならば、医師ではない者がマッチングアプリでプロフィール欄に“職業医師”と書くだけで違法なのです。医師を語って結婚詐欺を働く気があったとして、詐欺行為を起こす前段階の医師を名乗るだけで医師法第18条違反(名称独占)となるのです。

 

余談ですが、当院の看板を作るときに業者にお願いしたときのことです。イメージやロゴなどの素材を提示して業者からあがってきてデザインに「AJISAI acupuncture and moxibustion clinic」という言葉が入っていました。あじさい鍼灸マッサージ治療院を英語表記したのでしょうが、clinicという文字がクリニック、すなわち診療所を想起させると考え、医師法第18条(名称独占)に抵触する可能性があると考えて消してもらいました。業者からするとオシャレあるいは英語圏の人にも分かるようにという意図だったのでしょうが、私は余計な面倒は避けようという気持ちで却下したのです。

医師ではない私でも医師法の一部を知っているのが学校で習うからです。医師法の業務独占や名称独占は対象が万人。誰であっても医師免許がなければやってはいけないことだからです。同じ医療職として当然知っておかなければならないことです。

 

さて最近非常に気になっているのがTwitter上に多数いる匿名の自称医師アカウントです。プロフィール欄には医師とありますが、それを証明するものは一切提示していません。顔も隠して本名も隠して。どこに勤めているのかも非公表。それでいて医師だと公言して医学的な内容を投稿する。これは医師法違反にならないのか、と考えてしまうのです。

 

アカウントの中の人が医師免許を持っているなら名称独占に抵触しません。医師免許を持っていないことが立証されないなら違法とすることはできません。しかしその匿名アカウントが医師免許を持っていると証明できない以上、医師法違反(名称独占)とは言い切れないわけです。極端な話、私が匿名のTwitterアカウントを作りプロフィール欄に整形外科医と記して活動したとしましょう。このこと自体は医師法違反(名称独占)になりますが、私が医師免許を持っていないと証明することができません(他者が情報開示請求をすればできるでしょうがそう簡単なことではない)。私は柔道整復師ですしネット上で情報を拾ってくればある程度整形外科医を演じることができるでしょう。医学知識が乏しい一般人を騙すことを信じさせることはできると思います。

 

果たして匿名で一切の情報を非公表にする自称医師アカウントが存在していいのでしょうか。

個人の自由、表現の自由だという意見があるでしょう。裏アカウントとして誰にも素性を知られずに呟きたい人もいるでしょう。しかし医師を名乗って、医師として医学知識を不特定多数の人間に発信することがいいのでしょうか。日常の出来事、感想、感情を匿名医師アカウントが呟くのは問題ないと思いますが。それが許されるのであれば、何故医師法で名称独占を制定しているのでしょう。それを制限しないと公共の福祉に反する事態が生じる可能性が高いからではないからでしょうか。

医師のいうことだから本当に違いない。そう考える人が多数いるでしょう。当人は堂々と自分は医師だからねとしています。しかしそれを証明する術がありません。あなたが本当に医師である証拠はあるのですかと。

 

世の中には実名で素顔を出し、所属をはっきりさせて医学的な意見を述べる医師がたくさんいます。医師が担う社会的責任を考えるとそれが当然なのではないでしょうか。それは3年前の新型コロナウィルス感染拡大で嫌というほど思い知ったのではないでしょうか。初めて経験する時代に医師や専門家ですら意見が分かれることが多々ありました。だからこそ発言には責任を伴うし、デマ投稿が世間に対して起こす弊害が大きいのです。

 

医師法にはこうようにあります。

医師法

第一条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

医師であるならば匿名アカウントなどにせず堂々と実名で医学に関する情報発信をした方がいいのではないでしょうか。医師として言いたいことを発信する、だけど責任は取りません。そのような状況があると思います。医師法第18条で規定されている名称独占は軽いものではないと考えています。

 

甲野 功

 

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