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~『整骨院』の名称禁止へ~

厚生労働省資料より
厚生労働省資料より

 

 

ついにと言いますか柔道整復師が開設する施術所に『整骨院』という名称が禁止になる方針が決定されました

 

昨日、2月13日に東京都千代田区で『第9回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』が開催されました。詳しいことは現時点で議事録が出ていないので分かりませんが鍼灸柔整新聞の速報によるとそうなったとのことです。

 

鍼灸柔整新聞 「整骨院」を施術所名称で使用不可へ、広告検討会

 

厚生労働省ホームページ あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会

 

この『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』(以下、広告検討会と表記する)はその名称の通りあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などの広告に関してガイドラインを作ろうという有識者会議です。本来のスケジュールであれば数年前に決定しているはずでしたが諸事情により未だに着地点が見えていませんでした。前第8回が開催されのは令和元年(2019年)11月。約3年ぶりの開催でした。検討内容に様々な思惑が入り混じっていることが長期化の要因といえるでしょう。そして第8回以降の開催スケジュールが決定しないまま2020年の新型コロナウィルス感染拡大へ。会議は開催されることなく3年が経過。その間に会議出席者が一名、柔道整復師法違反で逮捕されて有罪判決がくだされるという事態もありました。前回の広告検討会で議論になっていた『整骨院』という名称を認めるかという点において、今回結論が出たという事です。

 

鍼灸柔整新聞の記事によれば

「整骨院」の文言を施術所名称として使用することを「不可」にする厚労省案が大筋で合意された。

とあります。

 

まず事情が分からない人には、巷には○○整骨院があふれているではないか?それの何がいけないの?、という疑問があると思います。そこのところから説明しましょう。

・あん摩マッサージ指圧師

・はり師

・きゅう師

・柔道整復師

の4つの国家資格(厚生労働省が管轄する免許で規定されている)は開業権が法律で認められています。所轄の保健所に届け出(開設届)を提出して保健所職員の立ち入り検査を受けて開業することができます。それを『施術所』といいます。施術所とはカテゴリーの名称で個別を示す言葉ではありません。レストラン、美容室、コンビニエンスストアといったような。そして施術所を開設できるのは法的に許可されている一部の資格免許だけです。その代わり、施術所に関する要件(設備など)は関係する法律(あはき法といわれる法律、柔道整復師法)で規定されています。好き勝手できるわけではありません。そのため保健所職員の検査がありますし、不備が見つかった場合は指導される立場にあります。もちろんその指導に従わなければ違法行為として罰せられます(法律に記載されています)。

 

柔道整復師法において施術所の屋号として認められているのは『接骨院』になるのです。

 

柔道整復師法第二十四条第一項第四号の規定に基づく柔道整復の業務又は施術所に関して広告し得る事項

(平成十一年三月二十九日)

(厚生省告示第七十号)

 

柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)第二十四条第一項第四号の規定に基づき、柔道整復の業務又は施術所に関して広告し得る事項を次のように定め、平成十一年四月一日から適用し、昭和四十五年七月厚生省告示第二百四十五号(柔道整復師法第二十四条第一項第四号の規定に基づき広告し得る事項を指定する件)は、平成十一年三月三十一日限り廃止する。

 

一 ほねつぎ(又は接骨)

二 柔道整復師法第十九条第一項前段の規定による届出をした旨

三 医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼又は骨折の患部の施術に係る申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る。)

四 予約に基づく施術の実施

五 休日又は夜間における施術の実施

六 出張による施術の実施

七 駐車設備に関する事項

 

医師法、医療法で病院や診療所などと勘違いさせるような紛らわしい名称が禁止されています。柔道整復師の開設する施術所は(当然ですが)柔道整復師が柔道整復業をするものと分かるようにしなければならないので「ほねつぎ」あるいは「接骨」が規定されています。どこまで屋号として認められるかは定かではありませんが、○○ほねつぎ院、○○接骨院は確実に大丈夫という事です。言い換えるとほねつぎ、接骨以外の名称は不可と言えるわけです。よって厳密に言えば『整骨院』は認められていないのです

 

私が学んだ柔道整復師専門学校で学んだ教科書(『関係法規』改訂第2版 社団法人全国柔道整復学校協会監修)にも

*現状においては、「整骨院」の名称で開業している施術所も多いが、行政上の判断で許容されているだけであり、法的には現在も許されてはいない。したがって国家試験等で正式な表記を求められる場合では、「整骨院」を使用することはできない。法令と現の認識が、早期に一致することが望まれる。

注)単に業務の種類を明記しただけのものならばよい。

(例)「○○柔道整復院」、「○○接骨院」

と記載されています。私が柔道整復師専門学校で学んでいたのは10年以上前のこと。この時点で指摘されていた問題をやっと指導するということになったのです。このことを報じた記事でも、『整骨院』を施術所名称で使用することはそもそも法令的に認められていないということで会議メンバーからほとんど反対意見は出ずに合意に至ったとあります。

 

しかし巷にある看板で○○“接骨院”というところを見る機会はほとんど無いのではないでしょうか。多くが○○“整骨院”ではないでしょうか。なぜ法律で禁止されているはずなのに整骨院が多数なのでしょうか。考えらえる理由を述べていきましょう。

 

私も柔道整復師ですから感じるのですが、業務の意味合いを考えると接骨というより整骨の方がしっくりくるのです。柔道整復師という名前の通り、整復操作が非常に重要な資格です。整復とは骨が本来ある位置とは異なった状態にあるときにそれを元の位置に戻すことをいいます。骨折、脱臼の際に用いる処置です。外科的に行うこともありますが、徒手での整復もあります。肩が外れてそれを入れてもらう、これが分かりやすい整復の一つです。柔道整復師には手術が認められていませんから、行ってよいのは徒手整復のみ。保存療法といって外科手術をしないで外傷の処置をする仕事です。そうなると骨を接合する意味よりも骨(の位置)を整える方が業務に則っている気がします。整形外科医ならば折れた骨をプレートで固定して接合することができますが柔道整復師にはそれが許されていません。接骨より整骨の方が柔道整復師の業務を体現している言葉のように感じます。

 

ここからは憶測です。整骨院と表記した方が整形外科のように見えて都合がいいという理由。見間違える人はいないだろうという意見もあるでしょうが、高齢者になると区別が付かないこともあります。白衣の人がいて健康保険証を提出してケガの処置をしてくれる。整形外科と勘違いする人がいないわけではありません。だから整骨院という名称を認めない根拠になり得るわけですが。

また『整体院』に近くい名称にした方が入りやすいという理由。こちらの方が今は信ぴょう性が高いと思っていて、誰でも始められる整体院の方が知名度があって社会的地位が上だと世間に認知されている風潮があります。それに乗っかりたいのではという個人的憶測です。

以上のように柔道整復師が施術所を開設する際に、ダメとわかっているのかそうでないのかは不明ですが、接骨院よりも整骨院を屋号に選ぶことが非常に多いのが現状でした。

 

それが記事によれば、今後『整骨院』を新規の施術所において屋号に付けることはできなくなるといいます。また現在『整骨院』を使用している施術所も移転等の手続きの際に名称変更を求められるといいます。議事録を読まないとわかりませんが、記事の文章からは既存の『整骨院』が屋号を『接骨院』に変更しろという強制力がないように読み取れます。しかし今後分院を展開する、移転して開設届を再度出すとき、施術所の名称を変更する場合は屋号の変更を指示されることになります。広告ガイドラインに乗った場合、という条件付きですが。

 

今回の決定は重要なことですが、どこまで徹底できるのでしょうか。開設届の窓口はその地域の保健所になります。対応する保健所職員は細かい法令や指示を完全に理解できているか分かりません。それだけが業務ではありませんので。実際に開設届を出して開業した立場から言わせるとおかしな点があると思います。もちろんこちらが専門家であり、向こうは数ある諸業務の一つであるから仕方ないのですが。周囲に聞くと保健所職員ごとのローカルルールがたくさんあるといいます。

 

そしてこの時期に敢えて『整骨院』の名称を議論して結論を出したのでしょうか。前に書いた通り、10年以上前から疑問視されていたことです。法律で禁止されていることを取り締まるのだから当然、といえばそれまでですが。見方を変えると取り締まらないでやってきたことを、今後がきちんとやるからね、という態度を示したようにも感じています。今回の議事録が出たらきちんと読み込んで考えていきたいと思います。

 

甲野 功

 

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