開院時間

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電話:070-6529-3668

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~未だに鍼灸師を取る人はマッサージ師も同時に取るという認識が残っている~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 本科がある学校と専科の学校
鍼灸・マッサージ両方取られる学校と鍼灸のみ取られる学校

 

 

私が普段している仕事は前提条件として

・あん摩マッサージ指圧師免許

・はり師免許

・きゅう師免許

の3つの厚生労働省認可の免許を取得しているものです。

 

鍼灸師と言いますが、はり師免許を持っていなければ仕事として鍼をすることは許されていませんし、お灸をするのもきゅう師免許が必要。マッサージをするのも、あまり世間に認知されていないのが現状ですが、あん摩マッサージ指圧師免許が必要です。これは法律で定められており、違反すれば罰金刑が課されると記載されています(このことを法律用語で業務独占と言います)。よってマッサージや鍼灸をしてみたいと考えたなら免許を取らなければいけません。免許を取るには最低3年間の勉強と年に一度(2月末の週末に開催)しかない各種国家試験に合格し、名簿登録されないといけません。医師は別としてそれは誰でも同じです。

 

最短3年間の勉強は所定の専門学校、大学、視覚支援学校、盲学校のいずれかに入学しないとできません。独学で勉強して国家試験を受験することはできません。国が認めた養成機関で勉強・練習を積み、そこで国家試験受験資格を得ないないといけません。よって免許を取るためには専門学校などに入学することが最初の一歩になります。

 

視覚障害のない晴眼者(健常者)は専門学校か大学に入学するしか方法はありません。私の場合は東京都にある東京医療専門学校に入学して先に挙げた3つの免許を取得するための勉強と練習を積みました。このような現状を理解している人は社会全体では多くなく、興味が出て初めて調べて知るということになります。一般常識ではないので当たり前なのですが。

このことで何年も前から気になっていたことがあります。それは一部のサイトで「鍼灸師を取る人はマッサージ師も一緒に取ることが多い」という解説文が出ていることがあるということ。

率直に、そんなことはない、です。

サイト作成に携わった者が知識不足なのだと思うのですが(普通の人は知ることがないでしょう)、業界関係のサイトでもこのような文面が載っていることがあります。一体いつの時代を語っているのだろう、と呆れてしまうのと実情と異なる情報を出してはいけないだろうと思うのです。このことについて説明をしておきたいと思います。

 

確かに私はあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師免許を3年間の勉強と同一年の国家試験受験を経て取得しています。鍼灸師とマッサージ師を同時に取りました。ですから、鍼灸師を取る人でマッサージ師も一緒に取ること、は現実にあります。ただし現在において、それは全国的に少数で、鍼灸師のみを取得する人が大多数マッサージ師も一緒に取る人はマイノリティであります

 

歴史的に按摩師、鍼師は視覚障害者の生業として日本に根付いてきました。音楽家とともに。かつては視覚障害者の多くが按摩師であったから、視覚障害者を侮蔑する意味で「あんま」と呼んでいた時期がありました。今でも視覚障害者を「あんま」と呼ぶことは放送禁止用語になっていると言います。元々は按摩師の多くが視覚障害者だったから職業名で一括りにしていたのだと思われますが、視覚障害者を侮蔑する意味合いが入ればひどい言葉になってしまいます。さて江戸時代に杉山和一検校が養成機関を作ってから、盲学校・視覚支援学校では按摩、鍼灸を教えることが一般的になりました。視覚障害者が社会で生きていくためにあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師は所得しておこうと。そのため鍼灸師とマッサージ師がセットになるというは間違いではないです。ただし、視覚障害の程度によってはあん摩マッサージ指圧師だけ、はり師とあん摩マッサージ指圧師という方もいます。全盲と視野欠損や片目失明、弱視では状況が異なります。先天的に視力が無い人と後天的に視覚障害を患った場合でも異なります。あん摩マッサージ指圧はできても鍼灸はできない、という場合もあります。鍼とマッサージはできるがお灸は火を使うのでやらないという場合も。視覚障害者の場合、鍼灸師とマッサージ師の両方を取ることができるカリキュラムがあってもできる・できない、選択する・しないがあります。ですから鍼灸師とマッサージ師を両方取る人が多いとは言い難いです。もちろん全て取得する方はいますが。

 

そして晴眼者の場合は養成機関の環境が違います。現在、鍼灸師とマッサージ師を両方取ることができる学科、通称「本科」(鍼灸マッサージ科)のある学校は全国に19校しかありません。もちろん視覚障害者ではなく晴眼者が通う学校限定です。そしてそこに大学は含まれません。北からその19校を並べると以下の通り。

 

赤門鍼灸柔整専門学校(宮城県)

呉竹医療専門学校(埼玉県)

東京医療専門学校(東京都)

東洋鍼灸専門学校(東京都)

東京医療福祉専門学校(東京都)

東京衛生学園専門学校(東京都)

日本鍼灸理療専門学校(東京都)

国際鍼灸専門学校(東京都)

湘南医療福祉専門学校(神奈川県)

神奈川衛生学園専門学校(神奈川県)

呉竹鍼灸柔整専門学校(神奈川県)

東海医療学園専門学校(静岡県)

専門学校名古屋鍼灸学校(愛知県)

中和医療専門学校(愛知県)

京都仏眼鍼灸理療専門学校(京都府)

大阪行岡医療専門学校長柄校(大阪府)

関西医療学園専門学校(大阪府)

四国医療専門学校(香川県)

鹿児島鍼灸専門学校(鹿児島県)

 

それに対して鍼灸科のみの学校はいくつあるでしょうか。調べた範囲で72校です。この数字は大学、専門学校のみで盲学校・視覚支援学校は入っていません。本科の学校と比較するために列記してみました。

 

札幌青葉鍼灸柔整専門学校(北海道)、札幌スポーツ&メディカル専門学校(北海道)、北海道鍼灸専門学校(北海道)、北海道ハイテクノロジー専門学校(北海道)

東日本医療専門学校(宮城県)、盛岡看護医療大学校(岩手県)、福島医療専門学校(福島)

育英メディカル専門学校(群馬県)、浦和専門学校(埼玉県)、関東鍼灸専門学校(千葉県)、帝京平成大学(千葉県)、アルファ医療福祉専門学校(東京都)、お茶の水はりきゅう専門学校(東京都)、首都医校(東京都)、新宿医療専門学校(東京都)、帝京平成大学(東京都)、東京有明医療大学(東京都)、東京メディカル・スポーツ専門学校(東京都)、日本医学柔整鍼灸専門学校(東京都)、日本健康医療専門学校(東京都)、日本工学院八王子専門学校(東京都)、スポーツ健康医療専門学校(東京都)、神奈川柔整鍼灸専門学校(神奈川県)、横浜医療専門学校(神奈川県)

新潟看護医療専門学校(新潟県)、新潟医療福祉大学(新潟県)、国際メディカル専門学校(新潟県)、信州スポーツ医療福祉専門学校(長野県)、金沢医療技術専門学校(石川県)、岐阜保健大学医療専門学校(岐阜県)、静岡医療学園専門学校(静岡県)、専門学校中央医療健康大学校(静岡県)、静岡東都医療専門学校(静岡県)、専門学校浜松医療学院(静岡県)、常葉大学(静岡県)、名古屋医専(愛知県)、名古屋平成看護医療専門学校(愛知県)、名古屋医健スポーツ専門学校(愛知県)

鈴鹿医療科学大学(三重県)、京都医健専門学校(京都府)、明治国際医療大学(京都府)、大阪医専(大阪府)、大阪医療技術学園専門学校(大阪府)、大阪ハイテクノロジー専門学校(大阪府)、関西医療大学(大阪府)、近畿医療専門学校(大阪府)、国際東洋医療学院(大阪府)、東洋医療専門学校(大阪府)、平成医療学園専門学校(大阪府)、明治東洋医学院専門学校(大阪府)、森ノ宮医療学園専門学校(大阪府)、森ノ宮医療大学(大阪府)、履正社国際医療スポーツ専門学校(大阪府)、神戸医療福祉専門学校中央校(兵庫県)、神戸東洋医療学院(兵庫県)、宝塚医療大学(兵庫県)、兵庫鍼灸専門学校(兵庫県)

朝日医療大学校(岡山県)、IGL医療福祉専門学校(広島県)、朝日医療専門学校広島校(広島県)、河原医療福祉専門学校(愛媛県)

九州医療スポーツ専門学校(福岡県)、福岡医健・スポーツ専門学校(福岡県)、福岡医療専門学校(福岡県)、福岡天神医療リハビリ専門学校(福岡県)、九州医療専門学校(佐賀県)、こころ医療福祉専門学校長崎校(長崎県)、

九州看護福祉大学(熊本県)、大分医学技術専門学校(大分県)、九州保健福祉大学(宮崎県)、鹿児島第一医療リハビリ専門学校(鹿児島県)、専門学校沖縄統合医療学院(沖縄県)

 

どうでしょう。遥かに多くの大学と専門学校があります。鍼灸とマッサージを両方取るというのは学校数に差があり過ぎるのです

 

実数で比較してみましょう。今年第31回のあん摩マッサージ指圧師国家試験の新卒合格者数は1,296名です。対してはり師国家試験合格者数は4,084名、きゅう師国家試験では4,010名です。あん摩マッサージ指圧師の場合、晴眼者でも日本指圧専門学校、長生学園、京都仏眼鍼灸理療専門学校にはあん摩マッサージ指圧師のみの科が存在するので1,296名のうち鍼灸も一緒に合格した数はもっと少なくなります。日本指圧と長生で184名があん摩マッサージ指圧師のみですから鍼灸師とマッサージ師の両方を取った人はおよそ1000人程度と思われます。鍼灸師の4000人のオーダーとは比較になりません。

 

つまり鍼灸師になる者の多くはマッサージ師も一緒に取るという事はないのです。あん摩マッサージ指圧師のみの人が鍼灸科に入学して追加で鍼灸の免許を取得するパターン、その逆もあるのですが全体とすると珍しいことになります。

 

では何故「鍼灸師を取る人はマッサージ師も一緒に取ることが多い」という情報があるのか。それは、確かに以前はそうだったから、ということです。1998年に福岡県において国(厚生省、当時)と争われた裁判の結果、柔道整復師専門学校の新設が可能となりました。同時に鍼灸師専門学校も2000年以降爆発的に増えることになります。それまでは学校数が抑えられていました。2000年より前からある学校は本科が多かったので、この時代は鍼灸師とマッサージ師を両方一緒に取る人の割合が高かったのです。今よりも絶対数自体が少ないのですが。今は鍼灸専門学校、大学が増えて相対的に鍼灸だけの科と学生が大幅に増えているのが現状です。よって20年前はそうだったが今は違うということ。

 

未だに情報がアップデートされていないようです。20年前の記事や常識を今も同じだと思っているのか、何も考えずそのまま流用しているのか。私も気をつけないとちょっと前のことが20年くらい前の出来事であることがあります。大学生と話をしていて、自分の大学生時代のことを話そうとしたときに、四半世紀前のことで目の前の大学生の生まれる前のことだったと気付いて話すことを控えたことがあります。その時点で記憶が上書きされないのでその状況がずっと残っていると錯覚してしまうのです。

 

鍼灸師になろうと思っている人が惑わされないように願います。

 

甲野 功

 

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