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~脱毛で火傷、医師法違反の疑いで書類送検~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 医師法違反の説明
医師法違反の説明

 

 

本日、このようなニュースがありました。

関西テレビNEWS

【独自】脱毛でやけど被害 「2000円で背中の脱毛ができる」安さにひかれ…被害女性が語る「本質を見た方がよかった」 サロン経営者ら書類送検 2023年06月21日

 

どのような事件かというと、本日6月21日に大阪府の美容サロンを経営する女性ら2人が、業務上過失致傷と医師法違反の疑いで書類送検されました。当該美容サロンの経営者の女性らは昨年8月に医師免許を持たずに20代女性客に脱毛機器を使用して医療行為を行い、背中に火傷を負わせた疑いです。女性客は1分ほど背中の脱毛を受けたところ、背中が赤くなっており病院を受診したところ1度および2度の火傷と診断され、警察に通報しました。出力が弱い、いわゆる“美容脱毛用の機器”を使用していましたが、装着するべきだった光を減らすフィルターをつけ忘れ、結果的に“医療行為”に匹敵する出力の光を照射したとして、警察は医師法違反の疑いで書類送検しました。女性客は脱毛から10カ月たった今も背中には痕が残ったままだといいます。

 

別のニュースによれば書類送検されたサロン経営者の女性は24歳です。

FNNプライムオンライン

サロン脱毛で背中に“やけど” 業者を医師法違反などの容疑で書類送検 「ドレス着たいのに」と被害者

 

 

なかなか重たいニュースです。

経緯としては本来フィルターを装着して出力を抑えなければならない脱毛器具においいて、フィルターを装着し忘れたせいで強力な出力となり火傷をさせてしまった。この場合だと業務上過失致傷です。過誤ですね。ところがここに医師法違反の疑いも加わっているところが問題です美容サロンで医師法違反とはどういうことでしょう

 

医師法違反というのは医師法第17条に抵触すると考えられます。その部分と罰則の第31条を抜粋します。

医師法

第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。

 

第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第十七条の規定に違反した者

第17条は業務独占というもので、医師免許を持たない者が医業を行ってはいけないという規定です。第31条はそれに違反したものは3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が課させるとしています。医業とは何かは以下のように説明させています。

【解釈】

医師法第17条に規定する「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行為」)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。

 

厚生労働省ホームページ「医行為」について

 

報道では『脱毛機器を使用して“医療行為”を行い、やけどを負わせた疑いがもたれています』と医療行為という用語を使用していますが、医師法の文言では医行為を指していると思われます。問題は美容サロンで医療機器を用いていたことでしょう。報道によると『調べに対し経営者の女は、医師法違反について「脱毛器を使用するのに、医師などの資格が必要だとは知らなかった」』とあり、サロンで使用させる脱毛機器が使用するのに医師免許が必要な医療器機だったと知らなかったようです。

 

報道の解説によれば出力が強い“医療脱毛”の器材は医師の指導を受けた看護師が扱うことがあり、出力が弱い“美容脱毛”ではその限りではないようです。つまりフィルターを装着して出力を下げれば“美容脱毛”であるが、装着しなければ出力が高い“医療脱毛”になる器材を使用していた。そして“医療脱毛”を行う器材は医師以外が使うことができないと書類送検された経営者は知らなかった。そこがこの報道のキモだと感じました。器材が違えば医師法違反はなく、業務上過失致傷だけだったかもしれません。

 

1分ほどの使用時間で10カ月も跡が残る火傷を作るのですから相当な出力であります。1度の火傷というのは日焼けと同じですが、2度の火傷になると表皮の下の真皮にまで及びます。医師法第17条で規定している医業とは“医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行為」)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している”と解釈しているように、人体に危害を及ぼすまたはそのおそれがあることを指しています。人体に危害を及ぼすかが重要で、実際に危害を及ぼしましたから医師法違反の疑いがでているのでしょう。

 

被害者は20代女性ですが、書類送検されたサロン経営者も24歳女性だといいます。もう一人の書類送検されたアルバイトの女性も20代だそう。年齢をどうみるかは意見が分かれるでしょうが、やはり若いと思います。24歳で経営者になるのですから大したものだと感じるのですが、医療器機にあたる器材を用いている認識がなかったというのは、年齢すなわち経験の浅さが関係したのではないかと私の年齢からすると勘ぐってしまいます。きちんと学ぶ時間が無かったのではないかと。

 

別の見方をすると美容関連なら人体に危害を及ぼす危険のある器材でも平気で導入する風潮があるのではないかという懸念です。いわゆるタトゥー裁判では彫師の無罪が確定し、健康被害のおそれよりも文化・風習であることを裁判所は取りました。間違いなく感染症のリスクがある行為であるにも関わらず医師免許は無くても構わないという。安全は彫師側の判断でいいと。美容関連もこのような状況が懸念され、実際に事故が起きるまで見過ごされていたわけです。はっきり言って医療機関(病院、クリニック)ならば医療機器の管理は徹底されていて、医師や看護師ではないいわば素人が手に取れるような状況にはまずおかれないはずです。例えば我々鍼灸師が伝統的にやってきた技法だからといってメスを使って皮膚を切るようなことをしたら医師法違反に問われるでしょうし、やらないように指導されます。

 

ヒューマンエラーなど存在せずシステムエラーしかない、という意見があります。つまりフィルターを装着し忘れたというヒューマンエラーを問う以前になぜこのような火傷を簡単に負わせることができる医療機器が美容サロンにあるのかというシステムの問題を考えるということ。2020年の時点で国民生活センターはセルフエステのトラブルが増えていることを警告しています。

<「セルフエステ」の契約は慎重に検討しましょう!-安さ、手軽さが強調されている一方で、危害や解約トラブルが発生しています-

 

また総務省は2020年にエステティックの医療行為について調査をした上で警告だしています。

消費者事故対策に関する行政評価・監視-医業類似行為等による事故の対策を中心として-<結果に基づく勧告

 

これらのような調査や警告があった上での医師法違反疑いによる書類送検。警察は直接的な行動に出たという印象を受けます。この事件、報道がエステティック(エステサロン)の健康被害防止に繋がることを願うばかりです。

 

甲野 功

 

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