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~鍼灸専門学校増加に関する国会質問~

参議院ホームページ 鍼灸専門学校の乱立と教育の質の確保に関する質問注意書 より
参議院ホームページ 鍼灸専門学校の乱立と教育の質の確保に関する質問注意書 より

 

 

今から約20年前から、鍼灸師を養成する専門学校及び大学が急激に増えたことをご存知でしょうか。元々鍼灸師を養成する鍼灸科は医師を育成する大学医学部と同様に新設制限がかかっていました。それが20世紀の終わりに、同じく新設制限がかかっていた柔道整復科新設を求めて国(旧厚生省)を相手にした裁判が行われ国が敗訴、それにより柔道整復科が爆発的に増えることになります。柔道整復科と同じように鍼灸科の制限も向こうとなり全国に鍼灸専門学校と鍼灸科を持つ大学は増えました。この裁判を通称“福岡裁判”あるいは“北九州裁判”と呼ばれており、1998年に起きました。そこから学校が新設され、3年間の学習期間が過ぎ、それまでは2000人程度で推移していたの新卒はり師(※免許上は鍼灸師という資格はなく、はり師ときゅう師に分かれる。便宜上はり師の数を採用する)は2002年以降、急激に増加していき2011年に実施された試験では4500人もの新卒はり師が生まれます。10年で1.5倍です。そして2011年をピークに新卒はり師の数は減少傾向に転じ、今年2023年の新卒はり師は2877人にまで減りました。

以下に実数を記しておきます。

 

国家試験回数(実施年) 受験者数  新卒はり師数

第1回(1992年)   2363人   2098人

第2回(1993年)     2532人   2141人

第3回(1994年)     2617人   2059人

第4回(1995年)     2717人   2206人

第5回(1997年)     2689人   2114人

第6回(1998年)     2765人   2266人 ←福岡裁判

第7回(1999年)     2679人   2138人 ←学校新設開始

第8回(2000年)     2752人   2230人

第9回(2001年)     2660人   2217人

第10回(2002年)  2645人   2237人

第11回(2003年)  3179人   2663人

第12回(2004年)  3753人   2998人

第13回(2005年)  4271人   3396人

第14回(2006年)  4707人   3789人

第15回(2007年)  5275人  4068人 ←4000名突破

第16回(2008年)  5561人  4347人

第17回(2009年)  5354人  4216人

第18回(2010年)  5283人  3990人

第19回(2011年)  5483人  4553人 ←ピーク

第20回(2012年)  5015人  3651人

第21回(2013年)  5157人  4005人

第22回(2014年)  5036人  3892人

第23回(2015年)  4976人  3808人

第24回(2016年)  4775人  3504人

第25回(2017年)  4527人  3032人

第26回(2018年)  4622人  2667人

第27回(2019年)  4861人  3712人

第28回(2020年)  4431人  3263人

第29回(2021年)  3853人  2698人

第30回(2022年)  3982人  2956人

第31回(2023年)  4084人  2877人

 

それでは学校数はどうでしょうか。1998年以前からあり、現在も現存する鍼灸養成機関(視覚障害者向けは除く)は23校です。鹿児島鍼灸専門学校、明治国際医療大学、東京医療専門学校、東洋鍼灸専門学校、名古屋鍼灸学校、京都仏眼鍼灸理療専門学校、大阪行岡医療専門学校長柄校、仙台赤門医療専門学校、東京医療福祉専門学校、東京衛生学園専門学校、呉竹鍼灸柔整専門学校、日本鍼灸理療専門学校、四国医療専門学校、明治東洋医学院専門学校、国際鍼灸専門学校、東海医療学園専門学校、関西医療学園専門学校、中和医療専門学校、湘南医療福祉専門学校、森ノ宮医療学園専門学校、北海道鍼灸専門学校、関東鍼灸専門学校、東洋医療福祉専門学校、神奈川衛生学園専門学校です。

 

1999年以降鍼灸専門学校、大学は増加していきます。私が調査して確認できた範囲ですが、新設された数を記します。

1999年 1校

2000年 3校

2001年 6校

2002年 11校

2003年 7校

2004年 8校

2005年 7校

2006年 4校

2007年 3校

2008年 5校

2009年 9校

2010年 4校

2011年 4校

2013年 2校

2015年 1校

2023年 1校

 

この数は確認できるだけで実際にはもう少し多いと思われます。そしてこの新設した学校全てが現在もあるわけでなく、既に閉校・廃校になっているものもあります。しかも数は人数ではなく学校数。相当な学校が増えたことが分かります。ところが毎年新設していた学校も2014年には途切れ、2015年に1校だけ。そして今年4月に8年ぶりに新潟医療福祉大学が鍼灸健康科を開設したことで鍼灸科が増えました。このように新設ラッシュは終了し、受験者数も減少し続けていることが分かります。

 

この状況を踏まえ、鍼灸養成施設新設ラッシュが続いていた平成21年(2009年)7月16日の第171回国会(常会)にて『鍼灸専門学校の乱立と教育の質の確保に関する質問主意書』が提出されました。どのような質問だったのか、また国会で質問した意図は、なんだったのでしょう。

 

鍼灸専門学校の乱立と教育の質の確保に関する質問主意書

第171回国会(常会) 質問主意書

質問第二四五号 鍼灸専門学校の乱立と教育の質の確保に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十一年七月十六日 谷博之

参議院議長 江田五月殿

質問をした経緯を読みやすく以下にしました。

 

「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(あはき法)第19条に基づき、視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計が維持できるよう晴眼者に対する教育が規制されているが、法律に規定されていないはり師、きゅう師についても従来は同様の規制が行われてきた。ところが1998年(平成10年)に「法に定めのない理由による福岡柔道整復専門学校の不指定処分は無効」である旨の地裁判決が出され、行政による裁量的な規制が制限されたことにより、はり師、きゅう師養成施設の新設・増設が相次いだ。その結果、晴眼者の開業が増え、視覚障害者は経営を継続することさえ困難な状況にある。このため2000年(平成12年)から毎年のように、同法(あはき法)第19条にはり師、きゅう師の規定を加える法改正を求める請願が国会に提出されているところである。とりわけ厚生労働省が認定権を握る、はり師、きゅう師に係る専修学校は、この10年で施設数で11箇所から79箇所に、定員で635人から5309人に急増しているが、その急増した新施設における教育の質が、しっかり確保できていないのではないかとの疑念が生じたので、以下質問する。

 

最初に説明したように“福岡裁判”から養成施設が急増し、それに伴い晴眼者(視覚障害のない健常者)の鍼灸師が増えたことで視覚障害者の経営を圧迫している。2000年(平成12年)から新設を規制する法改正を求めてきた。この急増した新設校での教育の質が確保できていないのではないかという疑念があるため、国会で質問をしたのです。

質問に対する答弁書が同年7月24日に出されております。

 

答弁書

第171回国会(常会) 答弁書

答弁書第二四五号

内閣参質一七一第二四五号

平成二十一年七月二十四日

内閣総理大臣 麻生太郎

参議院議長 江田五月 殿

参議院議員谷博之君提出鍼灸専門学校の乱立と教育の質の確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 

この質問と答弁を対応させて読みやすくしたものを作成しました。

質問1

はり師、きゅう師に係る専修学校の新規開設・定員増に関する認定業務においては、厚生労働省本省はほとんど関知せず、地方厚生局に権限を委ねており、かつその地方厚生局は都道府県に丸投げして、設置者は都道府県と事前相談、事前審査をしていると承知している。都道府県が受理し、地方厚生局に進達した設置(変更)計画書のうち、地方厚生局が審査した結果、計画書の内容の改善・変更を求めたケースは過去10年間であるか。あればその件数を都道府県毎に明らかにされたい。

答弁1

お尋ねについては、平成16年(2004年)度は、宮城県で1件、静岡県で3件、宮崎県で1件の事例が、平成17年(2005年)度は、岩手県で1件、大分県で1件の事例が、平成18年(2006年)度は、静岡県で1件、長崎県で1件の事例が、平成19年(2007年)度は、愛知県で1件、長崎県で2件の事例が、平成20年(2008年)度は、静岡県で1件、石川県で1件の事例がある。

 

まず、『(学校新設認定業務に関して)厚生労働省本省はほとんど関知せず、地方厚生局に権限を委ねており、かつその地方厚生局は都道府県に丸投げして、設置者は都道府県と事前相談、事前審査をしていると承知している。』と厚労省も地方厚生局もきちんと仕事をしていないで都道府県にやらせているとしています。それを踏まえて過去10年間に新設計画書の内容を改善・変更を求めたケースはあるかと問いています。答弁では各地方で事例があることを回答しています。

 

質問2

同様に、都道府県が受理し、地方厚生局に進達した新規開設・定員増に係る申請書のうち、地方厚生局が審査及び実地調査した結果、認定しなかったケースは過去10年間であるか。あればその件数を都道府県毎に明らかにされたい。

答弁2

過去10年間に、お尋ねのような事例はない。

 

過去10年で都道府県が新設申請書で地方厚生局が認定しなかったケースがあるかと聞いています。回答は事例無し。

 

質問3

はり師、きゅう師に係る専修学校の新規開設・定員増に関する認定については、先に述べた国会請願の趣旨も忖度し、その教育の質を確保するために、大学を文部科学省本省が直接認定しているのと同様、厚生労働省本省が主体的に審査に関わり、同時に審査内容を厳格化するべきではないか

答弁3

地方厚生局においては、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(昭和22年法律第217号。以下「法」という。)等に基づき、厳格かつ適正な審査を行っているところであり、御指摘のように厚生労働省本省が直接審査に関与したり、審査内容を厳格化する必要はないものと考える。

 

鍼灸専門学校の新設、定員増の認定は、その教育の質を確保するために厚労省が審査し、審査内容を厳格化すべてきではないかと提案しています。回答は、地方厚生局があはき法等に基づき審査を行っているので必要はない。

 

質問4

はり師、きゅう師に係る専修学校の新規開設にあたり、専任としての調書及び承諾書が提出された教員が仮に週1コマしか授業を持たない上、カリキュラムの策定にも関与せず、他方鍼灸師として開業していて、主な収入は鍼灸業から得ており、かつ他校で兼任教員として教えていた場合であっても、これを認めないこととできる、その他の合理的認定基準或いは法令上の根拠はないのではないか

答弁4

法(あはき法)第2条第一項に規定する厚生労働大臣の認定については、「あん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師に係る学校養成施設認定規則」(昭和26年文部省・厚生省令第2号)第2条第7号において、専任教員に係る認定基準を定めているところであるが、「学校教育法の一部を改正する法律等の施行について」(昭和51年1月23日付け文管振第85号文部事務次官通達)において、専任教員は、「専修学校の教育に本務として従事する者をいい、具体的に当該教員が専任の教員であるかどうかは、当該専修学校における勤務時間、給与等により総合的に判断すべきであるが、少なくとも2以上の専修学校の教員を兼ねている場合には、1の専修学校において専任の教員とみなされれば、他の専修学校では兼任の教員とみなすべきものであること」とされており、御指摘のような場合についても、これらに基づいて判断することとなる。

 

新設学校の専任教員について質問しています。専任教員とは原則としてその学校専属の教員であるが条件は学校によって異なります。その認定基準や法制上の根拠がないのではないかと。回答は各法律、規則に基づいて判断するとしています。

 

質問5

新規開設時に調書及び承諾書が提出された専任教員が、当該地方厚生局の管轄外の地域に所在する専修学校で専任として勤務していないかどうか、当該地方厚生局では調査しているか

答弁5

地方厚生局においては、お尋ねのような調査は行っていない。

 

新設された学校の専任教員が管轄外地域の別の学校で専任教員をしていないか地方厚生局は調査をしているのかと質問しています。回答は、そのような調査を行っていない。

 

質問6

新規開設時に調書及び承諾書が提出されていた専任教員が、その後他者に交代した場合、設置者は変更届を出す義務が課されていないことは不適当ではないか

答弁6

「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律施行令」(平成4年政令第301号。以下「令」という。)第4条において、法(あはき法)第2条第1項に規定する厚生労働大臣の認定を受けた養成施設の設置者(以下「設置者」という。)は、毎学年度開始後2か月以内に、教育の実施状況の概要等を厚生労働大臣に報告しなければならないこととされており、厚生労働省としては、当該報告に基づき、専任教員の実態等を把握しているところである。したがって、御指摘のように変更届の義務が課されていないことが不適当であるとは考えていない。

 

新設時に書類提出されていた専任教員が交代した時に設置者による変更届を出す義務がないのは不適切ではないかと質問しています。回答は、不適切ではない。

 

質問7

新規開設後1年以内に一回、及びその後は定期的に、学校の同意の下、地方厚生局による立ち入り調査が行われていると承知しているが、その際、定員に応じて定められた専任教員数が充足しているかどうか、どのように調べているのか。講義録や学校日誌、出勤簿を調べるとのことだが、それらの書類上、どのような実態が明らかになれば、その教員が専任ではないと判断するのか

答弁7

厚生労働省としては、養成施設での勤務が週に1日にすぎないなどの実態があれば、当該養成施設における専任教員ではないと判断しているところである

 

定員に応じた専任教員数が足りしているかどのように調査しているのか、また専任とはいえないと判断する状況は何かと質問しています。回答は、具体的に勤務が週1日にすぎない場合は専任教員でないと判断する。

 

質問8

新規開設時に在籍していなかった専任教員については、調書及び承諾書の提出を求めていないと聞いているが事実か。もしそれが事実ならば、無資格者や他校他県で専任教員である者による、開設後の「なりすまし」防止策は十分に講じられているのか

答弁8

厚生労働省としては、御指摘の調書及び承諾書の提出は求めていないが、設置者は、令(あはき法施行令)第4条の規定に基づき、毎学年度開始後2か月以内に、教育の実施状況の概要等を厚生労働大臣に報告しなければならないこととされており、当該報告も踏まえ、専任教員の実態等を把握するなど、御指摘の「なりすまし」の防止策を講じているところである。

 

無資格の者、他校で専任教員をしている者などの専任教員「なりすまし」防止策は講じられているのかを質問しています。回答は、「なりすまし」防止策を講じているところ。

 

質問9

「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(あはき法)施行令の第4条及び第5条に基づき、地方厚生局が、在職教員の資格の有無や専任かどうかを調べるための書類を提出させた例はあるか

答弁9

厚生労働省としては、令(あはき法施行令)第5条の規定に基づき、設置者等に対し、報告を求めたことはないが、毎年度、令(あはき法施行令)第4条の規定に基づき、設置者に、教育の実施状況の概要等を報告させているところである。

 

地方校生局が教員の資格の有無、専任か否かを調べるため書類提出をさせたことがあるかを質問しています。回答は、報告を求めたことはないが、設置者に教育実施状況を報告させている。

 

質問10

以上で明らかなように、開設後の専修学校の教育の質を確保するための措置は不十分であり、立ち入り調査に法令上の根拠を定めて、在職教員の調書を定期的に提出させるなど、調査内容を厳格化するべきではないか

答弁10

地方厚生局においては、養成施設の審査を厳格かつ適正に行っているところであり、御指摘のような調査内容の厳格化を行う必要はないものと考える。

 

開設後の教育の質を確保するための措置が不十分で立ち入り調査を行い、調査内容を厳しくしたらどうか、と質問というか提案しています。回答は、地方厚生局は審査をきちんと行っているので調査内容の厳格は必要ない。

 

質問11

現在全国に79箇所ある専修学校について、規制緩和後10年を節目とし、教員の資格の有無、専任としての実態について報告を求め、必要に応じて立ち入り調査を行って、教育の質が確保されているのかどうか検証すべきではないか

答弁11

設置者は、令(あはき法施行令)第4条の規定に基づき、毎学年度開始後2か月以内に、教育の実施状況の概要等を厚生労働大臣に報告しなければならないこととされており、厚生労働省としては、当該報告に基づき、教育の質が確保されているかどうか確認しているところである。したがって、御指摘のような検証を行う必要はないものと考える。

 

教員資格の有無、専任実態について調査をし、教育の質がかくほされているかを検証すべきだと提案しています。回答は、検証を行う必要が無い。

 

以上のように質問、あるいは提言を11項目行っています。質問書の内容から読み取れるのは、鍼灸専門学校、大学、定員が増えてしまい教育の質が低下しているのは事実として、専任教員をきちんと定数に応じて用意しているのか、また教員資格がある者を教員としているのかという疑念を抱いていること。疑念どころか実際に学校側に問題があり、きちんと厚生労働省・地方厚生局は調査をしなければならないと考えています。対して回答は、各関連法規に基づききちんと調査をしているから問題なし、という印象です。

 

今から10年以上前に学校側の質が低下しているのではないかという指摘をしている。実際に教員資格を持たない教員が授業に登壇しそれが発覚したケースが過去にあり、その授業は単位として認定されないとして、国家試験終了後に卒業生が登校して補講を受けなければならないという事態に陥ったということがあったそうです。私は鍼灸専門学校の教員資格を取得しており、周囲に学校関係者や教員がいるので色々な話が耳に入ります。そうすると学校毎に差があることを感じます。

この質問書が国会に提出されてから10年余り。学校新設ブームは終わり学校は減少、新卒鍼灸師の数も年々減ってきています。自然淘汰が進んでいるという印象です。今後も経営困難に陥る学校は増えていき、閉校・廃校が増えるのではないでしょうか。国に対して鍼灸学校の新設を制限させることはできませんでしたが、結果的に学校は減っているという現実。このまま福岡裁判以前の水準に戻ることも考えられます。

 

国会で鍼灸専門新設に関して議論されたことがありました。

 

甲野 功

 

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